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バーチャルメディアやオーディオ対応など新機能も満載

40台のデスクトップを一望!ATENのKVMスイッチ

2009年05月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月25日、ATEN(エイテン)ジャパンは、KVMスイッチの新製品を発表した。ATENというと個人向けのKVMスイッチで高い知名度を誇るが、今回発表された企業向け「ALTUSEN(オルトセン)」ブランドの製品もなかなかいけるのだ。

最大40台を管理できる
大企業・データセンター向けハイエンドKVMスイッチ

 KVMとはKeyboard、Video & Mouseの略で、従来は複数のマシンを1つの操作デバイスで共有するためのアナログの切り替え器に過ぎなかった。しかし、昨今ではIP経由で遠隔サーバのコンソールを直接呼び出し、リモート操作を行なうデジタルKVM装置が企業向け製品の主流となってきた。サーバ等がデータセンターに設置されていても、KVMスイッチを使えば、BIOS画面からコンソールにアクセスできる。

 今回、ATENが発表したのはALTUSENブランドのハイエンドモデルで、24/40ポートを搭載する「KN2124v」「KN2140v」「KN4124v」「KN4140v」の4モデル。コンソールはローカルで1セッション、リモートで2/4セッションに対応する。

電源やネットワークの二重化にも対応したKN4140v

 ハイエンドモデルのKN4140vでは最大5人(ローカル1+リモート4)の管理者が、同時に40台のサーバを操作できる。2段のカスケード接続により、接続台数をさらに増やすことも可能だ。サーバ側のインターフェイスは、PS/2、USB、シリアルなどとなっている。

 新製品の4モデルでは、電源およびネットワークの二重化に対応し、障害対応を強化している。また、温度センサーを4つ搭載しており、最大6個のファンを自動調整することが可能になる。

KN4140vの前面には40のLEDが並んでおり、接続状態を確認できる

KN4140vの前面には40のLEDが並んでおり、接続状態を確認できる

背面にはRJ45ポートがずらり並ぶ。電源が二重化されている

背面にはRJ45ポートがずらり並ぶ。電源が二重化されている

 新たにコンソール側のコンピュータに接続されたUSBメモリやDVDドライブなどをサーバ側にリモートマウントする「バーチャルメディア機能」を搭載。OSのバッチ適用やファイル転送をより容易に行なえるようになった。さらに、「パネルアレイモード」を用いることで、最大40台のサーバのデスクトップを格子状に同時表示できる

パネルアレイモードにより複数のデスクトップを同時表示

 ユニークなのは、これまでサーバの操作に不要とされてきたオーディオへの対応を果たしたという点だ。コンソール側ではスピーカーとマイク、サーバ側ではスピーカーを使用できる。たとえば音声による警告通知装置を接続しておき、リモートのサーバ側に音声で通知するといったことが可能になる。

 各モデルで異なる接続サーバ数とコンソール台数、およびメーカー希望価格は以下の通り。製品出荷は6月8日を予定しており、6月8日から開催される「Interop Tokyo 2009」にも出展される。

 KN2124vKN2140vKN4124vKN4140v
接続サーバ台数(直接)24402440
コンソール台数(リモート)2244
メーカー希望価格92万円108万円108万円118万円

コンシューマ系の蓄積を企業向けへ

 ATENは台湾に本社を持つKVMスイッチベンダーで、2004年に日本法人を設立。KVMスイッチのほか、電源管理、シリアル管理などの管理デバイスを提供してきた。ただ、ATENはラリタン、アボセントなどの同業他社と異なり、コンシューマ系製品でも高い知名度を持つという特徴を持つ。先頃はKVM、USBデバイス、オーディオを切り替えられるHDMI対応KVMスイッチ「CS1792/CS1794」をリリースしたばかり。こうしたコンシューマ製品の技術とノウハウは、今回発表された「KN21xxv」「KN41xxv」のオーディオ対応などに活かされているようだ。

 以前は、データセンターなどでハウジングされたサーバの操作などに用いられていたことが多かったが、最近はデータセンターやホスティング事業者がサービスとして、こうしたKVMスイッチを提供する例も増えてきたとのこと。物理サーバの削減を目指す仮想化の台頭で、KVMスイッチにとってみれば必ずしも順風満帆の市場となっているわけではないが、遠隔管理のニーズは依然強い。今後も、こうしたニーズはきちんと掴んでいきたいとのこと。

製品の型番が誤っている旨、ベンダーから連絡を受けましたので、お詫びして訂正させていただきます。最後に小文字の「v」が付きます。本文は訂正済みです。(2009年6月11日)

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