デジタル一眼付属レンズでは力不足?
最近はデジタル一眼レフカメラも入手しやすくなり、お得なレンズキットモデルで購入されている場合も多いだろう。たとえばAPS-C撮像素子採用一眼レフのレンズキット付属の標準ズーム、多くは18-55mm前後の画角のものでは、広角側画角が不足しがちで、巨大な被写体をカバーするのは難しい。自由に撮影場所を選びにくい場合に、艦船の全景を収めるにはどうしても広い画角が必要となる。また、今回は艦内で撮影していないが、やはり自由に撮影位置を選べない艦内の撮影にも広角はあると大変重宝する。ということでフネ撮りには広角ズームは必須アイテムと言っても過言ではない。
次に望遠。航行中の姿を遠い場所から撮る場合はもちろんだが、艦橋や各種兵装などの細部を撮るために最低でも200mmの画角は欲しい。
そして標準ズーム。手持ちのレンズキットのものでも良いが、普段使いで多用するレンズでもあるので、予算の範囲内でできるだけいいものをそろえたいところだ。
画角別にズームレンズを揃えてみよう
ということで下記はキヤノンのAPS-Cサイズ撮像素子搭載機(EOS 50D)で広角、望遠、標準各ズームを揃えた例だ。ここではカメラメーカーの純正品レンズで揃えているが、レンズメーカーから各種製品が出ているので、自分の予算や目的に合わせて揃えたい。
広角ズーム
望遠ズーム
標準ズーム
結構使える「便利ズーム」もオススメだ
これだけ揃えていれば、限られた条件下でも適切な画角が得られるはずだ。しかしながら、ここまで揃えるとかなりの額である。純正はもちろんサードパーティー製でもそこそこの額になってしまう。
そこでもう少し気軽に購入できる通称「便利ズーム」を紹介したい。「便利ズーム」とはカメラユーザーの間での通称で、正式な製品名・ジャンル名ではないが、一言で言えば1本で広角から望遠までフォローできる高倍率ズームレンズである。
メリットを挙げれば、潮風や黄砂の中でレンズ交換しなくて済む。交換の時間が省け、シャッターチャンスを逃したり、交換時に落とすなどの事故を防げる。また、それぞれの画角に合わせてレンズを揃えるより安く上がるのもありがたい。とくに撮影現場で交換しなくて済む点は素人にはありがたい。とくにデジタル一眼の場合、モタモタしていて撮像素子にホコリがついたら、それこそ目も当てられない事態である。
一方でデメリットもある。画角ごとに揃える交換レンズに比べると、広角側の画角が不足する場合がある。また、筆者の経験では開放F値が暗いため曇天時など悪条件時の撮影では思ったような写真が撮れないことがあった。メリットも多い「便利ズーム」だが、決して「万能ズーム」でないということで、あらかじめ一定の割り切りを持っておくことも大事だろう。
あると便利なそのほかの機材・装備
レンズに関しては前述の通りだが、それ以外の装備で筆者の経験であると良かったものを挙げてみたい。
- 三脚 乗艦できるイベントでは持ち込みを制限されることもあるので、予め確認しておきたい。撮影ポイントの確保にも有効だが、荷物が重くなり機動力にも影響する。場合によっては一脚でも十分。
- 服装 交換レンズを持っての移動は難。レンズが入るようなカメラベストなら重たいバッグをいちいち持ち歩かなくて済むので便利。
- 帽子 晴天時には必需品。とくに港湾は遮蔽物が少ないので日差しの強い日には活躍する。
- その他 海面の反射などを考えてPLフィルター、交換時を考えてクロス、ブロアーも用意しておくと安心。もちろん天気が崩れそうなら雨具も必須だ。
そして忘れていけないのは体調管理。睡眠はしっかりとっておきたい。筆者の経験では、寝不足で集中力が低下し良い構図を逃したり、体力が早く消耗して撮影を早めに切り上げてしまい良いショットを逃してしまったことがある。
(次ページへ続く)