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艦(フネ)撮りをキメる画角選択の基礎

2009年03月24日 16時00分更新

文● 片田本朔

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デジタル一眼付属レンズでは力不足?

レンズキット付属レンズ

レンズキット付属のレンズはフネ撮りなどには力不足なことがある

 最近はデジタル一眼レフカメラも入手しやすくなり、お得なレンズキットモデルで購入されている場合も多いだろう。たとえばAPS-C撮像素子採用一眼レフのレンズキット付属の標準ズーム、多くは18-55mm前後の画角のものでは、広角側画角が不足しがちで、巨大な被写体をカバーするのは難しい。自由に撮影場所を選びにくい場合に、艦船の全景を収めるにはどうしても広い画角が必要となる。また、今回は艦内で撮影していないが、やはり自由に撮影位置を選べない艦内の撮影にも広角はあると大変重宝する。ということでフネ撮りには広角ズームは必須アイテムと言っても過言ではない。

 次に望遠。航行中の姿を遠い場所から撮る場合はもちろんだが、艦橋や各種兵装などの細部を撮るために最低でも200mmの画角は欲しい。

 そして標準ズーム。手持ちのレンズキットのものでも良いが、普段使いで多用するレンズでもあるので、予算の範囲内でできるだけいいものをそろえたいところだ。



画角別にズームレンズを揃えてみよう

 ということで下記はキヤノンのAPS-Cサイズ撮像素子搭載機(EOS 50D)で広角、望遠、標準各ズームを揃えた例だ。ここではカメラメーカーの純正品レンズで揃えているが、レンズメーカーから各種製品が出ているので、自分の予算や目的に合わせて揃えたい。

広角ズーム

キヤノン EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM

キヤノン EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM。実売価格は7万円前後。キヤノンのAPS-Cサイズ撮像素子搭載機専用レンズとして人気のある製品だ。ただ、最近はレンズメーカーも広角ズームで魅力的な製品を投入しているので、そちらを選択するのもありだろう

望遠ズーム

キヤノン EF 100-400mm F4.5-5.6 L IS USM

キヤノン EF 100-400mm F4.5-5.6 L IS USM。実売価格は20万円程度だが、円高時に海外通販で購入すると、意外と安く入手することも可能だ。このレンズだがミリタリーなどの趣味分野では、比喩的な意味で「標準レンズ」と称されることもある。撮影対象が比較的遠方かつ接近不能となりがちな航空機や火力演習などの撮影には必携レンズだろう。なお、写真ではフードが斜めに填っているが撮影用に慌てて取り付けたため

標準ズーム

キヤノン EF24-105mm F4L IS USM

キヤノン EF24-105mm F4L IS USM。実売価格は12万円前後。これもキヤノン系ユーザーには定番のレンズ。ただしEOS 50DなどAPS-Cサイズ撮像素子搭載機では画角が35mm判換算で38~168mmと若干望遠よりとなってしまう。本来の意味での「標準ズーム」としては、EOS 5D MarkIIなど35mm判撮像素子搭載機でこそ、設定されている画角が実力を発揮するレンズと言える



結構使える「便利ズーム」もオススメだ

 これだけ揃えていれば、限られた条件下でも適切な画角が得られるはずだ。しかしながら、ここまで揃えるとかなりの額である。純正はもちろんサードパーティー製でもそこそこの額になってしまう。

 そこでもう少し気軽に購入できる通称「便利ズーム」を紹介したい。「便利ズーム」とはカメラユーザーの間での通称で、正式な製品名・ジャンル名ではないが、一言で言えば1本で広角から望遠までフォローできる高倍率ズームレンズである。

 メリットを挙げれば、潮風や黄砂の中でレンズ交換しなくて済む。交換の時間が省け、シャッターチャンスを逃したり、交換時に落とすなどの事故を防げる。また、それぞれの画角に合わせてレンズを揃えるより安く上がるのもありがたい。とくに撮影現場で交換しなくて済む点は素人にはありがたい。とくにデジタル一眼の場合、モタモタしていて撮像素子にホコリがついたら、それこそ目も当てられない事態である。

ニコン AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G

ニコン AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G。ニコンユーザーに人気の「便利ズーム」で実売価格8万8000円前後

 一方でデメリットもある。画角ごとに揃える交換レンズに比べると、広角側の画角が不足する場合がある。また、筆者の経験では開放F値が暗いため曇天時など悪条件時の撮影では思ったような写真が撮れないことがあった。メリットも多い「便利ズーム」だが、決して「万能ズーム」でないということで、あらかじめ一定の割り切りを持っておくことも大事だろう。



あると便利なそのほかの機材・装備

「ひゅうが」と取材陣

「ひゅうが」と取材陣。当日は快晴でまさに撮影日和だった

 レンズに関しては前述の通りだが、それ以外の装備で筆者の経験であると良かったものを挙げてみたい。

  • 三脚 乗艦できるイベントでは持ち込みを制限されることもあるので、予め確認しておきたい。撮影ポイントの確保にも有効だが、荷物が重くなり機動力にも影響する。場合によっては一脚でも十分。
  • 服装 交換レンズを持っての移動は難。レンズが入るようなカメラベストなら重たいバッグをいちいち持ち歩かなくて済むので便利。
  • 帽子 晴天時には必需品。とくに港湾は遮蔽物が少ないので日差しの強い日には活躍する。
  • その他 海面の反射などを考えてPLフィルター、交換時を考えてクロス、ブロアーも用意しておくと安心。もちろん天気が崩れそうなら雨具も必須だ。

 そして忘れていけないのは体調管理。睡眠はしっかりとっておきたい。筆者の経験では、寝不足で集中力が低下し良い構図を逃したり、体力が早く消耗して撮影を早めに切り上げてしまい良いショットを逃してしまったことがある。

(次ページへ続く)

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