消費者がこうむる影響は
では、消費者はどんな影響をこうむるのだろうか?
まず、改正薬事法がこのまま施行された場合、外出が難しい高齢者や障害者に加え、薬店/薬局などが近くにない離島などに住んでいる人は、医薬品の購入がしにくくなる。
また、仕事でなかなか時間が取れないため、ネット通販を利用していたり、対面では恥ずかしい薬をネットで購入したりしていた人たちも、今後は薬局薬店などに足を運ばなければならなくなる。
ただし、同改正により、薬局/薬店などの店舗は、医薬品が安全に利用できるよう説明する義務が生じるため、消費者は今後、以前に比べて詳しい説明を受けられるようになると見られている。また、登録販売者制度により、コンビニやスーパーなどでも第2類の医薬品が販売できるようになるため、逆に便利と感じる人も出てくるだろう。
改正薬事法が決まった経緯とは
古いところでは、2004年5月~2005年12月に、「医薬品販売制度改正検討部会」が開催され、深夜・早朝におけるテレビ電話等の活用による医薬品販売などが話題に上っている。その後、2008年2月~7月に開かれた「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会」でネットを含む通信販売は良くないものとする議論が進められ、省令公布につながっている。
2006年6月8日には薬事法改正の立法的措置が成立し、2009年6月1日に薬事法が改正されることになった。この時に新しく決定したのが、医薬品の分類や登録販売者制度だ。これにより、医薬品はリスクが高いとされる順に、第1類(H2ブロッカー胃腸薬や、発毛剤など)、第2類(風邪薬、頭痛薬、痔薬、妊娠検査薬、漢方薬など)、第3類(ビタミン剤や消毒薬、うがい薬など)に分類された。第1類は薬剤師のみが販売できるが、第2類、第3類は、薬剤師の他に登録販売者も販売できるようになったというわけだ。登録販売者とは、1年以上の実務経験などがあり、都道府県で行う試験に合格した者であり、薬剤師よりも簡単に有することができる新資格だ。
そして、施行される直前の2009年2月6日に、「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」が厚生労働省により公布され、第1類、第2類の医薬品のネットを含む通信販売が禁止されたというわけだ。
表 OCTドラッグの分類 | ||
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第1類医薬品 | 薬剤師の直接対応が必要 | H2ブロッカー胃腸薬や 発毛剤など |
第2類医薬品 | 登録販売者がいれば販売可能 | 風邪薬、頭痛薬、痔薬 妊娠検査薬、漢方薬など |
第3類医薬品 | ネットや通販でも販売可能 | ビタミン剤や消毒薬、 うがい薬など |