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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第46回

薬のネット販売規制で得するのは誰か?

2008年12月09日 19時30分更新

文● 池田信夫/経済学者

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 厚生労働省は、来年4月に施行される予定の薬事法の改正にともなう省令で、薬のネット販売を原則禁止する方針だ。これに対して楽天Yahoo!ショッピングで、規制反対の署名運動が始まった。それによれば、今度の規制で「風邪薬、胃腸薬、育毛剤、痔の薬、妊娠検査薬がインターネットで購入できなくなる」という。

何のためのネット規制か


第一三共ヘルスケアの「ガスター10」は1997年に初めて登場し、錠剤、散剤、内服液など様々なバリエーションでで登場している

 まず不可解なのは、何のために規制するのかということだ。厚労省の説明によれば、改正薬事法では一般用医薬品をリスクによって3つに分類し、1類と2類については対面販売による説明を義務づける。このうちネット販売を認めるのは、ビタミン剤などの3類だけにする予定だ。3類は全体の3割程度で、便秘薬や水虫の薬も2類になる。

 もっともリスクが高いとされる1類には、胃腸薬「ガスター10」が含まれている。私もガスターは買ったことがあるが、薬局で説明を受けたことはない。用法は箱に書いてあるので、それを守って飲むだけのことだ。薬剤師も、それ以外の説明はしようがないだろう。第2類はコンビニ(薬剤師がいない)でも販売を許すのに、薬剤師のいるウェブサイトからのネット販売が禁止されるのは矛盾していないか。

 説明が必要なら、買う前に画面表示を義務づければいいし、質問が必要ならネット上で質問するシステムにすればいい。そういう「問診票」の出るサイトもある。対面販売でも嘘をつく人もいるし、説明を無視する人もいる。ネットで買うのと違いはない。むしろネット販売なら個々の消費者の履歴を管理できるなど、安全性を高めることも可能だ。



ネット販売の禁止はリスクを高める


 規制すると、何が起こるだろうか。高齢者や障害者、あるいは不便な土地に住んでいる人は、薬を買いにくくなるだろう。それでもどうしても必要な人は、海外のサイトから個人輸入できる。たとえば日本で売っていない睡眠薬なども、Amazon.comなどで買うことができる。こっちは質問も説明もなく、事故が起きても対応しようがない。

 つまりネット販売を規制すると、もっとリスクの高い海外からのネット購入に消費者を誘導する可能性がある。もっとも、これは厚労省にとっては痛くもかゆくもないだろう。彼らの恐れているのは、薬害事故の責任を追及されることだから、自分たちの所管していない海外の薬で事故が起きても、責任を逃れることができる。

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