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インフィニオン、2006年の業績と今後の注力分野についての説明会を開催

2006年12月06日 19時41分更新

文● 編集部 小西利明

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インフィニオン製の非接触型ICチップを搭載するパスポートのサンプル インフィニオン副社長のトーマス・ウェバー氏
インフィニオン製の非接触型ICチップを搭載するパスポートのサンプルインフィニオン副社長のトーマス・ウェバー氏

インフィニオンテクノロジーズジャパン(株)は6日、東京都内にて記者説明会を開催し、グループ全体の2006年の業績と、2007年以降の注力分野についての説明を行なった。DRAM事業の分社後は、“エネルギー効率”“モバイルと接続”“安全とセキュリティー”などの分野に経営資源を集中していく。

同社はドイツの半導体製造企業である独インフィニオンテクノロジーズ社の日本法人。インフィニオンと言えば、日本のパソコンユーザーにはメモリー(DRAM)チップの会社という印象が強かったが、DRAM事業は5月に分社化され、独Qimonda(キマンダ)社という別の企業となっている。日本法人の代表取締役社長である森康明氏は、グループの2006年度決算(Qimonda除く)について、売上高では約41億1400万ユーロ(約6286億円、前年比約5%増)、EBIT(税引き前利益)は約2億1700万ユーロ(約332億円、前年比約26%増)の赤字と述べた。これにはQimondaの株式公開にともなうコスト計上などの理由があるとしている。同社の広報資料によれば、Qimondaを加えた場合のグループ全体のEBITは、約1500万ユーロ(約22億9200万円)の赤字である。赤字ではあるものの、売上高、利益率ともに改善が見られる。また森氏は2006年のトピックとして、コミュニケーション事業について、独シーメンス社の携帯電話機向け事業を台湾ベンキュー社に奪われるなどの要因で不振であったとした。Qimondaのメモリー事業は、メモリーの値上がりやシェア拡大により好調であった。

インフィニオンテクノロジーズジャパン 代表取締役社長の森康明氏
インフィニオンテクノロジーズジャパン 代表取締役社長の森康明氏

ドイツを発祥の地とする企業だけに、インフィニオンの地域別売上は欧米が半分以上を占めるが、2006年は日本を含むアジア太平洋地域での売上比率が全体の約37%を占めるなど、成長を遂げているという。日本の売上比率は約6%で、前年の約5%から拡大している。

インフィニオン副社長のトーマス・ウェバー(Thomas Weber)氏はQimonda分社後の同社を“新生インフィニオン”と称し、分社により新しく基盤を考え直したと述べた。そして同社が注力する3分野に、エンジンや駆動装置、電子デバイス”といった“エネルギー効率”に関わる分野、モバイル・携帯電話分野、安全やセキュリティーに関する分野を挙げた。またウェバー氏、森氏ともに、同社の強い分野をより強化していくとし、中期目標として10%の成長率と10%のEBITの実現を目指すとしている。

より具体的な注力するアプリケーション分野としては、車載機器、工業用電子デバイス、ICカード、携帯電話、無線通信デバイス、ブロードバンド向け通信デバイスなどが挙げられている。森氏はいくつかの例を挙げ、たとえば無線通信については、CMOS技術でベースバンドやそのほかのプロセッサー類を統合したチップを現在出荷しているのは同社だけであるとした。またセキュリティー分野では、マイクロソフト(株)のXbox 360向けにセキュリティー機能チップを供給しているほか、米国のICチップ内蔵型パスポート向けに供給も行なっているといった例が示された。パソコンユーザーにも身近な分野としては、(株)日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)製のHDDにコントローラーとして採用されている事例がある。

携帯電話機向けシステムオンチップの採用事例として、ソフトバンクモバイル(株)の携帯電話機が展示されていた HGSTのHDDにも、インフィニオンのASICなどが採用されている
携帯電話機向けシステムオンチップの採用事例として、ソフトバンクモバイル(株)の携帯電話機が展示されていたHGSTのHDDにも、インフィニオンのASICなどが採用されている

日本市場に対する施策としては、“Japan II”と題する取り組みを継続していく。特に重要な点として森氏は、“品質とサポート”について言及。品質チームに40名のエンジニアを配置し、7月には東京大崎にある日本法人本社内に解析ラボ(Quality Management Lab)を開設。品質を高めることで日本企業から国内メーカーと同等の信頼を獲得し、単なるデバイス供給者から、パートナーやファミリーに位置づけられるようにしていきたいとの目標が示された。

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