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【特別企画】これが自衛隊の艦船だ! ミリタリーマニアの“平成18年度自衛隊観艦式”取材レポート

2006年11月04日 23時22分更新

文● A社戦車部長

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●いよいよ観艦式もクライマックスへ

 艦隊が回頭ポイントに達すると先頭艦から順次反転する。晴れていれば富士山をバックに見ることが出来るシーンだが、残念ながら視界が悪いため今日は見られない。

回頭 「ひえい」
手前が「ちょうかい」の前甲板で、その向こうの艦が観閲艦「くらま」。ちょうど観閲艦艇と観閲付属部隊が反転しつつあるところだ。実戦では、こんなに狭い海域に艦艇が集結することは基本的にはないが、さすがに迫力ある光景だ「ちょうかい」の後方を続航する「はるな」型ヘリコプター搭載護衛艦「ひえい」。甲板には、観艦式参加の抽選に当選した一般客が大勢見える。満員電車のように乗客を乗せた護衛艦というのも、ある意味珍しい

 まず受閲艦艇部隊による祝砲の発射だ。反航する護衛艦「しまかぜ」「たちかぜ」などが次々と主砲を発射する。もちろん空砲だが、発射の際の衝撃波と砲煙はなかなか迫力がある。

一斉発射 祝砲発射
3隻の護衛艦が各艦4発の祝砲を発射。祝砲に用いるのは127mm(5インチ)単装速射砲だ

 次は護衛艦「ゆうべつ」など3隻による対潜ロケット弾発射の模範演技だ。海上に落下すると衝撃波が艦の外板を打ち、その後水柱が水面高く立ち上がる。「Uボート」などの戦争映画で潜水艦が爆雷攻撃を受けるシーンがあるが、実戦ではこの水柱が潜水艦と乗組員の墓標になってしまう訳である。

対潜ロケット弾発射 対潜ロケット弾発射
対潜ロケット弾爆発 対潜ロケット弾爆発 対潜ロケット弾爆発

 次は護衛艦4隻からのヘリコプター一斉発艦だ。艦と同速度で進み、高度を保つ、というなかなか難しいことをいとも簡単にこなしてみせる。

たかなみ&ヘリ前方 たかなみ&ヘリ後方
「たかなみ」から海上自衛隊最新鋭のヘリコプター「SH-60K」が離艦しようとしているところ

 ヘリコプターが飛び去ると、その次は潜水艦隊による潜行浮上運動、いわゆるドルフィン運動の展示となる。数千トンもある巨大な艦が、海中から勢いよく浮上してくる姿は、なかなかの驚異である。ただ、潜水艦はジェットコースター並の機動を強いられる訳で、乗っている人たちはなかなか大変だろうと見ていて思う。実際、怪我をする人が出ることもあるそうだ。

ドルフィン運動 ドルフィン運動 ドルフィン運動 ドルフィン運動
ドルフィン運動 ドルフィン運動 ドルフィン運動 ドルフィン運動
潜水艦「なつしお」が浮上してくるところ。艦首が水面を突き破り、激しく水しぶきを上げながら海面に飛び出してくる

 次は洋上補給の訓練展示だ。補給艦「ときわ」と護衛艦「はるさめ」の間にハイラインと呼ばれるロープを渡し、そこに給油管をぶら下げて給油を行う状態をデモンストレーションしている。もちろん艦同士の補給を航行中に行うためには、艦の操縦技量が双方とも高くないと出来ないものだ。

「ときわ/はるさめ」
奥が「ときわ」、手前が「はるさめ」。両艦の間にハイラインが渡され、その下にたわんだ給油管がぶら下がっているのがわかる

 その次は護衛艦「やまゆき」が甲板散水を行いながら登場だ。これは艦隊に対して核兵器や生物化学兵器が使われた場合に、汚染された艦そのものを洗い流すためのものだ。さらにその後IRフレアを発射する。これは攻撃してくるミサイルの赤外線誘導装置を欺瞞するためのものだ。

IRフレア
「やまゆき」が甲板散水を行いながら、IRフレアを発射したところ

 そして「はやぶさ」型ミサイル艇3隻だ。さきほどの展示では、速力15ノットくらいで普通の小型の艦艇という印象だったが、今回は高速力を出しての登場だ。

ミサイル艇
3隻が海上を蛇行しながらサーチライトを煌めかせて迫ってくる姿は、あたかも某人気ロボットアニメの“黒い三連星”のようだ

 その後再び盛大な水しぶきを上げながら迫ってくるのは輸送艦「しもきた」に搭載されているエアクッション型揚陸艇「LCAC」だ。こちらも先ほどより高速力での登場で、盛大に水煙をあげている。

「LCAC」疾走 「LCAC」疾走
銀色の艇体を鈍く光らせながら走行する「LCAC」。ぜひ輸送艦「くにさき」に収容するシーンも見てみたいものだ

 以上で、観艦式の展示は終了だ。観閲艦「くらま」から首相が官邸に帰り、すべての行事が完了となる。入港まで2時間、イージス艦「ちょうかい」はゆっくりと横須賀に舳先を向ける。上記駆け足のレポートだったが、この辺で終わりとさせて頂きたい。

夕日に染まる「くらま」
横須賀に帰港し、夕日に染まる「くらま」
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