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VARDIA RD-A1

VARDIA RD-A1

2006年07月25日 20時47分更新

文● 伊藤 裕也

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HD DVD-Rへの出力はダイレクトレコーディング・ダビングに対応

TV番組のリスト表示や録画予約、録画した番組の再生を行なうユーザーインターフェースは、

  • 番組表を表示する“番組ナビ
  • 録画した映像を管理する“見るナビ
  • 録画した番組のチャプタ作成やプレイリストの作成を行なう“編集ナビ

――など、RDシリーズを一度でも操作したことのある人にはお馴染みのものがRD-A1にも採用されている。録画・再生から視聴番組の切り替えや詳細情報の呼び出しまで、リモコン操作ひとつで簡単に実行可能だ。これはRD-A1最大のポイントであるHD DVD-Rメディアへの操作時も同様なのだが、HD DVD-Rメディアに記録する際にはHDDに対する録画と機能や操作に関する手続きが若干異なる部分も存在する。ここからは、HD DVD-Rメディアへの録画や再生について詳細に見ていこう。

“番組ナビ”
画面1 番組表を表示する“番組ナビ”。EPGを用いた録画予約はここから実行できる。

 HD DVD-Rメディアに対するTV番組の記録では、TSモードによる“ダイレクトレコーディング”と、TSあるいはVRモードでHDDやDVDに記録した映像をコピー(もしくは移動)する“ダビング”の2つの操作が行なえる。つまり、HD DVD-Rメディアに直接録画できるのはデジタル放送の番組をTSモードで記録するケースのみ。VRモードの映像をHD DVD-Rメディアで記録するには、その映像をVRモードで一旦HDDに記録しておき、それをHD DVD-Rメディアにダビングするという手順を踏まなければならない。なお、RD-A1がサポートするダビング処理はムーブまたはコピーで、デジタル放送の“コピーワンスコンテンツ”を扱う場合には強制的にムーブ処理となる。

番組の録画予約設定
画面2 番組の録画予約設定。HD DVD-Rメディアに映像を直接記録したい場合には、記録先ドライブに“DVD”を選択すること(ドライブ種別の選択であり、HD DVDかDVDかのメディア種別の選択ではない)。

表2 ダイレクト録画とダビングでの利用可能メディア相関関係

ダイレクト録画
記録方式HDDDVDHD DVD
デジタル放送TS×
デジタル放送VR××
アナログ放送VR×
ダビング(HDDから転送)
記録方式DVDHD DVD
デジタル放送TS×
デジタル放送VR
アナログ放送VR
“見るナビ” HD DVD-Rメディアに記録した映像のリスト
画面3 録画した番組を管理する“見るナビ”。HDDに記録したの映像とHD DVD-Rに記録した映像のリスト切り替えは、ボタンひとつで素早く行なえる。画面4 こちらはHD DVD-Rメディアに記録した映像のリスト。画面左上に注目。“HD-R”と表示され、セットしているメディアがHD DVD-Rだと分かるようになっている。

 このようにダイレクトレコーティングとダビングでサポートされる映像モードが異なると聞くと、やや分かりにくく感じる人もいるかもしれないが、地デジやBSデジタル放送の録画では一般的にTSモードを使用して録画することになるうえ、例えば「HD DVD-RにVRモードでダイレクトレコーディングを実行する」といった実際には行なえない誤操作を指定しても、警告が表示されるようになっている。そのため、実際にはユーザーが戸惑うようなことはまずないはずだ。

 ところで、このVRモードのダビングにどんな意味があるの? HD映像なのだからHDでそのまま保存すればいいのに、と疑問を抱く方もいるとは思うが、VRモードのダビング機能も使い方によっては非常に重宝するのだ。具体的には、放送時間が2時間以上に及ぶ長時間の番組であっても、再圧縮して記録するVRモードであれば1層のHD DVD-Rメディア1枚に分割することなく収録できるというメリットがある。また、HD DVD-Rの大容量な特性を活かして、複数枚のDVDメディアに出力していた映像を1枚のHD DVD-Rメディアにまとめることもできる。HD DVD-Rは1層のメディアではDVD-Rメディアの約3枚分、2層メディアなら約6枚分の情報を収録できるだけに、手放せない映像ライブラリーが棚を埋め尽くしている方にはうれしいポイントといえる。

わかりやすいユーザーインターフェースで操作は簡単
HD DVD-Rセット時のレスポンスについてはやや不満も

録画した映像を再生 ダビング機能
画面5 録画した映像を再生しているところ。情報表示をオンにすると、右上にHD DVD-Rがセットされていることを示すマークが、また、下側には現在セットしているHD DVD-Rメディアの消費された領域がグラフで表示されるようになる。画面6 ダビング機能。コピーワンスの番組をHDDからHD DVDにダビングする場合、コピーは選択できずに移動のみとなる。

 実際の録画手順は、例えばEPGによる録画予約であれば、HD DVD-Rメディアをドライブにセットしたうえで番組ナビから“詳細”を呼び出し、録画予約の設定画面で記録先をHDDからDVDドライブに変更する――といった流れになる。

 RDシリーズを使ったことがある人はもちろん、そうでなくとも簡易操作マニュアルを一読すれば難しいことは何ひとつないが、セットしたHD DVD-Rメディアが購入直後のもの(未フォーマット)の場合には、最初に“HDVRモード”と呼ばれる映像を管理する方式でフォーマット(初期化)作業が必要となる。初期化はリモコンのクイックメニューから簡単に実行でき、実行時間は評価機(量産試作機)で30秒程度。初期化はメディアに対して1回だけ行なう行為なので、30秒待たされるといってもイライラすることはないだろう。むしろ使っていて気になったのは、フォーマット後のメディアをドライブにセットしてからの時間だ。HD DVD-RメディアをRD-A1にセットすると、メディアの種別(HD DVD-RかHD DVD-ROMか、記録型DVDかDVD-ROMか)を認識してアクセスできるようになるまでに評価機では1分程度の時間を要し、その間はRD-A1が操作を受け付けなかった。一度認識さえされればあとはそのメディアに対して快適にアクセスできるのだが、最初の認識待ちの時間はいかんともしがたい。民生機が登場したばかりで技術的課題がまだはあるにしても、ユーザーとしては更なる高速化、レスポンスの改良を期待したいところだ。

メディアの初期化中 初期化中の画面
画面7、8 HD DVD-RメディアをRD-A1で扱うにはメディアの初期化が必要だ。初期化実行時には、このようにそのステータスを示すグラフがスクリーンの映像に重なった形で表示される。

 一方、HD DVD-Rメディアへのダビングについては、クイックメニューから“ダビング”を選択することで簡単に行なえる。実際にHDDにTSモードで記録した映像をHD DVD-Rメディアにダビング(ムーブ)してみたところでは、1時間の録画映像の記録に27分ほど要した。TSモードで記録した映像のムーブについては、ムーブしたい映像の再生時間の約半分程度を目安に考えるといいだろう。なお、HD DVD-Rにダビング中でもアナログ放送のHDD録画は同時実行が可能だが、デジタル放送の録画はTS・VRモードともに不可能となる。これは、RD-A1のユーザーであればデジタル放送内蔵のTVも利用しているであろうことから、ダビングの実行でもTV側のチューナーを使えば番組視聴は行なえるというユーザー像を想定したためと思われる。いずれにしても、ダビング開始のタイミングには注意したい。

 録画した映像の管理・再生は、冒頭で触れたように“見るナビ”から簡単に行なえる。HDDに録画している最中でも録画済み映像の再生やHD DVDタイトルの視聴が可能な点は使い勝手がいい。また編集についても、チャプタの作成やプレイリストの編集、映像の削除など、RDシリーズと同様の映像編集が一通り行なえる。メディアが追記メディアであるHD DVD-Rなので、編集できる回数には制限があり、また、HD DVD-R上の映像の削除も実際には不可視化である(削除してもディスクの空き容量は増えない)など、細かい部分に違いはあるものの、使用感としてはHDDに録画しているのとまったく同じ。CMカットや盛り上がっているシーンのみを抽出したダイジェスト版を作成して長期保存したいと考えている人には特にうれしいだろう。


 価格はオープンプライスで、店頭での実売価格は40万円前後と見られる。1TBのHDDに初物のHD DVD-Rドライブを搭載し、HD DVDプレーヤーとしても機能する。しかも、それらの機能は排他ではなく、映像をHDDに録画しながらHD DVDプレーヤーとしての機能を同時に使用可能だ。AV機器に40万円とは誰もが易々と捻出できる金額ではないものの、HD DVDプレーヤー単体の実売価格が10万円弱である現実を考慮すると、納得できる価格設定とは言える。

BD-HD100
写真5 2004年11月に発表された、DVD/Blu-rayディスクレコーダー「BD-HD100」。写真をクリックすると当該ニュース記事に移動します。

 現時点でライバルとなりうるBlu-ray Disc搭載のビデオレコーダーとしては、シャープの「BD-HD100」が実売25万円前後。単純に価格のみで比較するとRD-A1が不利にも見えるが、BD-HD100は内蔵HDDが160GBに止まり、録画できるディスクも容量25GBのBD-REメディア(1層メディア)に限られている。さまざまなTV番組(特に高ビットレートで情報量の多いデジタル放送の番組)を次々と録画していきたいのであれば、1TB HDDを内蔵するRD-A1が圧倒的に有利だ。

 現時点では大容量光メディアの主流がBlu-ray DiscとHD DVDのどちらになるのか?――将来性を考慮した場合、安易に飛びついていいのかという不安もあるが、今流れているデジタル放送の番組を録画するビデオレコーダーとしては、これまでに記したように強力な録画・編集機能と使いやすいユーザーインターフェースを備え、また、性能面でもDACに14bit/297MHz映像DACを搭載するビデオエンコーダーの採用により“4倍オーバーサンプリングHD出力”を実現するなど、フラッグシップにふさわしいスペックを持つのは確かだ。デジタルチューナーを2基で搭載しないため、デジタル放送の録画中にデジタル放送の裏番組を視聴・録画できない点は惜しまれるが、現時点で間違いなくトップクラスのスペックを誇るデジタル放送対応ビデオレコーダーだ。お気に入りの地デジやBSデジタルの番組をしっかり長期に保存しておきたいという人にこそお勧めしたいモデルである。


RD-A1の主なスペック
製品名 RD-A1
記録可能メディア 内蔵HDD(1TB)、HD DVD-R(片面1層/2層)、DVD-RAM(片面1層/両面1層、CPRM対応、カートリッジ対応)、DVD-R(片面1層、CPRM対応)、DVD-R DL(片面2層、CPRM対応)、DVD-RW(片面1層、CPRM対応)
記録方式 MPEG-2 TS、MPEG-2
再生可能メディア 内蔵HDD、HD DVD-ROM、HD DVD-R、DVD-RAM、DVD-R、DVD-R DL、DVD-RW、DVD-Video、音楽CD、CD-R/RW
映像D/Aコンバーター 14bit/297MHz
音声D/Aコンバーター 24bit/192kHz
チューナー 地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタル、地上アナログ、CATV
消費電力 動作時133W、待機時6.5W(省エネ設定時4.0W)
入出力端子(前面) S-Video入力×1、コンポジット入力×1、アナログステレオ音声入力×1、DV入力端子×1
入出力端子(背面) HDMI出力×1、S-Video入力×2、S-Video出力×3、コンポジット入力×2、コンポジット出力×3、アナログステレオ音声入力×2、アナログステレオ音声出力×3、光デジタル音声出力×1、同軸デジタル音声出力×1、5.1chサラウンドアナログ音声出力×1、D1入力×1、D4出力×1、DV入力端子×2
本体サイズ 約457(W)×408(D)×159(H)mm
重量 約15.2kg

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