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マイクロソフト、Officeの新顔アプリ“Groove 2007”の説明会を開催――日本語版の製品ラインナップも発表

2006年07月10日 20時43分更新

文● 編集部 小西利明

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『Microsoft Office Groove 2007』
『Microsoft Office Groove 2007』

GrooveはP2P技術を活用した“デスクトップコラボレーションツール”で、企業内ネットワークの中だけでなく、ファイアーウォールを超えて企業外のユーザーと接続し、共同作業を行なうアプリケーションである。2005年に開発会社である米Groove Networks社が米マイクロソフトに買収されたことにより、Office systemの一員となった。日本語版が発売されるのも今回が初となる。ちなみにGrroove Networksは、ビル・ゲイツ氏の後任としてマイクロソフトのCSA(Chief Software Architect)に就任したレイ・オジー(Ray Ozzie)氏が設立した企業である。

Grooveの解説を担当した同社インフォメーション ワーカー ビジネス本部の松田誠氏によれば、英語版のみであった従来バージョンのGroove 2003は、国内ですでに120社ほどに導入されているとのこと。使用状況についての調査も行なったところ、導入企業での評価は非常に満足度が高く、特に社外とのセキュアーな共同作業に欠かせないとの評価を受けているという。

Grooveでの作業環境のイメージ図。企業の外部とも簡単に接続して、セキュアーな状態での共同作業を実現する Grooveの基本画面とその説明。参加者の1人がワークスペースを立ち上げて、他の参加者を招いたりツールを設定して共同作業を行なう
Grooveでの作業環境のイメージ図。企業の外部とも簡単に接続して、セキュアーな状態での共同作業を実現するGrooveの基本画面とその説明。参加者の1人がワークスペースを立ち上げて、他の参加者を招いたりツールを設定して共同作業を行なう

Grooveのポイントは、“簡単”に“セキュアー”な共同作業環境を“ファイアーウォールを超えて”構築可能な点にある。Grooveは“ワークスペース”と称する参加者間で共有される作業スペースを作成し、参加者を招待したり、作業に使う“ツール”をワークスペースに配置して、共同作業を行なう。基本的な作業としては、テキストや画像を使ったディスカッションや、ファイル共有などが主となるが、InfoPathで作成したフォームを使い構造化データを入力したり、インスタントメッセンジャー風のチャット、音声によるメッセージ発信(片方向の発信のみで相互音声通話はできない)などの機能を備える。ツール自体はカスタマイズ可能だ。

Grooveのスタートアップとなる“開始バー”。既存のワークスペースを選択したり、新しいワークスペースを構築して作業を開始する ワークスペースで使う“ツール”には、さまざまな機能が用意されている
Grooveのスタートアップとなる“開始バー”。既存のワークスペースを選択したり、新しいワークスペースを構築して作業を開始するワークスペースで使う“ツール”には、さまざまな機能が用意されている

招待の通知やワークスペース上に加えられた変更は、Grooveを起動していると小さな通知ダイアログで報告されるので、変更項目が分かりやすい。移動中の作業などオフラインでの作業も可能で、オフライン状態で行なった変更を、オンラインになったら同期するといったことも可能だ。

ワークスペースへの招待や更新状況などは、通知ダイアログで随時表示される
ワークスペースへの招待や更新状況などは、通知ダイアログで随時表示される

参加者の招待は、初めての参加の場合は電子メールで、1度でもGrooveのワークスペースに参加したことのあるユーザーはメンバーに登録されるため、対象ユーザーを選択して招待を行なうだけでできる。電子メールで招待する場合は、Grooveを持っていないユーザーでも利用できるように、期間制限付きの体験版が用意され、メールの文中にダウンロードURLが記述される。参加者同士の接続は、マイクロソフトが用意する無料のホスティングサーバーがDNSのように働いて、接続を仲介するため、プライベートIPアドレスしか割り当てられていない環境でも、容易に接続できる。後述するサーバーソフトで通信中継の管理を行なうことも可能だ。使用するポートはGrooveが標準ポートとして使用するもの以外に、HTTPの接続に使うポート80などを自動で利用できる。

セキュリティー重視がGrooveの特徴のひとつである。各クライアントはインストール時に生成される固有ID(デジタル指紋)で区別され、ユーザーは匿名での接続ができない。通信は暗号化されており、認証されたユーザーのみがアクセス可能という。Grooveで作成したデータは各クライアントパソコン上に保存されるが(後述するサーバーを利用しない場合)、これも暗号化されている。

Grooveは“ハイブリッド・アーキテクチャ”を称しており、使用形態にさまざまなバリエーションが用意されている。クライアント同士で接続、作業を行なう“P2P型”だけでなく、『Microsoft Office Groove Server 2007』(以下Groove Server)を使用した“クライアント/サーバー型”での運用も可能だ。Groove Serverは大きく、“Manager”“Relay”“Data Bridge”の3機能を備えている。Managerはサーバー側で運用管理やアカウント設定、ポリシー設定、セキュリティー監査を行なうほか、Active Directoryでのユーザー管理を利用することもできる。RelayはGrooveクライアント同士の通信を管理するほか、ファイアーウォール越えの設定やデータキャッシュ、クライアントが利用する帯域制御などが行なえる。DataBridgeはGrooveと他の業務システムとの連携をサポートする。

Grooveの機能を使ったデモとして披露された、チェスのデモ。ツールはJavaScipt等でさまざまなカスタマイズが可能で、Ajaxでできることはほとんど可能という ワークスペースのフォームをカスタマイズするデモ。フォーム部分はテンプレートから作成できるほか、HTMLなので多彩なカスタマイズが可能
Grooveの機能を使ったデモとして披露された、チェスのデモ。ツールはJavaScipt等でさまざまなカスタマイズが可能で、Ajaxでできることはほとんど可能というワークスペースのフォームをカスタマイズするデモ。フォーム部分はテンプレートから作成できるほか、HTMLなので多彩なカスタマイズが可能

Office systemの製品群でグループでの共同作業環境構築といえば、“SharePoint Server 2007”も同様の機能を果たす製品である。松田氏はSharePoint ServerとGrooveの違いについて、全社規模での永続的な情報共有に適するSharePoint Serverに対して、Grooveはプロジェクト単位やチーム単位での、短期的な作業に適するといった違いを挙げて、異なる属性の製品であるとした。またGrooveはSharePoint Serverとの連携も可能で、SharePointの“ドキュメントライブラリ”とGrooveのワークスペース上のデータで同期を取ることも可能という。またGrooveはそれ自体でメッセージングや音声配信の機能を備えているので、コミュニケーションツールとしてはSharePointより優れている面があるという。

Grooveは単体やOffice Ultimate 2007として販売されるほか、小規模・期間限定の用途向けに1年間のサブスクリプションライセンスとして提供される“Microsoft Office Live Groove”も用意される予定である。

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