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マイクロソフト、“the 2007 Microsoft Office System”の説明会を開催――各アプリやSharePoint Serverの新機能を説明

2006年05月31日 11時38分更新

文● 編集部 小西利明

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Officeに新しく加わったコラボレーションツール『Microsoft Groove 2007』
Officeに新しく加わったコラボレーションツール『Microsoft Groove 2007』

SharePointに続いて紹介されたのが、Officeに新しく加わった新アプリケーション『Microsoft Groove(グルーブ) 2007』だ。“Lotus Notes”の開発者として知られるレイ・オジー(Ray Ozzie)氏が立ち上げた企業、米Groove Networks社を米マイクロソフトが買収し、Officeの一員に加わることとなったアプリケーションである。

Grooveはグループ内でデータを共有して、複数のユーザーが同じアプリケーション上で閲覧や編集を行なうコラボレーションのためのアプリケーションである。企業のイントラネット内だけでなく、社外で活動する従業員やパートナー企業同士を結んでの共有も可能である。またピア・ツー・ピア型だけでなく、クライアント・サーバー型、オンライン/オフラインでの利用など、さまざまな形態で活用できる柔軟性を備えている。

Grooveの基本要素の説明図。メンバー一覧が右上にあり、ここからメンバーを招待する。中央の大きな画面がワークスペースで、上に並ぶ議題を選んで、下側の画面で作業を行なう
Grooveの基本要素の説明図。メンバー一覧が右上にあり、ここからメンバーを招待する。中央の大きな画面がワークスペースで、上に並ぶ議題を選んで、下側の画面で作業を行なう

デモでは、インスタントメッセージツール風のメンバーリストから、共有したい相手を選んで呼び出しを行ない、接続が確立するとネットワーク上に構築される“ワークスペース”をユーザー同士で共有して、さまざまな作業を行なえる様子が披露された。Grooveではファイル共有や会議・タスクの管理などが行なえるほか、チャットによる双方向のコミュニケーションや音声を一斉送信するといったコミュニケーション機能を持つ(双方向の音声通話はできない)。Grooveの中にコラボレーションに必要な機能は統合されており、ワークスペースのフォーマットの作成はエンドユーザーでも比較的簡単に行なえる。イントラネットを超えてコラボレーションを行なえる利点を備えているため、ビジネスだけでなく防衛分野でもすでに利用されているという。

Office systemの一員となったことで、GrooveはSharePointやInfoPathなどとの連携機能も搭載されている。特にSharePointとの連携では、Grooveのワークスペースで作成したデータをSharePointのドキュメントライブラリと同期したりといった機能が備わっている。Grooveはあくまで一時的にワークスペースを開いて共同作業を行なうといった用途に適するアプリケーションであり、作成したデータの長期保存・管理には適さないという。そこをSharePointと連携することで補うというわけだ。GrooveはOfficeの製品バリエーションの中でも、『Office Enterprise 2007』に含まれている。

GrooveとOffice systemの他の製品との連携機能。SharePointとの連携は中でも重要な機能と言える
GrooveとOffice systemの他の製品との連携機能。SharePointとの連携は中でも重要な機能と言える

その他のアプリケーション

WordやExcel、PowerPointなどOfficeの花形と言えるデスクトップアプリケーション類は、UIが大きく変更された点を共通の特徴としている。長年にわたり、UIを大きく変えることなく機能拡張は続けられてきたため、必要な機能を探すのがまず大変という問題を抱えていた。新しいUIでは“結果指向のインターフェース”をコンセプトに、現在選択可能な機能を動的にツールバー上に表示する“リボン”や“ギャラリー”、選んだ編集機能を実行することなく、画面で反映して結果を確認できる“ライブプレビュー”といった機能が備わった。

PowerPoint 2007の画面。メニューの下にサムネイルが横に並んだように見えるのが“リボン”で、スライドのテンプレートを選んでいる
PowerPoint 2007の画面。メニューの下にサムネイルが横に並んだように見えるのが“リボン”で、スライドのテンプレートを選んでいる

たとえばフォントの変更では、フォントを一覧するメニューから任意のフォントを選ぶだけ(変更はしない)で、画面上のテキスト表示が“そのフォントに変更した状態”に表示が変わり、実行する前に見栄えを確認できる。文字を変形させたりエフェクトをかける“ワードアート”や、で選択したテキストを図形内に当てはめる機能“SmartArt グラフィック”なども、リボン上で選ぶだけでダイナミックに表示が変わり、変更したらどうなるかを確認できる。特にWordやPowerPointでは役に立つ場面が多そうだ。

Word 2007で、本文のフォント変更を選択している様子。リスト上でカーソルを当てているフォントの見た目に、本文の表示フォントが動的に変更されている。確定するまでは実際に変更されないので、適切なフォントを選ぶ作業も楽になる
Word 2007で、本文のフォント変更を選択している様子。リスト上でカーソルを当てているフォントの見た目に、本文の表示フォントが動的に変更されている。確定するまでは実際に変更されないので、適切なフォントを選ぶ作業も楽になる
ワードアートをリボンから選んでいる様子。カーソルを当てたスタイルに、スライド上の文字列(効率的な~)の見た目が変わっている。これがライブプレビューの効果だ PowerPointでは、箇条書きに書いたテキストを“SmartArt グラフィック”で選んだ図形の中に自動で配置する機能もある。いちいち確定しなくても、さまざまな図形での見栄えを確認できるので、作業効率や完成品の見栄えは改善するだろう
ワードアートをリボンから選んでいる様子。カーソルを当てたスタイルに、スライド上の文字列(効率的な~)の見た目が変わっている。これがライブプレビューの効果だPowerPointでは、箇条書きに書いたテキストを“SmartArt グラフィック”で選んだ図形の中に自動で配置する機能もある。いちいち確定しなくても、さまざまな図形での見栄えを確認できるので、作業効率や完成品の見栄えは改善するだろう

ただWordやExcel、PowerPoint、Outlookなどは、UIは大きく変更されたものの、機能面では大きな追加要素は少ないという。機能面はほぼ成熟したので、それをいかに使いやすく提供するかに軸足を移したのが新しいOfficeと言えそうだ。

Outlook 2007では、添付ファイルのExcelやWordのファイルを、Outlookのビュー内で表示する機能が装備された。また予定表ではグループメンバーの予定を追加して表示もできる Exchange ServerもOffice systemに統合された。Exchangeにウェブブラウザーからアクセスする“Outlook Web Access”も改良され、携帯端末でメールや予定表を閲覧したり、音声メッセージを送ることもできる
Outlook 2007では、添付ファイルのExcelやWordのファイルを、Outlookのビュー内で表示する機能が装備された。また予定表ではグループメンバーの予定を追加して表示もできるExchange ServerもOffice systemに統合された。Exchangeにウェブブラウザーからアクセスする“Outlook Web Access”も改良され、携帯端末でメールや予定表を閲覧したり、音声メッセージを送ることもできる

またWord 2007、Excel 2007、PowerPoint 2007では標準のデータフォーマットが変更され、“Open XML Formats”と呼ばれるXMLベースのフォーマットとなった。OfficeのXML対応は段階的に行なわれてきたが、Office 2007でついに主要アプリケーションの標準フォーマットに採用されることとなり、この新フォーマットについての説明も行なわれた。

Open XML Formatsで保存されるデータは、たとえばWordの場合は拡張子が“.docx”、Excelでは“.xlsx”になるなど、末尾にxが付く形式となる。これはOffice 97でフォーマットを変更しながら拡張子は変更しなかったため、Office 95以前のバージョンでファイルを開けないという問題が発生したことの反省に基づくものだという。

新しいXMLベースのフォーマットで保存されるファイルは、Zip形式の圧縮ファイルになっている。ファイルの中には文書やスプレッドシートを構成するXMLや画像、マクロなどが詰め込まれていて、それぞれを個別に編集したり、入れ替えたりすることも可能だ
新しいXMLベースのフォーマットで保存されるファイルは、Zip形式の圧縮ファイルになっている。ファイルの中には文書やスプレッドシートを構成するXMLや画像、マクロなどが詰め込まれていて、それぞれを個別に編集したり、入れ替えたりすることも可能だ

.docxで文書を保存すると、“~~.docx”という単一のファイルが生成される。このファイルは実はZip形式圧縮ファイルで、その内部にはXMLで書かれた文書本体や、文書の構成要素の意味を定義した“カスタム定義スキーマ”、画像、埋め込みコード/マクロ、チャート図などが収録されている。文書を形作るすべての要素を、Zip化してまとめて1ファイルにしているわけだ。そのため拡張子を“.zip”に変えれば、ファイルの内容をすべて閲覧できる。デモでは解凍した.docxの中の画像ファイルを、同じファイル名の別の画像と入れ替えるだけで画像を変更するといった操作が披露された。

データフォーマットがXML化されたことの意義は、Office以外のアプリケーションからでも、Officeアプリケーション形式のデータを作成したり編集ができるという点にある。これは単にOffice互換のアプリケーションが作りやすくなるということに止まらず、文書やスプレッドシートをバックエンドサーバーで自動生成したり、一部分のみを自動変更するといったことが簡単に実現できる。フォーマットが持つ可能性は非常に幅広い。Open XML Formatsの仕様は無償で公開されているほか、標準規格化に向けた動きも進められている。またZipによる圧縮を行なうため、データサイズを従来より小さくできる効果もあるという。たとえばOpen XML Formatsの数千ページもある仕様書は、従来の.doc形式では約126MBもあったところが、.docx形式ではわずか約6.7MB程度にまで小さくなったという。

もちろんOffice 2007で従来形式のフォーマットを編集、保存することは可能である。さらに同社では従来のWordなどで.docx形式を編集、保存するための“Compatibility Pack”を、Office 2007のウェブサイトから提供している。対応するバージョンは、Office XPと2003のWord、Excel、PowerPoint。さらに企業内の従来形式で保存されているデータが、Open XML Formatsに変換できるかを確認する分析ツール“Office Migration Planning Manager”や、分析ツールの結果を元に変換しても問題ないファイルを自動変換する“Office File Conversion Tool”の提供も予定されている。

旧バージョンのWordやExcelでもXML形式のデータ保存を行なえるようになる、“Compatibility Pack”も提供されている
旧バージョンのWordやExcelでもXML形式のデータ保存を行なえるようになる、“Compatibility Pack”も提供されている

なおASCII24では、Office 2007のデスクトップ、サーバーの新機能について、詳しく解説する企画を準備中である。詳細についてはそちらも参照していただきたい。

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