Hi-MDでいい音を心配なく残そう
フラッシュメモリーやHDDを搭載したプレーヤーを何台か所有している筆者だが、ここ数年MDはあまり積極的に使ってこなかった。購入した最初で最後の機種は「MZ-R55」という録音再生機で、8年ほど前の話になる。レンタルCDの録音なども50~60枚行なったが、主に取材の録音用に使用してきた。理由としては、音質ではCD、管理の容易さではMP3のほうが優れていると感じていたからだ。率直に言って、MDという独自規格のライブラリーをこれから先も残せるかどうかに不安があった。しかし、MZ-RH1の登場でその不安はなくなった形になる。
SonyStyle限定のブラックバージョン |
過去のライブラリーを現在に生かせるというのがMZ-RH1の魅力だが、実際に音を聞いてみるとなかなかの高音質で、これから録音する音楽も積極的にこれに入れて聴きたいと考えるようになった。DAPの世界でも、音質にこだわった機種がいくつか登場してきているとはいえ、大半の機種は、本機の水準に到達できていないだろう。
MZ-RH1は中高域の透明度の高さと、引き締まって重量感のある低音が魅力だ。若干硬質だが、解像感が高く、非常にしっかりとした印象で、ソース本来の音を忠実に聞きたいという人にお勧めできる。HDデジタルアンプの搭載が音質に一役買っているようだ。また、パソコンで聞く際に再生ソフトが重要であることも改めて実感した。ソフトごとに音色や音質に特徴があり、同じソースを再生してもかなり異なる印象を持つ。iTunesやWindows Media Player、WinAmpなど、いくつかのソフトと聞き比べてみたが、カッチリとして硬質なSonicStageの音は「過去にMDで録音した音が、こんなに良かったとは!」と再認識させるものだった。
MDには13年超の歴史があり、過去に録音したMDのライブラリーが相当数あるという人も多いだろう。ポータブル再生環境としてはDAPが主流になりつつあるとはいえ、稼動数ではまだまだMDのほうが多いだろう。自分で編集したベスト盤を友達と交換したり、ドライブの際に車中で聞きたいといったニーズで活躍する場面も多い。DAPの世界では、プレイリストの公開などネットを使った新しい方法も登場しつつあるが、ファイル形式や著作権保護の関係で、他人とデータの受け渡しをするのは意外に面倒だ。
また、ラジオのエアチェックなどもパソコンよりも、ミニコンポなどのほうが得意な分野だ。パソコンにデータを取り込むことで放送の一部分だけを残すこともかんたんにできる。こういったMDの資産をパソコンやほかのポータブルプレーヤーで生かせる意義は大きいと思う。
そういう意味でMZ-RH1は、手軽に高音質なライブ録音がしたい“生録派”、MDをパソコンライブラリーに統合したい“資産継承派”、DAPの音質にはまだまだ不満がある“こだわり派”、ラジオ番組をMDコンポでタイマー録音して聞く“エアチェック派”(パソコンでラジオを録音するのは意外に難しい)などにとって魅力的な選択肢になると思われる。
ディスプレー部分。写真のメニューのほか、左右チャンネルの録音レベルを表示することもできる |
ブラックモデルは、側面のアクリルパネルとシームレス感が魅力的 |
なお、MZ-RH1の店頭モデルはシルバー1色だが、ソニーの直販サイト“SonyStyle”では、限定色のブラックも販売されている。ブラックボディーは、サイドのアクリルパネルとの一体感も高く、スタイリッシュだ。実際かなり好評なようで、SonyStyleでは、現在品切れ状態。6月以降の予約を受け付けている状態になっている(4月20日現在)。
MZ-RH1の主なスペック | |
製品名 | MZ-RH1 |
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対応メディア | MDディスク(60/74/80分)、Hi-MD規格専用1GBディスク |
録音時間 (Hi-MD規格専用1GBディスク使用時) |
PCMモード(リニアPCM/1.4Mbps):約1時間34分、Hi-SPモード(ATRAC3plus/256kbps):約7時間55分、Hi-LPモード(ATRAC3plus/64kbps):約34時間 |
録音時間 (80分ディスク/Hi-MDフォーマット) |
PCMモード(リニアPCM/1.4Mbps):約28分、Hi-SPモード(ATRAC3plus/256kbps):約2時間20分、Hi-LPモード(ATRAC3plus/64kbps):約10時間10分 |
録音時間 (80分ディスク使用時) |
SPモード(ATRAC/292kbps):約1時間20分、LP2モード(ATRAC3/132kbps):約2時間40分、LP4モード(ATRAC3/66kbps):約5時間20分 |
本体で再生可能な形式 | MP3(32~320kbps)、ATRAC3(66~132kbps)、ATRAC3plus(48~352kbps)、リニアPCM(1.4Mbps) |
バッテリー寿命 (Hi-MD規格専用1GBディスク使用時) |
録音時:約6時間(PCM)、約9時間(Hi-SPモード)、約10時間30分(Hi-LPモード)、 再生時:約10時間(PCM)、約15時間30分(Hi-SP)、約19時間(Hi-LP)、約16時間30分(MP3) |
バッテリー寿命 (60/74/80分ディスク、MDモード使用時) |
録音時:約8時間30分(SP)、約10時間30分(LPモード)、約12時間(LP4モード)、 再生時:約15時間30分(SP)、約17時間30分(LP2)、約19時間(LP4) |
電源 | リチウムイオン充電池「LIP-4WM」(3.7V/370mAh。USBバスパワー充電対応) |
インターフェース | USB 1.1/2.0 |
入出力端子 | MIC端子、LINE-IN端子(光入力端子兼用)、専用リモコンジャック付きLINE-OUT端子(ヘッドホン端子兼用) |
サイズ(W×D×H) | 87.7×87.7×17.3mm |
重量 | 約106g(バッテリ装着時) |