ソニーから録音再生型Hi-MDウォークマンの新製品「MZ-RH1」が発売された。これまでのMDは、同じようにデジタル化されているのに、パソコンのライブラリーとは別々に管理しなければならかった。しかし、MZ-RH1ではMDに録音した音楽を、劣化なしにパソコンのHDDにコピーして再生もできる。「MDの資産をパソコンで聴いたり、ウォークマンAなどとも共有したい」。そんな要望に応えてくれるのが本機である。
1GBのHi-MDディスク |
MDの資産を“継承”し、“発展”させられる
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Hi-MD規格は、MDの上位規格として、2004年に登場した。従来のMDメディアを再生できるのはもちろんのこと、現行の“録音用MD”(60~80分)や“1GBの専用メディア”をHi-MDフォーマットすることで、最大45時間(※1)の長時間録音を行なったり、パソコンのリムーバブルストレージとして活用できるのがウリである。
録音形式には不可逆圧縮のATRAC3/ATRAC3plusに加えて、非圧縮のリニアPCM(44.1kHz/16bit、1.4Mbps)も選択できる。CDと同等のクオリティーで、約1時間半の録音が可能だ。楽器演奏などをマイクで録音する“生録派”にとっては、これまでDATウォークマンという有力な選択肢があったのだが、昨年出荷が完了した。ローランドの「R-09」やM-Audioの「MicroTrack 24/96」など、本機と同価格帯で、メモリーカードに非圧縮で96kHz/24bitの記録が録音ができる機種も存在するが、Hi-MDのメディアは1GBでも700円程度と単価が安い。バッテリーも、PCM録音時で最大6時間持ち、競合製品より若干長くなっている(R-09が4時間、MicroTrack24/96が5時間)。
※1 ATRAC3plus形式の48kbpsで記録した場合別売のコンデンサーマイク(ECM-MS907)で、野鳥の声などを録音してみたが、周囲の雰囲気をかなりリアルに記録することができた。マイクはプラグインパワーで動作する。 | 操作部分は一方の側面にまとめられている。右側に録音や選曲用のスイッチ、左側にボリュームスイッチが見える。黒いアクリルパネルは有機ELディスプレーとなっている。 |
規格の独自性が高く、著作権保護も厳密なため、“閉じたフォーマット”という印象の強いMDだが、Hi-MDウォークマンは2005年の機種で、汎用性の高いMP3のファイルをパソコンから転送できるようになっている。また、Hi-MDで生録したデータをWAVE形式で変換して、パソコン上で編集したり、ほかの再生ソフトで開くこともできる。
唯一できなかったのは、「プレーヤー側でMDにデジタル録音したデータを、パソコンに移すこと」だった。MDには“SCMS”(Serial Copy Management System)という著作権保護機能があり、光入力で取り込んだデジタル信号をエンコードした際、そのデータをデジタルのまま出力できないためだ。しかし、これもMZ-RH1で可能になる。「もはやMDは閉じたメディアではない」と言うのが筆者の感想だ。