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ザウルス SL-C3200

ザウルス SL-C3200

2006年04月04日 10時18分更新

文● 藤田 実

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フォトストレージ、モバイルマップnavi、乗換案内の連携が強化

 PIM(個人情報管理)ソフト、ウェブブラウザーの「NetFront 3.1」、メールソフト、ザウルスショット、ザウルスドライブ、ワープロ、表計算ソフト、メモ帳、音楽/動画再生ソフトなど、ザウルスの伝統的なソフトはほぼ従来通り搭載されている。ワープロ、表計算ソフトについては、SL-C1000から多くのテンプレートが収録されたのがうれしい。地味だが実用的な改善点といえるだろう。

 今回、別売ではあるがカノープス(株)のパソコン用動画ファイル変換ソフト「かんたん換太郎 for ZAURUS」がオンライン販売され、シャープのプレスリリースにも盛り込まれているのは心強い味方だ。動画ファイルには様々なフォーマット(およびパラメーター)が存在し、各ハードウェアに最適な変換のための設定を探すのは、かなりの手間とノウハウを必要とする。ハードウェアメーカーが認定した専用変換ソフトの存在は、多くのユーザーにとって、安心して購入できる頼もしい存在になるだろう。

フォトストレージ
画面9 容量の大きいJPEG画像も扱え、デジタルカメラのメモリーカードから一気に内蔵ハードディスクへコピーするなどの機能も備えるフォトストレージも、バージョンアップされた。

 そのほかにバージョンアップが確認できたソフトは、「フォトストレージ」と「モバイルマップnavi」、「乗換案内」だ。フォトストレージは、exif情報に記録されたGPS位置情報を元にモバイルマップnaviを起動したり、逆にモバイルマップnavi側から対象位置の画像を指定して起動できるようになった。なお、SL-C3200に内蔵されたフォトストレージはVer 1.1.0だが、SL-C3100/C3000ユーザーはモバイルマップnavi対応の新バージョンVer 1.0.2をシャープのサイトからダウンロードできる(ザウルスフォトストレージの公式ページ)。

乗換案内
画面10 乗換案は時刻表対応版となり、実際の発車時間にあった検索が可能になった。モバイルマップとの連係機能も追加されている。

 また乗換案内もバージョンアップされ、“時刻表対応版”になるとともに、検索結果の駅名をタップしてモバイルマップnaviで駅周辺の地図を確認できるようになった。この機能を利用するには、「乗換案内時刻表対応版2006年2月版以降」と「モバイルマップNavi Ver 2.0以降」である必要がある。いずれもSL-C3200には最新バージョンが搭載されているので問題ないが、従来機種のユーザーがこれらの機能を利用したい場合は、製品版を購入するなどしてバージョンアップする必要がある(乗換案内for Zaurusの公式ページ/モバイルマップNaviの公式ページ)。

モバイルマップ1 モバイルマップ2
画面11 フォトストレージや乗換案内との連動機能が強化されたモバイルマップ。乗換案内の検索結果画面から、九段下駅周辺の地図を表示させてみたところ。画面12 モバイルマップのサイトからダウンロードした無線LANスポットデータを追加登録すると、地図上にアンテナアイコンが表示されるようになる。アイコンをタップすると、このような登録データが表示される。

 なお、モバイルマップNaviのサイトでは、無線LANスポットの位置情報データなども配布されている。確認したい無線LANスポットサービスのCSVデータをダウンロードして、指定されたディレクトリに保存。あとはファイルを指定するだけで、地図上にアイコンが表示され、タップして詳細情報を確認できるようになる。なかなか便利で楽しい機能なので、ぜひ使ってみてほしい。さらに、自分で作ったデータをCSVデータとして作成することもできるので、自分の足で調べたオリジナルデータを作成して、オンライン配布すれば、ザウルスユーザー同士で便利に活用できるだろう。

ザウルスのこれから

 ここまでSL-C3200について、今回は主に従来製品からの変更点に注目して見てきたが、やはりハードディスクの容量アップ、一部コンテンツの差し替えとソフトのマイナーバージョンアップに留まった感は否めない。

 ユーザーのブログなどでは、今回の仕様については“残念”と思われている方も多いようだ。特に、無線LANやBluetoothなどの無線通信機能が標準搭載されなかった点については、私も多少同じような感想を持った。かたや、W-SIMスロットと無線LAN機能を内蔵したW-ZERO3が登場したことが、少なからず影響しているとも想像される。

 しかし、ザウルスが持つノートパソコンに近いデザイン、大容量HDD、高音質内蔵スピーカー、多彩なインターフェースによる拡張性といった特徴を活かして、電子辞書ユーザーにも強く訴求していこうというシャープのアプローチは高く評価したい。現在の専用電子辞書では対応しきれない、通信手段を限定しないウェブブラウズ、電子メールなどの機能拡張性、逆に通信を必要としないオフラインでの多彩なコンテンツ利用、ザウルスショット、ザウルスドライブ、Outlookとのシンクロといったパソコンとの親和性……など。これらを活かしたPDAメーカーの雄としてのシャープの取り組み、そしてザウルスのより一層の成長を、これからも期待していきたいと思う。

ザウルス SL-C3200の主なスペック
製品名 ザウルス SL-C3200
OS Lineo uLinux
CPU Intel XScale PXA270-416MHz
本体メモリ SDRAM 64MB(ワークエリア)+フラッシュメモリ 128MB
HDD 6GB(出荷時空き容量 約4.5GB)
モニタ 3.7型 バックライト付き透過型システム液晶(感圧式タッチパネル)
解像度 640×480ドット/6万5536色(30万7200画素)
カードスロット SDカードスロット×1、CFカードスロット(TypeII)×1
I/O USB 2.0×1、ステレオヘッドホン×1、IrDA(115kbps)
電源 DC3.7V、リチウムイオン充電地(EA-BL11、取り外し/交換可能)
消費電力 3.2W
サイズ(W×D×H) 124×87×25mm
重量 約298g(タッチペン、保護カード、I/Oポートカバー、充電地含む)
Office Microsoft Officeとファイル互換のあるHancom製品搭載

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