追求したのはリアリティー
取材中にHD20GA7と「iPod」(第4世代)を比較して聴くことができた。チェックディスクのひとつでもあるという“テネシーワルツ”をiPodで聴いたところ、音質はクリアーで満足できるものだった。続いてHD20GA7を聴いた。すぐに感じられたのが、より透明感のある女性ボーカルの声と中低音の適度な厚みだ。強調のない自然な音という点では同傾向なのだが、HD20GA7の音を聞いた後ではiPodの音はずいぶんとあっさりしたものに感じる。音の良し悪しだけでなく情感の表現までできていると言ってもいいかもしれない。HD20GA7は演奏の細かなニュアンスや雰囲気などが伝わってきて、演奏者と同じ空間にいるような、そんな気持ちにすらなった。
「リアリティーの高さが魅力」と萩原氏は言う |
萩原氏が音をチェックするポイントして重視しているのは“音のつながり”であるという。特定の周波数帯域で強調感があると音に癖ができてしまいジャンルによって向き不向きが出てしまう。視聴の基本とするソースにはジャズやクラシックのようなあまり手を加えていないものを選び、フラットな音作りをするのが基本だという。
音質マイスターの耳を小川氏は“ある種犬に近い耳”と表現する。しかし、取材した感想では、萩原氏が優れた聴力を持つのはもちろんのこと、音に対する関心が人一倍強いのではないかという印象を持った。
音を聞き分けるためには脳の冴えが重要だ。試聴会も午前中が多いという。