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ACCS、“ACCS上海”の開設記念シンポジウムを開催、中国でのコンテンツ産業や著作権ビジネス動向についての講演を行なう

2005年07月15日 00時00分更新

文● 編集部 小西利明

ACCSの顔として幅広い活動を行なうACCS専務理事の久保田裕氏
ACCSの顔として幅広い活動を行なうACCS専務理事の久保田裕氏

(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は15日、東京都内にて“ACCS上海”開設記念シンポジウム“日中著作権ビジネス成功のカギ”を開催。中国でのコンテンツビジネスや著作権ビジネスと、それに関わる中国の動向についての講演を行なった。

シンポジウムの冒頭で、ACCS専務理事の久保田裕氏はACCS上海(電子計算機軟件著作権協会上海事務所)についての説明を行ない、上海で活動する日本企業へのフォローアップや、日中間コンテンツビジネスの支援として、情報提供などを行なうとした。また中国の行政当局や著作権団体との連携、大学などへの講演を通じた教育/啓蒙活動、ゲームやアニメ等の日本産コンテンツの海賊版流通に関する情報収集なども行なうという。また久保田氏はACCS上海の役割のひとつとして、現地在住の日系企業における不正コピー防止活動も重要な役目であるとした。今回のシンポジウムを開催した理由について久保田氏は、日中の情報が正しく交流するようにならないと、文化的な側面を持つコンテンツビジネスは非常に難しいと感じたとして、中国の現状を伝えたいということだった。

また“海賊版の天国”と言われた中国の著作権保護についての現状についても短く触れ、著作権保護に関する法整備の進展や、違法行為に対する法執行など、中国国内でも著作権保護への取り組みが進み始めている状況を紹介した。

JETRO上海 上海代表処 コンテンツ海外流通促進センター長の中澤義晴氏
JETRO上海 上海代表処 コンテンツ海外流通促進センター長の中澤義晴氏

久保田氏に続いては、独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)のJETRO上海 上海代表処 コンテンツ海外流通促進センター長の中澤義晴氏により、“中国におけるエンターテイメントコンテンツ市場の今”と題して、TV放送やアニメーション、音楽などの市場動向についての講演が行なわれた。中澤氏はまず、中国ではコンテンツ市場全体に関する信頼できる統計資料がない点、また調査範囲が上海周辺に止まるため、地域によって事情が異なる場合の多い中国の他地域でも通用するかどうかは分からない点を明かした。ちなみにJETROが作成した中国のコンテンツ市場に関する調査資料は、JETROのウェブサイト上で入手可能である。

続いて中澤氏は、中国のメディア監督機関の構成と上海でのTV局事情について触れ、上海市では“上海文広局”という地方管理機構がTVやラジオの放送、映画などを管理しているという。またTV局は複数のチャンネルを保有しており、現在上海では66チャンネル以上ものチャンネルが見られる多チャンネル環境にあるとした。上海ではTVドラマの人気が他地域よりも高い傾向があり(全国での視聴傾向調査では29.4%に対して、上海では40.3%)、現在では韓国TVドラマの人気が高く、80年代に人気のあった日本のTVドラマは下火であるという。また中澤氏はドラマの影響力は、音楽やライフスタイルにも影響を与えると述べ、音楽分野などで日本のコンテンツのプレゼンスが下がっているのも、そうした影響があると分析した。

中国のメディア管理・監督機構の図。この図にない機関もあり、コンテンツ産業はさまざまな監督官庁の規制を受けている
中国のメディア管理・監督機構の図。この図にない機関もあり、コンテンツ産業はさまざまな監督官庁の規制を受けている

日本のTVアニメは中国でも人気があるが、アニメを含む子供番組自体は視聴傾向調査で2.5%程度と、実はあまり見られていないという。一方で中国政府は国産アニメ産業育成にも力を入れていて、国産アニメの制作量と海外輸入アニメの量の均衡を図ったり、放送比率で国産アニメの割合を海外アニメより高くするという規制があるそうだ。北京や上海、湖南省などでは、衛星アニメ専門チャンネルもあるという。上海でのアニメチャンネルの主な視聴層は4~34歳で約80%を占めているそうで、以前は14歳までが主だったのが、海賊版販売やインターネットでの不正流通などにより、25~34歳が新たなユーザー層のピークとなっているとのことだ。こうした年齢層は、子供時代に輸入された日本のTVアニメを見て育った層でもあるという。

上海のアニメ専門チャンネルの視聴者層グラフ。ローティーンと25~34歳がピークとなっている
上海のアニメ専門チャンネルの視聴者層グラフ。ローティーンと25~34歳がピークとなっている

国産アニメの振興には力が入れられているものの、現状では人気が高いのは圧倒的に日本のアニメであるとのことだ。中澤氏は審査員として呼ばれた、上海でのあるコスプレ大会の参加者に国産アニメについてたずねた時の話題を披露し、「中国の国産アニメは全年齢層対象のものばかりで、キャラクターの個性が希薄である。個性的な日本のアニメの方がいい」という話を聞かされたという。中澤氏はそうした違いについて、日本と中国でのアニメ/漫画市場の構造の違いがあるのでは、との意見を述べた。日本では大量の漫画雑誌が底辺にあり、そこで育成され人気を博した漫画がアニメやゲームに展開していく構造があるのはよく知られたことだ。一方の中国では漫画雑誌が産業として弱く、一番人気の雑誌でさえ発行部数10万部程度という状況にあるそうだ。そのためコンテンツの作り手の裾野が狭く、良質の原作やクリエイターが出てこない問題があると指摘した(同様の構造的問題は韓国でも指摘されている)。しかし中澤氏は、10年後に現在のコア視聴者が作り手に回る頃に回れば、状況は変わるかもしれないと述べた。

中澤氏が分析する日本と中国のアニメ/漫画市場の構造の違い。膨大な漫画市場が裾野となって、その上のコンテンツ産業を支えている日本に対して、中国はキャラクター商品開発先行で、作り手の裾野が形成されていないとする
中澤氏が分析する日本と中国のアニメ/漫画市場の構造の違い。膨大な漫画市場が裾野となって、その上のコンテンツ産業を支えている日本に対して、中国はキャラクター商品開発先行で、作り手の裾野が形成されていないとする

中澤氏は最後に、中国市場では海賊版コンテンツが横行しているものの、消費者のエンターテイメントコンテンツに対する興味は強いとして、どうやって著作権ビジネスで儲けるのかを、日中が共同で考えていく必要性を説いて、講演を終えた。

中国での著作権ビジネスについて語る技術経営創研 代表取締役社長の張輝氏
中国での著作権ビジネスについて語る技術経営創研 代表取締役社長の張輝氏

知財ビジネスやコンテンツビジネスへの支援を手がける、(株)技術経営創研 代表取締役社長の張輝(ちょうき)氏は、“中国著作権ビジネス進出成功の秘訣”と題した講演を行なった。張氏は「著作権ビジネスは文化ビジネスであり、特許のような産業財産権とは異なる」とまず述べた。また中国へ進出する日本企業が、工場設置のような“中国人の手”を求めるものから、金融やコンテンツビジネス、知財ビジネスといった“中国人の口や頭”に注目する方向に変化しているとした。

一方で中国特有の事情への理解も必要として、“政策が市場を作る”社会主義的市場経済、世界貿易機関(WTO)加盟により国際ルールに則った体制への“大転換の途上”にあること、文化産業が政治に関わることもあること、地域や年齢層、民族によって傾向が大きく異なる場合があることをなどを述べた。張氏によれば、中国で“中産階級”に当たる層は25~39歳程度の“若年層”であり、外資系企業勤務や自営業を営む中国の若者は、“資産があって流行に敏感で消費意欲も高い”という。また著作権ビジネスの場合、現地の人がどのようなコンテンツに興味を持っているか、個人対象のマーケティングリサーチが重要となると述べた。

中国の世帯年収の年齢別グラフ。40歳未満の若い年齢層が、年収10万元以上の高収入世帯の半分以上を占めている
中国の世帯年収の年齢別グラフ。40歳未満の若い年齢層が、年収10万元以上の高収入世帯の半分以上を占めている

張氏は中国での著作権ビジネスを検討している企業に対してのアドバイスとして、“(リサーチを通じて)まず市場を探すこと”“地方の首長など行政機関と接触して、行政の持つ情報を利用すること”さらに“一時的に権利処理のことは忘れて、ビジネスの観点から考えることが重要”の3点を挙げた。また中国側にパートナーを作り、パートナーとの構成で展開することも重要であるとした。最後に張氏は「日本から中国に行くよりも、中国から日本に行くほうが大変。欧米で足場を築いてから日本に進出したハイアール(中国の家電メーカー最大手)がその例」と述べ、講演を締めくくった。

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