写真1、2 Cyber-shot Tシリーズの最新機種「DSC-T7」。ボディはアルミ合金製でシルバーとブラックの2色が用意されている。写真は試作機で、製品と若干の相違部分があります。 |
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市場には、さまざまなタイプのデジタルカメラが並んでいるが、その中でいま一番人気があるのは、文句なしに「スリム&スタイリッシュ」と呼ばれるジャンルだ。
薄型で大画面の液晶を搭載し、かつデザインや質感にこだわった製品群は一番の売れ筋であり、各社が最も力を入れているジャンルでもある。ソニーの「Cyber-shot T」は、その中でも上位の人気を博してきたシリーズで、2003年11月に発売された「Cyber-shot DSC-T1」(レビュー記事はこちら)以来、T11(レビュー記事はこちら)、T3(ニュース記事はこちら)、T33(ニュース記事はこちら)とこれまで4モデルが投入されてきた。
このCyber-shot Tシリーズの最新モデルとなるのが「Cyber-shot DSC-T7」である。
薄型ボディは質感にも配慮
写真3 別売で用意されるスポーツパック(SPK-THA、価格1万1550円)。水深3mまでの防水防塵性能を持つため、水辺やシュノーケリング程度の使用ならマリンパックより手軽。105gと軽量で、装着しても薄さ28mmとあまりかさばらない。 |
今回投入されたCyber-shot T7の見どころは極めてシンプルだ。携帯性に優れたデジタルカメラが欲しいなら、本機を購入の候補に入れてほしい。
T7を手に取ってまず驚かされるのは、その薄さだ。レンズバリア部分を除いた本体の最薄部はわずか9.8mm。スリムコンパクト機とはいえ、光学ズームを搭載した機種では20~25mm程度の厚さが一般的。これまでのTシリーズで最薄のT1(17.3mm)と比べても57%程度と非常に薄く収まっている。
本体はアルミ合金製で、色はシルバーとブラックの2色が選べる。金属製のボディは質感も上々で、評価機のブラックモデルでは、前面にヘアライン加工を施すなど、表面処理にもこだわりを感じた。
写真4 Cyber-shot T7で使用するインフォリチウムEバッテリ「NP-FT1」(価格5880円)は非常に小型で、従来のNP-FT1より長さが11.1mm小さくなっている。 |
デザイン上のアクセントとなっているのが本体前面に用意されたレンズバリアで、下方向にずらすことで本体が起動する。本体をなるべく薄くするためか、T11以降の機種ではレンズ部分がむき出しになっていた(プロテクタで保護はされていた)が、T7では初代のT1に、より近いデザインとなった。レンズバリアはデザインや操作性以外に、本体の強度を確保する役割もあるという。
写真5、6 従来機との最も大きな違いは、十字キーの位置。縦向きに入る屈曲光学系の関係で従来の右から左に移った。本体は本当に薄く、CCDサイズ(1/2.5型)の関係からもほぼ限界に近いサイズではないか。 |
光学3倍のズームレンズは、従来同様、屈曲光学系(インナーズーム)で、焦点距離は38~114mm相当(35mmフィルム換算)とやや望遠寄り、開放F値は3.5~4.5と若干暗めだ。屈曲光学系は本体の薄型化が容易なほか、レンズが前後に繰り出さないぶん起動が速く(約1.1秒)、マクロにも強いという利点(拡大鏡モードで最短1cm)がある。ただし、プリズムを使って光軸を90度折り曲げるため、若干画像が甘くなる傾向がある(従来機種にもその傾向があった)。評価機は量産試作機だったため、画質の評価は行なっていないが、機会があれば、本誌Webサイトで、実写サンプルの掲載や評価を行ないたい。
写真7 USB、ビデオ出力、AC電源の接続などは外付けのアダプタを介して行なう。 |
T7の開発に当たってソニーは「薄さを最優先に考えた」という。その影響は操作性に若干表れているようだ。まず最初に気づいたのが十字ボタンの位置である。Tシリーズの十字キーはこれまで、右手の親指で操作できる位置に置かれていたが、レンズ収納スペースの関係上左側に移ったため、両手での操作が基本になった。
また、バッテリ収納部のロック方法が若干特殊だったり(ロック用のスイッチがフタの外側に出ている)、電源ボタンが小さくあまり一般的でない場所に置かれているため、初めて使った際にとまどいを感じた。もっとも、バッテリはたびたび入れ替えるものでもないし、電源の位置も一度使えば分かるので、大きな問題ではないだろう。
大画面を
使いやすさに生かしてほしい
写真8 側面の電池収納部はやや特殊な形状で、フタを開けたあと、ロックを外して電池を取り出す仕組み。大き目のストラップ取り付け金具はホールドしやすさの理由にもなっている。 |
カメラとしての基本スペックは、従来製品と大きな変更はなく、撮像素子は1/2.5型有効510万画素のCCD、背面液晶は2.5型のクリアフォト液晶で23万画素と高精細。記録メディアにはメモリースティックDuo/PRO Duoを使用する。画像処理エンジンの「リアルイメージングプロセッサー」は、従来JPEG/TIFFへの圧縮後に行なっていたノイズリダクション処理をRAWデータの段階で行なうことでよりクリアな画質が得られるようになったという。また、今まで3:2モード/スマートズームなどの撮影モードでもヒストグラム表示が可能になった。
撮影機能はプログラムオートとシーンモード中心にシンプルにまとまっており、特に目立った特徴はないが、レリーズラグ約0.009秒、シャッターラグ約0.24秒、撮影間隔約0.9秒と動作が軽快な点はスナップ&メモ撮りカメラとして好感触。
写真9 本体にはヘアライン処理が施され高い質感を感じる。 |
ただし、アイコン中心のメニュー構成は、それが何を指し示すのかが若干分かりにくい。他社の機種では文字や画像による細かな説明が出るのが主流となっているので、せっかくの大画面液晶を生かすという意味でもブラッシュアップを期待したい。
実売価格は6万円前後と同クラスの製品に比べ1~2万円前後高価となるが、本体の質感と何より持っていることを忘れてしまう携帯性の高さは大きな魅力だ。質感も上々なので、手軽に運べるスナップ機の購入を検討しているのなら、ぜひ店頭で試してほしい。
写真10 フォトスタンドとして使える付属の三脚アダプタ上に置いたところ。 |
Cyber-shot DSC-T7の主なスペック | |
製品名 | Cyber-shot DSC-T7 |
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撮像素子 | 1/2.5型有効510万画素CCD |
ズーム倍率 | 光学3倍 |
焦点距離 | 38~114mm相当 |
開放F値 | F3.5~4.4 |
出力サイズ | 最大2592×1944ドット |
記録形式 | JPEG |
動画モード | 最大640×480ドット/30fps |
液晶モニタ | 2.5型半透過型液晶(23万画素) |
記録メディア | メモリースティックDuo |
電源 | インフォリチウムE(NP-FE1) |
バッテリ寿命 | 150枚(標準撮影時) |
サイズ(W×D×H) | 91.7×60×9.8mm |
重量 | 114g(本体のみ) |