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最新ファンレスミッドレンジカードのパフォーマンス検証

最新ファンレスミッドレンジカードのパフォーマンス検証

2005年05月25日 01時24分更新

文● 鈴木 雅暢

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最新ファンレスミッドレンジカードのパフォーマンス検証

low-k 0.11μmプロセスが変えた
ファンレスの新基準

 静音システムの構築に欠かせないのがファンレスのビデオカード。ローエンドのGPUを搭載したカードがファンレスなのは珍しくないが、最新のゲームタイトルが快適にプレイできるミドルレンジのファンレスカードは貴重で、ニーズは常にある。半導体製造技術の進歩により、ここにきてこれまでよりワンランク上のファンレスカードがいくつか登場してきた。ここではその性能と消費電力などを見ていきたい。

 最近登場してきたファンレスカードは、ほぼすべてがlow-k層間絶縁膜と呼ばれる誘電率の低い絶縁層を採用した0.11μmプロセスルールで製造されたGPUを搭載したものだ。low-kとはトランジスタの層を接続している配線に関連するもの。半導体の配線周囲にある絶縁層の誘電率を低くすることで寄生容量を減らし、結果としてより低い電力で高速に動作できる。Intelの90nmプロセスにも採用されている技術である。

 この0.11μm/low-kプロセスは台湾のファウンドリ(半導体チップの生産を請け負う企業)であるTSMCのプロセスで、NVIDIAはGeForce 6600GTなどで早くから採用していたが、ATIの各種チップが採用したことでATI製GPUの消費電力が低下。それまではファンが必須だったRADEONX700PROを搭載したファンレスカードが、複数のベンダから登場している。また、GIGABYTEからはGeForce 6600GTをファンレス化したカードが登場。6600GTはパイプライン数も多くクロックも高いのでファンレスはあまり例がないが、これらの性能は興味があるところだ。ファンレスではないものの、同じくlow-k/0.11μm化で省電力化したX800搭載カードも合わせて、これらの実力がどのようなものか見てみよう。参考までにハイエンドに属するRADEONX800XTの結果も掲載する。

ファンレス&オーバークロックのGeForce 6600GTカード

GV-NX66T128VP
GV-NX66T128VP
●GV-NX66T128VP
日本ギガバイト
http://www.gigabyte.co.jp/
実売価格
2万6000円前後
GeForce 6600GT
●GeForce 6600GT 12ピクセルパイプ/3バーテックスパイプとピクセルパイプを重視した設計。コア/メモリは530MHz/1.1GHzにオーバークロックされている。

 GIGABYTE製のGeForce 6600GT搭載ファンレスカード。ヒートパイプで前面のヒートシンクから裏面の大型ヒートシンクへと熱を移動させて放熱を行なうシステムだが、ヒートシンクは山型のユニークな形状で、コア/メモリスピードは定格500MHz/1GHzに対して、それぞれ530MHz/1.1GHzへとオーバークロックされているのも特徴。コンポーネント出力に対応したIN/OUTボックスが付属する。

GV-NX66T128VP
ビデオチップGeForce 6600GT
ビデオメモリGDDR3 128MB
インターフェイスPCI Express x16
エンジンクロック500MHz
メモリスピード1.1GHz(550MHz DDR)
メモリバス幅128bit
ピクセルパイプライン12本
バーテックスパイプライン3本
コネクタデジタル(DVI-I)、アナログ(RGB)、TV出力
ボードサイズW172×H98(ヒートパイプ含109)mm
ヒートシンク高(上/下)約16mm/約17mm
付属品DVI→RGBアダプタ、ビデオ出力ボックス(S端子/コンポジット/コンポーネント対応)など

ファンレスの新標準「RADEON X700PRO」搭載カード

XIAiX700PRO-DV128 HP
XIAiX700PRO-DV128 HP
●XIAiX700PRO-DV128 HP
XIAi
http://www.xiai.jp/
実売価格
2万6000円前後
RADEON X700PRO
●RADEON X700PRO 8ピクセルパイプ、6バーテックスパイプの典型的ミドルレンジ。0.11μm/low-kプロセスの導入により省電力化し、ファンレスが可能に。

 XIAiブランドのRADEON X700PRO搭載カード。こちらもヒートパイプを使って表面のヒートシンクから裏側の大型ヒートシンクへ熱を移動させて放熱するシステムを採用。キッチリしたシャープなデザインが特徴的だ。コアクロック、メモリスピードはそれぞれ425MHz/860MHzと定格どおりのスペック。S端子、コンポジット、コンポーネント出力に対応したビデオ変換ケーブルが付属する。

XIAiX700PRO-DV128 HP
ビデオチップRADEON X700PRO
ビデオメモリGDDR3 128MB
インターフェイスPCI Express x16
エンジンクロック425MHz
メモリスピード860MHz(430MHz DDR)
メモリバス幅128bit
ピクセルパイプライン8本
バーテックスパイプライン6本
コネクタデジタル(DVI-I)、アナログ(RGB)、TV出力
ボードサイズW168×H98(ヒートパイプ含120)mm
ヒートシンク高(上/下)約16mm/約17mm
付属品DVI→RGBアダプタ、ビデオ分岐ケーブル(S端子/コンポジット/コンポーネント対応)など

low-k 0.11μmプロセス製造のRADEON X800搭載カード

PowerColor X800
PowerColor X800
●PowerColor X800
日本ギガバイト
http://www.gigabyte.co.jp/
実売価格
2万6000円前後
RADEON X800
●RADEON X800 X800シリーズの最下位チップ。メモリバスは256bitとミドルレンジの2倍だが、ピクセルパイプが12本で、クロックも低め。

 X700の上位にあたるX800シリーズにも、同じタイミングで0.11μmのlow-kプロセスが導入され、ファンレスまではいかないものの、大幅に冷却装置が簡略化されたモデルが出てきた。本製品もその1つで、非常に簡素な冷却装置が印象的。電源コネクタも省かれ、スロットからの供給のみでまかなえるようになっている。メモリスピードは700MHzだが、コアクロックは定格より10MHz低い390MHz。

R43A-ND3
ビデオチップRADEON X800
ビデオメモリGDDR3 128MB
インターフェイスPCI Express x16
エンジンクロック390MHz
メモリスピード700MHz(350MHz DDR)
メモリバス幅256bit
ピクセルパイプライン12本
バーテックスパイプライン6本
コネクタデジタル(DVI-I)、アナログ(RGB×2)、TV出力
ボードサイズW196×H98(ヒートパイプ含109)mm
ヒートシンク高(上/下)約9mm/0mm
付属品DVI→RGBアダプタ、ビデオ分岐ケーブル(S端子/コンポジット/コンポーネント対応)など

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