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シリアルATAのAHCIをサポート――ICH6Rの実力検証

シリアルATAのAHCIをサポート――ICH6Rの実力検証

2005年02月15日 00時00分更新

文● 鈴木 雅暢

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ベンチマークテスト
単体でのNCQは逆効果か

 ここではICH6Rを使ったRAIDの効果とNCQの効果を見るためにベンチマークテストを実施した。テストプログラムにはWinBench99、HD Tach 2.70、Sandra 2004 SP2、PCMark04の4つを利用した。RAIDコントローラとしては、ICH6Rのほか、P5AD2 Deluxeにオンボード搭載されているSilicon ImageのSil3114(NCQ非対応)を利用している。

 DiskTransferRateやSandra、HD Tach 2.70のシーケンシャルリード/ライトでのICH6RがSil3114よりRAID 0のスコアがいいが、これはSil3114がPCI接続のコントローラであるため、PCIバスがボトルネックとなっているためだろう。単純なアクセスタイムを見るテストではRAIDを組んでも組まなくてもあまり差はみられない。唯一、ICH6RでRAID 1を組んだ場合のみ、HD Tach 2.70、WinBench99ともに好結果を残している。Sil3114のRAID 1と比べると差はRAID 0以上に歴然。RAID 1は2台のHDDどちらにも同じデータがあるため、コントローラが優秀ならリード要求を2台に振り分けることが可能(ストライピングでの読み出しとは別物)。この点でNCQとの相性もいいのかもしれない。ICH6RのRAID 1は他のテストでも全体的に成績が良く、コントローラとして相当に優秀だと考えられる。

 一方、単体ではSandraでもPCMark04でもAHCIモード(NCQオン)のほうが性能が低下しており、逆効果になっているような面もある。RAIDモードに関しては、全体的にICH6RのほうがSil3114より優れていると判断できる。PCIバスのボトルネックが深刻に影響してくるのはピーク性能のみなので、PCMark04の個別テストで優れている点などはコントローラの差、NCQの利点が出ていると判断していいだろう。ただ、PCMark04のSYSTEMではすべてが誤差程度の範囲内に収まってしまっているように、通常のデスクトップ向けアプリケーションレベルではHDD性能の違いを実感するのは難しい。

●HD Tach 2.7 Random Access Time

●HD Tach 2.7 Random Access Time
NCQの有無、RAIDの有無でアクセスタイムの差は特に見られない。ICH6RのRAID 1のみ少し抜けて高速。

●WinBench99 DiskAccessTime

●WinBench99 DiskAccessTime
これもアクセスタイムを計測するテスト。やはりここでもICH6RのRAID 1が高速になっている。

●HD Tach 2.7 Read Burst Speed

●HD Tach 2.7 Read Burst Speed
インターフェイススピードを計測するテスト。Sil3114ではPCIバスのボトルネックが表面化している。

●WinBench99 DiskTransferRate

●WinBench99 DiskTransferRate
シーケンシャルリード性能。ICH6RでのRAID 0は単体のほぼ2倍。Sil3114のRAID 0はそれよりやや劣る。

●Sandra 2004 SP2

●Sandra 2004 SP2
全体的にICH6Rのランダムリードの成績が良くないが、テストとの相性が良くない可能性もある。

●PCMark04

●PCMark04
HDD性能は出ているが、システムの総合性能を見るSYSTEMではRAIDの有無にかかわらず目立った差はついていない。

●PCMark04(HDD詳細)

●PCMark04(HDD詳細)
HDDの内訳。全体的にICH6Rが優秀で、特に一般アプリの動作をシミュレートするGeneral HDD Usageでの好成績が光る。

●共通テスト環境

CPU
Pentium 4 560
マザーボード
ASUSTeK P5AD2 Deluxe(Intel 925X/ICH6R)
メモリ
PC4300 DIMM×2(512MB)
グラフィックス
ASUSTeK Extreme AX600XT/TD(RADEON X600XT)
OS
Windows XP Professional(SP1)
そのほか
Direct X9.0b

 ICH6RでRAIDを構築しつつNCQだけをオフにするということができないので、どうしても歯切れが悪くなってしまうが、RAIDを組む場合は、マザーボードのオンボードRAIDコントローラを使うよりは、ICH6RでRAIDを組んだほうが高速だということは分かる。また単体ではNCQのアドバンテージも実感できないということもいえそうだ。今後おそらくIAARのバージョンアップが重ねられていくことだろうが、現状ではIAARのAHCI対応は中途半端な印象で、単体での利用が前提なら割高なシリアルATA IIドライブを購入するメリットは少ないといえる。

LGA775ソケットの脆弱性

 LGA775対応のCPUは、ソケット側にピンがあり、レバーで押さえつけて固定するというこれまでのソケットとはまったく異なる装着/固定方法をとる。自作経験の豊富な方にもまったくなじみのない方法で、実際に使ってみるまでは少なからず不安はあるだろう。加えて、これまでのmPGA478とそう変わらない面積に775本ものピンが高密度に配置されているLGA775ソケットはいかにも脆弱そうで、実際、手で触れてしまったりするとすぐに曲がったり折れたりしてしまう。そのためマザーボードメーカー各社は故障防止の注意文書などを添付して注意を促している。

 このLGA775ソケットの脆弱性は自作ユーザーの間でかなり心配されているが、最近の状況を見ると脆弱さだけがあまりに過剰に伝達されているようにも思う。実際使用してみるとピンは見た目の印象以上にしっかりしているし、CPUを置く枠があるので方向を間違う心配もなく、正しい装着方法を守ってさえいればそう簡単に故障するものではない。慣れてしまえばむしろこちらのほうが楽に感じるほどだ。たしかにマザーボードを縦にした状態で着脱するのは難しい(お勧めできない)が、何回も着脱を繰り返すテスト用にも十分に耐えているので、過剰に心配する必要はないだろう。

LGA775ソケット
LGA775ソケットは、ピンを露出した状態でソケットに衝撃が加えられるとすぐに故障してしまうが、使用方法を正しく守っていればまずこのようなことにはならない。使用しないときはソケットのカバーを装着して保護しておこう。

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