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【Macworld Expo 2005 Vol.2】新OS“Tiger”の新機能や、マルチメディアスイートなど盛り沢山の内容――Macworld Expo基調講演 ソフトウェア編

2005年01月14日 18時49分更新

文● 編集部 小西利明

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基調講演はMac OS Xの次バージョン“Tiger”で始まった。2005年前半の出荷を予定している
基調講演はMac OS Xの次バージョン“Tiger”で始まった。2005年前半の出荷を予定している

MacintoshやiPod及び関連商品の展示会“Macworld Conference&Expo/San Francisco 2005(Macworld 2005)”の基調講演では、米アップルコンピュータ社CEOのスティーブ・ジョブズ(Steave Jobs)氏により、同社の新しいソフトウェアについての、非常に力の入ったプレゼンテーションが行なわれた。Mac本体の新製品発表が、エントリーモデルの『Mac mini』のみだったのに比べると、ソフトウェア側は新OSの機能紹介や、新しいアプリケーションスイートの発表など盛り沢山。「本体の魅力でMacを牽引してきた既存の戦略から、アプリケーションへの転換が図られているのではないか」という識者の声も聞かれる。それでは基調講演で発表されたソフトウェアについて紹介したい。

新Mac OS X“Tiger”の検索機能“Spotlight”を大々的に紹介

新Mac OS X“Tiger”のデスクトップイメージ(2004年6月に公開されたもの)。右上の縦長のリストが、デスクトップ検索機能“Spotlight”の検索結果 Spotlightで検索できるデータタイプ。文書や電子メールといったテキストベースのものだけでなく、画像やオーディオデータに含まれるメタデータも検索できる
新Mac OS X“Tiger”のデスクトップイメージ(2004年6月に公開されたもの)。右上の縦長のリストが、デスクトップ検索機能“Spotlight”の検索結果Spotlightで検索できるデータタイプ。文書や電子メールといったテキストベースのものだけでなく、画像やオーディオデータに含まれるメタデータも検索できる

ジョブス氏による講演は、次世代のMac OS X v10.4、コード名“Tiger”の新機能についての紹介から始まった。今年前半にリリース予定のTigerには、200に及ぶ新機能が搭載されるというが、ジョブズ氏がコアフィーチャーとしてまず紹介したのが、“Spotlight”と呼ばれるパソコン内検索機能(デスクトップ検索機能)である。同種の機能は検索サイト大手の米グーグル(Google)社が提供する、アプリケーションタイプの“Google Desktop Serach”があるし、米マイクロソフト社の次世代Windows“Longhorn”にも搭載される予定である。しかしOSに統合された形で実装され、対応アプリケーションから自由に使えるようになるのは、Spotlightが初となるだろう。

Spotlightの大きな特徴は、ファイル名や文書ファイル内の文字列だけでなく、ファイル内のメタデータも検索対象としている点だ。メタデータとは、ある情報が何の情報であるのか、その意味を記述したデータのこと。たとえばMP3ファイルにおけるID3タグは、メタデータの見本だ。MP3ファイルのオーディオデータ本体は純粋な音声のデータだけで、誰が歌っているのか、何というCDに収録されていたのかは書かれていない。しかしID3タグと呼ばれる付属情報に歌手やアルバム名、リリース年といった情報をID3タグの書式に従って書き加えることで、MP3プレーヤーはどのデータが歌手名で、どれがアルバム名かを理解して、それを元に表示や検索を行える。SpotlightではMicrosoft Word文書やExcelデータファイル、画像(JPEG、GIF、TIFF、PNG、EXIFとIPTCタグ)やオーディオ(MP3、AAC、MOV)のメタデータを検索対象とすることで、たとえば“Succer”というキーワードで検索をかけると、メタデータ内に“Succer”と記述された画像ファイルを見つけ出せすことが可能になる。

Spotlightで“Succer”のキーワードを検索してみるデモ。キーワードが書かれた文書やメールのほか、メタデータにキーワードが書かれた画像も見つけている 検索したデータを種類別に一覧した状態。ここから文書や画像を開いたり、メールを開いて返信するといったことも可能になる
Spotlightで“Succer”のキーワードを検索してみるデモ。キーワードが書かれた文書やメールのほか、メタデータにキーワードが書かれた画像も見つけている検索したデータを種類別に一覧した状態。ここから文書や画像を開いたり、メールを開いて返信するといったことも可能になる
SpotlightではMac OS Xのシステム環境設定に対しても機能する。たとえばキーワードを“画面設定”として検索すると、画面設定に関するアイコンがハイライトして表示されるといった仕組みだ
SpotlightではMac OS Xのシステム環境設定に対しても機能する。たとえばキーワードを“画面設定”として検索すると、画面設定に関するアイコンがハイライトして表示されるといった仕組みだ

もちろんTigerで画像やオーディオデータを検索するためには、データそれぞれにふさわしいメタデータが付いている必要がある。しかしファイル名を調べるか、画像を表示して見て探すしかない現状を思えば、この種の機能がOS標準でサポートされることでアプリケーションやデータ側のメタデータ対応も進むと期待され、パソコンの使い勝手を大きく向上させるだろう。以前からデスクトップ上での検索機能の強化を進めていたアップルらしい機能と言える。

もう1つのTigerの興味深い機能が“Dashboard”と呼ばれる新しいデスクトップ環境だ。Dashboardは“Widget(ウィジェット)”と呼ばれるミニアプリケーションを動作させる新しいデスクトップ環境である。WidgetはJava Scriptで記述される単機能のアプリケーションで、標準のMac OS Xのデスクトップ上に半透明でDashboardのレイヤーが表示されて、その上で電卓やカレンダー、株価表示や天気予報、iTunesの再生パネルといったWidgetが動作する。Dashboardはファンクションキー1つでオンオフできるので、標準のデスクトップを邪魔せずにWidgetを使えるというわけだ。WidgetはTigerで実装される新しいグラフィックス機能“Core Image”を利用して描画されており、アニメーショングラフィックを多用するものもあって、見た目に美しい。

Dashboardのデモ。Widgetが並ぶ下に、半透明で標準のデスクトップが見える。下側はWidgetのランチャーか
Dashboardのデモ。Widgetが並ぶ下に、半透明で標準のデスクトップが見える。下側はWidgetのランチャーか

その他にも、『QuickTime 7』がフルHD解像度(1920×1080ドット)のビデオ表示に対応したほか、QuickTime 7とビデオチャットアプリケーション『iChat AV』が、H.264形式の高品質ビデオフォーマットをサポートするといった発表も行なわれた。iChat AVでは4人でのビデオチャットの様子がデモされ、人数が増えるたびにビデオ画面がスムーズに拡大縮小するなど、既存のビデオチャットアプリケーションとは違う、新しい世代のアプリケーションであることを感じさせた。

iChat AVのデモでは、ジョブス氏(画面下側)を含めた4人での会話がデモされた。画質は非常に良好だ
iChat AVのデモでは、ジョブス氏(画面下側)を含めた4人での会話がデモされた。画質は非常に良好だ

HD品質のビデオサポートについては、すでに同社のビデオ編集アプリケーション『Final Cut Pro HD』でHD品質のビデオ編集に対応しているが、それに加えて低価格なビデオ編集アプリケーション“Final Cut Express”にも、HD品質に対応した『Final Cut Express HD』が発表された。同社がHD品質ビデオの対応に非常に力を入れていることがうかがえた。Final Cut Express HDの価格は3万1290円で、Final Cut Expressのユーザーは1万395円でアップグレード可能。発売は2月の予定。

Final Cut Pro HD
Final Cut Express HD

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