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【2005 CES Vol.1】2005 International CES、6日に開幕! ビル・ゲイツ氏が基調講演――米国では根付いたMedia Center Editionを中核技術としてアピール

2005年01月06日 21時07分更新

文● 編集部 小西利明

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さらにケーブルTV業界と協力しての取り組みとして、“IPTV(Internet Protocol TV)”についても語られた。IPTVは2003年10月に発表されたもので、IPネットワークを通じて、高品位のデジタルTV映像やEPG、ビデオオンデマンド、ビデオ録画といった機能を提供するための、ケーブルTV/通信事業者向けの技術である。IPベースの技術であるので、映像だけでなく音声やデータを送ることも可能だ。ケーブルTV事業者がIPTVを導入し、エンドユーザーにIPTV対応のデジタルSTBを提供すれば、WMV HDによる高品質の映像をオンデマンドで楽しめるようになるほか、より優れたEPG機能などを使えるようになる。

IPTVのデモは、マイクロソフトと提携してIPTVを使った番組配信サービスを行なっている米SBC Communications社のIPサービス担当取締役副社長のリー・アン・チャンピオン(Lea Ann Champion)氏によって行なわれた。チャンピオン氏は「(IPTVが)TVのコミュニケーションや体験を変えていく」と切り出し、映像、音声、データを統合したとてもユニークな仕様を持つとした。またチャンネル切り替えも迅速で、現在のデジタル放送対応TVでは、切り替え時に2秒のラグが発生するところ、IPTVでは瞬時に切り替わるとした。さらにスポーツ中継のマルチアングル放送のデモも披露され、野球の試合映像で任意のカメラを次々と選んで映像を切り替えて見せると、会場からは大きな拍手が送られた。ケーブルTVユーザーが非常に多い米国では、デジタルTV時代に即した有望なサービスと言えよう。

米SBC Communications社のIPサービス担当取締役副社長のリー・アン・チャンピオン氏によるIPTVのデモ マルチアングル放送のデモ。右の大きな画面が放送中の映像で、左に並ぶカメラから好きなものを選んで表示できる。スコアなどのデータも受信されている
米SBC Communications社のIPサービス担当取締役副社長のリー・アン・チャンピオン氏によるIPTVのデモマルチアングル放送のデモ。右の大きな画面が放送中の映像で、左に並ぶカメラから好きなものを選んで表示できる。スコアなどのデータも受信されている

さらに米国でのTV録画ソリューションの先駆けである、米TiVo社との協力も発表された。これによりTiVoのHDDレコーダーで録画した番組を、MCE搭載パソコンに取り込むことが可能になるという。MCE搭載パソコン内のビデオを、Windows Mobile対応の携帯電話に転送して楽しむという、携帯電話版Portable Media Centerとでも言うべきデモも披露された。

MCEで録画した映像を携帯電話で楽しむデモ。写真右下でゲイツ氏が手に持っている携帯電話の画面が左上に映し出されている
MCEで録画した映像を携帯電話で楽しむデモ。写真右下でゲイツ氏が手に持っている携帯電話の画面が左上に映し出されている

昨年のCESにタイミングを合わせて開始された、無線データ通信サービス“MSN Direct”についても言及された。MSN DirectとはFMラジオ放送の空き帯域を使ったデータ通信サービスで、対応の腕時計“Smart Watch”はスイスSwatch社などから発売されている。講演のスライドではPDAのような形状のMSN Direct対応の置き時計も紹介された。天気の情報などを表示できる製品だ。

MSN Direct対応の腕時計たち。昨年のCES開催と同時に最初の製品が出荷され、製品バリエーションは着実に増えているようだ。日本でのサービスは未定 腕時計中心だったMSN Directに対応した置き時計タイプの製品。右は米Oregon Scientific社『Color Weather Forecaster with Clock』(249.95ドル、約3万1200円)
MSN Direct対応の腕時計たち。昨年のCES開催と同時に最初の製品が出荷され、製品バリエーションは着実に増えているようだ。日本でのサービスは未定腕時計中心だったMSN Directに対応した置き時計タイプの製品。右は米Oregon Scientific社『Color Weather Forecaster with Clock』(249.95ドル、約3万1200円)

派手な新製品や新技術の発表がないので、いささか目玉に欠ける講演内容ではあったが、MCEとWindows Media関連技術が、単なるパソコン上の機能やソリューションに止まらず、より幅広いジャンルに向けたサービスとして広がっていることが明快に示された。幸か不幸か日本では、中核となるべきMCEが泣かず飛ばすの状態なので、ピンとこない方もいるかと思う。しかしMCEとWindows Mediaの技術を軸に、マイクロソフトはいよいよTVの世界、つまりは長年の宿願だった“リビングの制覇”に向けて、大きな足場を築こうとしている。今年もマイクロソフトからは目が離せなさそうだ。

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