このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

【最新パーツ性能チェック(Vol.29)】最後のクロックアップ!Pentium 4-570J(3.8GHz)のパフォーマンスと省電力機能を探る

2004年12月01日 22時29分更新

文● アスキープラス編集部 野口岳郎

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

“クロックより機能”の時代の幕開け

 インテルは当初、2004年中に4GHz版を投入する予定だったが、今年10月、これをキャンセルした。また、次の性能向上アイデアはデュアルコアであることが明らかになっているが、現行のコアとプロセスを使うとすれば消費電力が増えてしまうため、クロックはむしろ下げざるを得ない。Pentium 4-570Jは65nsプロセスが実用化する2005年末から2006年まで、あと1年かそれ以上は、パソコン用CPUとして最高のクロックをほぼ約束された存在ということになる。すさまじい周波数のパワーで他を圧倒するという、Pentium 4スタイルのひとつの究極の姿とも言える。
 ただ、3.8GHzの登場を首を長くして待っていたという人は、正直な話そんなに多くはないのではないだろうか。それよりユーザーにとっての目下の懸案は、深刻化するウイルスであり、CPUの消費電力増に伴う電気代の増加であり、大容量データを扱う上でのネックとなる32ビットメモリ空間の狭さだ。9月のIDFで、インテルは「プロセッサは性能の向上とともに、プロセッサの機能や外部環境の強化が求められている。インテルは今までMMXやSSE、HTとさまざまな機能を追加してきたし、今後も追加していく」という趣旨のプレゼンテーションを行なった。

IDF
9月のIDFにおけるオッテリーニ社長のキーノートでのスライド。GHz(=パフォーマンス)にはすでにチェックマークがついていて、近年ユーザーの利便性を強化しているのはプロセッサやチップセットの機能追加であることが示されている。

  その指摘は的を得ているが、上に挙げた、今求められている3つの機能を先に実装したのはAMDだった。すでに1年以上前の2003年9月、Athlon 64のデビューとともに“NXビット”、“Cool'n'Quiet”、“AMD64”に対応している。それに対し、Pentium 4はこのどれもないまま2004年の年末を迎えようとしていた。

 今回の“E0”コアの「Jシリーズ」は、64ビット対応こそ見送られたものの、現時点で大多数のユーザーに十分なメリットを提供するウイルス防止機能と省電力機能がついに搭載されたわけだが、そのことが一目でわかる“J”というサフィックスを付けた点に大いに注目したい。というのも、Pentium 4のクロックはもう十分な水準に達していると考えている人は、今後「Jがついているかどうか」を製品選びの一大チェックポイントとして認識するようになるからだ。

 こうしてクロック以外の面がきちんと注目され、それについての評価が高まり、販売数増加につながれば、それはプロセッサメーカーの機能拡充へのインセンティブを高め、結果的にはユーザーにさらなる利益をもたらす。“J”の登場は、CPUの機能競争時代をアナウンスするゴングなのかもしれない。

※今回のテストで使用したPentium 4-570Jはエンジニアリングサンプル版であり、市販されている製品ではありません。
※1ページ目下部のスクリーンショットにおいて、『CPUZ(http://www.cpuid.com/)でCPUIDを表示させたところ。』とありますが、これは誤りで、正しくは『CrystalCPUID(http://crystalmark.info/)でCPUIDを表示させたところ。』でした。作者のhiyohiyo様はじめ、関係各位、読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫びして訂正いたします。
 また、この画面ではSpeedStepが有効と表示されていますが、11月以降のバージョンでは修正され、無効と表示されます。古いバージョンを使用したために、CPUの素性について誤った情報をお伝えしてしまったことをお詫びいたします。また、続く『C1Eにおけるクロック・電圧低下のためにSpeedStepの機構が必要なのだろう。』という部分は、この誤った判断に基づく推測ですので、削除しました。
【関連記事】

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ