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type X 解体天国

type X 解体天国

2004年11月22日 00時00分更新

文● 編集部 小西利明

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自然な発想で生まれたテレビ欄風のUI

X3ビデオサーバーで録画した番組を、時系列・チャンネルごとに並べて、新聞の番組欄のように表示する“タイムマシンビュー”。分かりやすく見た目もおもしろい
X3ビデオサーバーで録画した番組を、時系列・チャンネルごとに並べて、新聞の番組欄のように表示する“タイムマシンビュー”。分かりやすく見た目もおもしろい
[ASCII24] あの新聞のテレビ欄のような“タイムマシンビュー”の発想はどこから生まれたのでしょうか。どこの何が録れているのか、一読できて分かりやすくおもしろい。
[府中] 自然に出てきたというか……、最初からあのつもりでしたね。何でなんだろう(笑)。
[松藤] たくさん録ると、どうやって検索するかがポイントになってくる。分かりやすい見せ方ってなんだろうと考えた時に、自然に見慣れた形が分かりやすい。
[長谷] 7チャンネルを録るのであれば、それをそのまま見せようというのが発想ですね。誰が言ったということもなく、自然の流れで。
[ASCII24] 1番見慣れているインターフェースを実現しよう、ということですね。確かにあれなら分かりやすい。リモコンだけでも操作できますよね。
[長谷] すべてできます。あれだけ複雑なハードウェアですから、それをいかに簡単にユーザーに伝えるかという点に、1番プライオリティーをおいています。
[ASCII24] 通常のPCI接続のチューナーカードとは、異なる経路を通ってのアクセスになるわけですよね。それゆえの難しさというのはありましたか。
[長谷] 特徴のひとつであるネットワーク経由での配信を、見た目には一体化して見せるという点になかなか難しいところもありました。あとは……難しいところを数え上げたらキリがないな(笑)。
X3ビデオサーバーで録った映像は、基本的に自動削除されていきます。その概念が今までとまったく違う。また府中さんからの強い要望もあったのですが、録り貯めたコンテンツを本体側にコピーするという仕様を決めるのも、結構大変でしたね。
[内田] 1枚に3チャンネルのチューナーがあって、さらにX3ごとに別々のHDDに貯めるので、それを一本化して見せるためにはどうしたらいいかとか、チャンネルはどう割り当てるルールにするのかとか。個別のハードウェアが2つあるのに6チャンネルを(見た目上)一緒に扱うので、その仕様についてはかなり議論しました。
[松藤] 今までにない概念で物を考えていくので、本当に手探り状態でした。録画したものが勝手に消えていくというのも、ユーザーが期待したものと違うと、すごく使いにくくなってしまう。できるだけ使いやすく分かりやすい、自然に受け入れてもらえるようにするのは、どうしたらいいのか散々考えて、議論しながら決めました。
[ASCII24] やはり録画したものが勝手に消えるのはまずいんじゃないか、という話はありましたか。
[内田] すごくありましたよ。パソコン側の録画データは自動削除じゃないですから。
[長谷] パソコン側と違うという点については、散々議論がありましたね。
[ASCII24] HDDの容量に制約されるとはいえ、何日くらい録り貯められればいいか、という落とし所はどこでしたか。
[長谷] キーワードは1週間でした
[松藤] 1週間以上は欲しいと、誰もが思うところかなと。1週間前の番組を見れなかったとき続けてみたいと考えると、やはり1週間は欲しい。
[長谷] type Xで1番大きなのは、“予約をなくす”という概念を持ち込んだ点だと思います。またX3の設定に関しても、ウィザード形式でリモコンから設定できるんです。それも苦労しました。ネットワークを介して設定を送るので、ちゃんと機構を考えないと難しいところでした。そして録り貯めたことによって、とにかくコンテンツが膨大な数になってしまうので、番組表形式で見せるタイムマシンビューやキーワードによる番組検索機能は力を入れた部分です。


500GBでもHDDは足らない!

[ASCII24] 家電のHDDレコーダーだと、300GBくらいHDD容量があるとなかなか減らないものですが、このマシンでは足らないですね。
[松藤] X3側だけでトータル500GBもHDDを使っているのに、なお足りないと思わせるものはそうないですね。type Xでは3チャンネルを録画していると、1週間で埋まってしまうので「足りないよ」という感じですね。
[ASCII24] 将来もっとHDD容量が増えて、まるごと1週間分を高画質で録れるようになったらすごいですよね。
[松藤] むしろ理想は低ビットレートでもきれいに録れる、なのです。低ビットレート時の画質に関しては、製品版では現在テストしていただいているものより良くなっているはずです。
[ASCII24] 私どものテスト環境はオフィスビル内の配線を通っていますので、回線側の問題で画質がよくないというケースもあります。
[松藤] そういう環境はtype Xでもつらいですね。ソニー社内も似たようなものですが、そういう環境で低ビットレート録画ではやはり汚い絵になってしまい、「こんなもの?」と言われてしまうこともありました。このエンコーダーはMPEGのブロックノイズが非常に出にくいチップで、素性は非常にいいものなんです。だからきれいな、それなりの入力ソースで録画していると、低ビットレートでもかなり画質は良くなっているんですが。
[府中] MPEGなので、可能な限り前段階で信号をきれいにしておくのがお勧めですね。ゴーストリデューサーはついていますが、取り切れないゴーストがあるとエンコードに二重にパワーを要しますので、ビットレート的にものすごく不利になるんです。なるべくアナログの部分できれいにしておくのが、低ビットレートでの高画質化の秘訣ですね。
[ASCII24] あの分解の難しさを考えると、容量に不安のある方は、Sony StyleでX3側のHDDを400GB×2に増量しておくほうがいいでしょうね。ところでtype Xは、D端子接続したテレビをセカンダリモニターやDo VAIOの表示に使うことを重視しているなど、ちょっと変わった機能もありますね。
[松藤] リビングに置いて使うということを考えた時に、D端子でつなぎたいというリクエストもありました。いくつかの方法とコスト面を検討したときも、ビデオカードの出力をD端子に出すのが一番いいだろうと考えました。ソフトウェア面から見ると、単なるマルチディスプレーの1つのデスクトップなので、非常にアプリケーションからは扱いやすい。VAIO type Vのように専用回路を使うことで、D端子に出力する方法もありますが、それでは特定アプリケーション専用になってしまう。そこでtype Xではアプローチを変えて、パソコン的な扱い方をできるように考えたわけです。
[長谷] これは結構大きな話でして、実はアプリケーション的には相当大変な工夫をしています。
[ASCII24] D端子出力で大画面テレビをディスプレーとして使えるのが普通になると、テレビパソコンの使い方もまた変わってくるのでしょうね。
[松藤] 以前からD端子を備えるものはありましたが、実際にテレビのクオリティでちゃんと使えるものはなかった。ビデオカードのおまけ機能レベルという感じで、家電のレベルではない。そういう点でもtype Xでは苦労しました。
撮影終了後、完全に分解されたtype Xを組み立て直すスタッフ。「これはココ?」「いやそこじゃない」という具合で、スタッフでさえ完全に組み直せるのは、ほんの数人という話
撮影終了後、完全に分解されたtype Xを組み立て直すスタッフ。「これはココ?」「いやそこじゃない」という具合で、スタッフでさえ完全に組み直せるのは、ほんの数人という話

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