サン・マイクロシステムズ(株)は23日、RFID(無線ICタグ)の検証施設“Sun RFIDデザインセンター”を東京の用賀に開設するとともに、RFIDの実運用に向けた統合的な導入支援サービスを開始すると発表した。同センターの開設日は7月1日で、RFIDの導入を検討している前ユーザーおよびパートナー企業各社は無償利用できる。
“Sun RFIDデザインセンター”の施設および機能の概要 |
“Sun RFIDデザインセンター”の役割の位置づけ |
“Sun EPC Network”の基本構造 | サンがパートナー企業と共に提供する“Sun EPC Network”インフラ | |
“Sun RFIDデザインセンター”の施設および機能の概要 |
RFIDを活用したシステム“Sun EPC Network”を、同社は“モノのインターネット”と位置付けている。このシステムでは、RFIDの取り付けられた“モノ”のEPC(Electronic Product Code、固体識別コードに相当)を、RFID向けミドルウェア製品群“Sun Java System RFID Software”(現在プレビュー版を提供中。正式リリースは2004年中の予定)で中継処理し、データベースやサプライチェーン・マネージメントソフトウェア、ネットワーク網に受け渡す。同社は、物理レイヤー(EPCを送信するICタグやアンテナ)、エッジ・レイヤー(RFIDリーダー、データのキャプチャーやフィルタリング、ロギング、デバイス管理などを行なうイベント管理サーバー『Sun EPC Event Manager』)、ミドルウェア製品群“Sun Java System RFID Software”をはじめとするミドルウェア・レイヤー、受け取った情報を実際に管理・運用するビジネス・レイヤーの4段階のインフラを、パートナー企業と協力し提供していくという。
また、すでに開設されている検証センターなどで蓄積したノウハウに基づき、有償の構築支援サービスも提供する。サービス内容は以下の2点。なお、サービス料金はユーザーの案件に応じた個別見積もりとなる。
- “EPCネットワーク構築支援サービス”
- “Sun EPC Network”の構築にフォーカスしたサービス。『Sun EPC Event Manager』のセットアップを中核として、これに関連するシステム構築を支援
- “Sun EPC Event Manager応用開発支援サービス”
- 『Sun EPC Event Manager』が標準で持たない機能の開発にフォーカスしたサービス。標準で用意されないRFIDリーダーとの連携モジュールや、既存アプリケーション・システムなどとの連携モジュールの開発支援、SI、ISVなどのパートナー企業の開発支援
また同社は今後、世界各地での実証結果や実績をベースに、サービス体系の充実化を図っていくという。
サン・マイクロシステムズ代表取締役社長のダン・ミラー氏 | テクノロジー&ソリューション統括本部執行役員、チーフ・テクノロジストの植松祐次氏 |
この日行なわれた記者会見で、同社代表取締役社長のダン・ミラー(Dan Miller)氏は、「すべてがネットワーク化されようとしている中で、RFIDにより兆単位のものがネットワークに接続されることになる」とし、RFIDによるネットワークのさらなる広がりに期待を示した。また、同社によるRFIDの推進は、単にIDタグによってものが認識される、ということをゴールとするのではなく、「(RFIDによりネットワーク化されたものを)どのように管理するか、どのようにネットワークを構築していくか」が目標であるとしている。また、同社のRFIDへの取り組みや“Sun RFIDデザインセンター”、支援サービスの概要を解説した同社テクノロジー&ソリューション統括本部執行役員でチーフ・テクノロジストの植松祐次氏は、“オープン”“スタンダード”の2点を軸に、「ハードウェア、ソフトウェア、サービス、パートナーシップにより一元化された“End-to-End”のソリューションを提供していく」とし、「この先は“モノ”だけでなく“人”も含めたRFIDの展開を図りたい」と述べた。