このページの本文へ

EOS-Kiss Digital

EOS-Kiss Digital

2004年03月03日 14時30分更新

文● 小林 伸

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

EOS-Kiss Digital

キヤノン

オープンプライス
実売価格:12万円前後(本体)、14万円前後(レンズセット)

本記事はアスキーPC Explorer 2003年10月号の当該記事をWeb向けに編集・再掲したものです。
ボディはプラスチック
●【ボディはプラスチック】 ボディカラーはシルバーとブラックのツートンカラーのみ。プラスチックを多用したボディではあるがあまりチープ感はない。/●【縦位置グリップの装着可能】 バッテリを2個収納可能な縦位置グリップも装着可能。見た目では、グリップを付けたほうがカッコいい。
ニコンD70
「ニコン、“Kissキラー”のレンズ交換式一眼レフデジタルカメラ『ニコンD70』を3月19日に発売」ニュース(写真をクリックすると当該記事に移動します)。

 キヤノンのデジタル一眼レフカメラは最高解像度1110万画素の「EOS-1Ds」からハイアマチュア向けの「EOS 10D」まで、ラインナップは完成したかのように見えた。しかし、キヤノンの戦略はこれだけではなかった。実売価格12万円前後という入門機「EOS-Kiss Digital」(以下、Kiss-D)が登場したのだ。

 Kiss-Dの機能的な部分を見てみると、上位機種の10Dと比べても遜色はない。撮像素子は約630万画素CMOSを搭載しており、解像度的にはフチなしでA4サイズで出力できる。連写機能は秒間2.5コマ、最大4コマまでの連写に対応しているが、実際にスナップなどで使用してみると、最大コマ数まで連続してシャッターを押すことはない。必要にして十分な連続撮影機能だ。



直感操作に優れたモードダイヤル 撮影・再生・機能選択は下位機種のコンパクトデジカメを踏襲
●【直感操作に優れたモードダイヤル】 モードダイヤルはペンタプリズム右側に位置している。10Dなどはこの部分に液晶表示パネルがあったが、背面液晶モニタ上部に位置が変更された。●【撮影・再生・機能選択は下位機種のコンパクトデジカメを踏襲】 背面液晶モニタは1.8型TFTカラーモニタ。右側の十字キーと左側に位置したボタン群による操作感は、従来のコンパクトデジカメに使用感が似たものになっている。

 オートフォーカスは10Dと同等のものが使用されている。本格的なモータースポーツなどの動きの速い被写体には使い方を考えなければならないが、人の動き程度なら十分追い付いていけるレベルだ。

 シャッターや測光機能、さらにホワイトバランスの機能なども10Dと同等。それどころか、カラースペースにAdobe RGBの選択が可能になっており、入門機としてはオーバースペックな部分もある。

メディアはマイクロドライブも使用可能 専用リチウムイオンバッテリを使用
●【メディアはマイクロドライブも使用可能】 CFスロットはTypeIおよびIIに対応、もちろん1GBマイクロドライブの使用も可能で、FAT32にも対応しているので、2GB以上のメディアも利用できる。●【専用リチウムイオンバッテリを使用】 バッテリは「BP-511」で、充電キットも同梱されている。PowerShot G5と同じなので共用も可能。電池の寿命は一日スナップを撮り続けるくらいではなくならないほど長寿命。

専用レンズ付きが14万円!

 操作系はいままでのEOSデジタルカメラと少々異なる。サブコマンドダイヤルの代わりに十字キーが用意されており、コンパクトデジカメのように、画像や機能選択ができる。コンパクトカメラからの乗り換えを考えている人には違和感はないはずだ。

内蔵フラッシュは自動ポップアップ式
●【内蔵フラッシュは自動ポップアップ式】 内蔵フラッシュはリトラクタブル式。ガイドナンバーは13相当で、真っ暗な状況での使用よりも、日中での逆光時などのときのほうがその効果のほどを実感できる。

 セットで販売される専用レンズ「EF-S 18~55mmレンズ」は、Kiss-Dとのセット販売のみで、単体での販売は予定されていない。というのも、レンズの最終面から撮像面(CMOSの表面)までの距離が通常のEFレンズ(35mmカメラ用)より短いため、ほかのEOSカメラで使用するとミラーにぶつかってしまう恐れがあるためだ。その代わり、イメージサークルをCMOSのサイズ(APS-C)に合わせている。焦点距離の18~55mmは35mmフィルム換算で29~88mm相当になり、広角側は風景やスナップなど、望遠側はポートレートなどにちょうどいい画角で、常用レンズとして申し分ない。

付属のEOS-Sレンズは専用 10Dよりもサイズが小さい
●【付属のEOS-Sレンズは専用】 左がEOS-Sレンズ。従来のEOSマウントレンズより、マウント部からレンズ最終面が伸びているのがわかる。●【10Dよりもサイズが小さい】 10Dと比較してひと回りボディが小さくなっているのがわかる。重量もプラスチックを多用しているため、本体のみで560g。レンズ、バッテリ、メディアを装着した実際の使用状況でも850g(実測値)程度とかなりの軽量。

 基本的に10Dの下位機種と位置づけられ、一眼レフデジカメ入門機としてのKiss-Dは、基本セットとして専用電池充電器などもセットになっている。そして、レンズまでセットになったレンズキットも用意されているのだが、その気になる価格は基本セットで12万円以下、レンズキットで14万円以下になることが確実で、キヤノンのラインナップではG5から10Dへの橋渡し的価格になる。

 ほかのメーカーはこの状況をどう見ているのだろう。同価格帯で手に入れられるのはほぼレンズ固定の一眼レフタイプデジカメばかりである(編集部注:2004年1月に(株)ニコンがEOS Kiss Digital対抗の「ニコンD70」を発表している。発売は3月17日予定)。本来であれば、最大のユーザー数を誇るキヤノンのユーザーを自社のシェアに呼び込みたいと思うところだろうが、このままでは逆に自社のユーザーをキヤノンに取られてしまう可能性がある。EOSの豊富なレンズシステムと上位のプロ機である1Dsまでの一眼レフデジカメラインナップはユーザーの目には魅力的に映るだろう。いまのキヤノンに死角はあるかと聞かれれば、「ない」と答えるほかない。

EOS-Kiss Digitalの主なスペック
製品名 EOS-Kiss Digital
CCD 22.7×15.1(APS-C) CMOS
画素数 約630万画素
レンズ EOS EFマウント
シャッタースピード 30秒~1/4000秒
露出モード プログラム、絞り優先、自動深度優先シャッター優先、マニュアル、E-TTLストロボ優先
記録媒体 CFカードTypeI/II
電源 専用リチウムイオンバッテリ
本体サイズ 142(W)×72.4(D)×99(H)mm

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン