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ニコン、“Kissキラー”のレンズ交換式一眼レフデジタルカメラ『ニコンD70』を3月19日に発売

2004年01月28日 21時54分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)ニコンとニコンカメラ販売(株)は28日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで記者説明会を開催し、昨年12月に開発表明したレンズ交換式一眼レフデジタルカメラ『ニコンD70』および、ニコンFマウント対応のデジタルカメラ向けレンズ『AF-S DX ズームニッコール ED 18~70mm F3.5~4.5G(IF)』を3月19日に発売すると発表した。価格はD70本体(レンズ別売)が15万円、『D70 レンズキット』が20万6000円。レンズ単体での発売は6月予定で、価格は5万6000円。

ニコンD70 ニコンD70
『ニコンD70』同じくD70を左側から見たところ

なお同時に、有効800万画素CCDと光学8倍ズームのニッコールレンズを搭載した一眼レフデジタルカメラ『COOLPIX 8700』、デジタルカメラ入門者向けの有効320万画素CCDと光学3倍ズームニッコールレンズを搭載したコンパクトカメラ『COOLPIX 3200』、同じく有効200万画素CCDと光学3倍ズームニッコールレンズを搭載した『COOLPIX 2200』も発表された。詳細はこちらのニュース記事を参照いただきたい。

吉田庄一郎氏(左)ら
会見に出席した取締役役会長兼CEOの吉田庄一郎氏ら

会場には(株)ニコンの取締役役会長兼CEO(最高経営責任者)の吉田庄一郎氏、常務取締役兼上席執行役員 映像カンパニープレジデントの木村眞琴(きむらまこと)氏、取締役兼執行役員 映像カンパニー副プレジデント兼開発統括部長の富野直樹氏らが出席し、デジタルカメラ市場の動向や新製品投入の狙いなどを説明した。

最初に吉田氏が挨拶に立ち、「長らく半導体不況が続いていたが、(ニコンの主力事業の一つである)半導体製造向けの基板露光事業が2003年秋頃から回復し、現在は拡大基調を続けている。液晶パネル向けの露光装置についても大型パネルに対応する装置が好調で、今年は大きな飛躍が望めると期待している」「今日発表する映像事業については、銀塩カメラが落ち込みを続けるなか、デジタルカメラ市場での売り上げが伸び、利益面でも貢献している。製造面ではタイに加えて中国での生産体制が整った。D70は、本格的に立ち上がってきたデジタル一眼レフカメラ市場の中で、顧客層の拡大を支えるために投入する製品。性能や価格のいずれも、初心者からカメラ愛好家まで幅広く受け入れられると自負している」と述べ、さらに「カメラ業界で長らくライバル会社のC社が昨年秋に出した“なんとかKiss”という製品が市場で受けているようだが、D70は“Kissキラー”として十分な性能を秘めている」と対抗心を露にする場面も見られた。

ニコンの売り上げ高の推移 D70の位置づけ
ニコンの映像カンパニーにおける売り上げ高の推移と内訳。赤みの部分がデジタルカメラ関連製品、黄土色(上から4番目)は交換レンズニコンに置けるD70の位置づけ。これら一眼レフデジタルカメラ製品群でシェア40%以上の獲得を目指すという

続いて木村氏はデジタルカメラの市場動向や製品戦略について、「ニコン全体の売り上げ推移を見ると、銀塩カメラの売り上げはシュリンク(縮小)しているが、それを上回るペースでデジタルカメラが伸びている。また、交換レンズの売り上げがここ数年変わっていないことからも、一眼レフカメラが銀塩からデジタルへと順調に乗り換えが進んでいることが推測できる」「デジタルカメラ全体の市場規模は、CIPA(有限責任中間法人 カメラ映像機器工業会)の集計および予測によると、2003年度は4600万台、2004年度には6200万台、2005年度には7200万台、2006年度には8000万台と着実に成長を続けると見られる。特にデジタル一眼レフカメラが世界的に伸びているので、実現可能な数字だろう」と今後の市場成長性に自信をうかがわせた。

また、D70のニコンとしての位置づけについて「1999年発表の『D1』を軸に、報道やプロカメラマン向けに高速連写機能を追及した『D1H』『D2H』、スタジオ撮影向けに高精細な『D1X』を発表してきた。一方、一般撮影業務やハイアマチュア向けに『D100』を2002年に発売した。今回のD70はさらに買いやすくアマチュアや一般写真愛好家にも使ってほしい製品として開発したもの。ちなみに、D1Xの後継機種についても気になると思うが、これは現在鋭意開発中で、いずれ改めて発表できるだろう」と、今後もラインナップの拡充に努める姿勢を見せた。

何となく撮れちゃうカメラではなく、
思いを込めて“写すカメラ”を求める方へ

富野氏
D70では特に使いやすさや操作性の向上を図ったと説明する富野氏

最後に富野氏が、「カメラ付き携帯電話のように、手軽に誰にでも“撮れちゃう”カメラではなく、思いを込めて“写す”カメラを求める方がターゲット。“買って楽しい、持ってうれしい、見せてカッコイイ”というのが製品コンセプト。カメラ初心者の方でも使いやすいように、カタカナの用語を極力外して、“シャープに”“人物きれいに”“風景きれいに”などのわかりやすい設定メニューを用意した」と切り出してD70の製品コンセプトや詳細なスペックを説明した。

D70と交換レンズ
D70とAF-S DX ズームニッコール ED 18~70mm F3.5~4.5G(IF)レンズ

D70は、撮像素子に総624万/有効610万画素でサイズが23.7×15.6mmの正方画素原色CCDを搭載し、35mmフィルムカメラ換算で約1.5倍の焦点距離相当の画角になる“ニコンDXフォーマット”に準拠。レンズマウントはニコンFマウントを採用し、同社の交換レンズを装着できる(※1)。撮像素子のサイズは同社D100と同等だが、CCDやデータ読み出し/メモリーカードコントローラーのチップをソニー(株)と新規で共同開発し、起動時間は約0.2秒、連写速度は毎秒3コマで最大144コマ(JPEG NORMALモードで、画像サイズはLarge、サンディスク(株)の高速CFメモリーカード“UltraII<SDCFHシリーズ>”利用時)、書き込み速度が毎秒4.5MB、読み出し速度が毎秒6.1MB(D100の約3倍)などの高速化が図られている。

※1 交換レンズ “DXタイプAFニッコール”“D/GタイプAFニッコール(IXニッコールを除く)”はフル機能が使用可能だが、このほかのレンズについては露出モードの一部や測光モードなどに一部制限あり

記録解像度は最大3008×2000(L)/2240×1488(M)/1504×1000(S)ドットの3種類で、記録形式はJPEG形式の圧縮画像のほか、可逆圧縮の12bitロスレス圧縮RAW形式にも対応する(JPEGとの同時記録可能)。JPEGの圧縮率はFINE(1/4)、NORMAL(1/8)、BASIC(1/16)の3タイプから選択可能。記録メディアはCF TypeI/IIで、マイクロドライブ(最大4GB)にも対応する。

感度はISO200~1600相当(1/3段ステップ)、測光方式はTTL開放測光のマルチパターン/中央重点/スポット測光の切り替えが可能。露出モードはP(プログラムオート)/S(シャッター速度優先オート)/A(絞り優先オート)/M(マニュアル)のほか、“ポートレート”“風景”“クローズアップ”“スポーツ”“夜景”など7種類のイメージプログラムを右上のダイヤルボタンから選択可能。シャッター速度は30~1/8000秒(およびバルブ)で、CCD電子シャッターと機械式シャッターを併用する。

D70の背面 D70左側面
D70の背面D70の左側面

ホワイトバランスはオート/マニュアル(6種類、補正可)の選択が可能で、2コマまたは3コマのオートブラケティング/ホワイトバランスブラケティング撮影が可能。オートポップアップ(オート/ポートレート/夜景/夜景シンクロ時)もしくは手動ポップアップのスピードライトを内蔵。ガイドナンバーは約15もしくは11(マニュアルフル発光時は約17)。先幕シンクロ/スローシンクロ/後幕シンクロ/赤目軽減/赤目軽減スローシンクロの各シンクロモードに設定可能。ホットシューを備え、同時発売の外部スピードライト『SB-600』(3万5000円)などとの組み合わせも可能。

電源は専用リチウムイオン充電池『EN-EL3』で、撮影可能枚数は約2000枚(同社試験による実測値)。本体サイズと重量は、幅約140×奥行き78×高さ111mm/約595g。

D70の上面
D70の上面

なお、D70では付属の画像管理ソフトが従来の『Nikon View(ニコンビュー)』から『PictureProject(ピクチャープロジェクト)』にリニューアルされた。赤目修正やコントラスト/色彩/明るさなどの画像補正機能が搭載されたほか、BGM付きのスライドショー表示機能、日付やファイル名、あらかじめ画像ファイルに記述したキーワードによる検索機能、レイアウトや用紙サイズをテンプレートから選択しての印刷機能、メールに添付して送付する機能などが追加されている。従来のNikon Viewユーザー向けには4月以降に無償ダウンロードサービスを予定している。

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