Tips3 ポスター用の写真を撮る
切り抜きやすい写真を撮る
白っぽい背景で撮影する
写真2 白っぽい背景で撮影するのが切り抜きやすい写真を撮るコツだ。白い壁などがあればベスト。ちなみにこの撮影で使ったのは白いバック紙。カメラ店などで1万円程度で買える。 |
さて、いよいよIllustratorに貼り付ける写真を撮ろう。こうした写真は、背景から被写体だけを切り抜いてIllustratorにレイアウトしやすいものにする必要がある。それには、Photoshopを使って写真を加工するのだが、それ以前に切り抜きやすい写真を撮ることが重要だ。小生は白いバック紙を使って撮影した(写真2)。バック紙がない場合は白っぽい壁を背景にすればいい。こうした写真なら次に紹介する方法で、比較的簡単に切り抜ける。
画面11 トーンカーブ調整レイヤーを使って一時的に画像のコントラストを強くする。トレースが終わったら調整レイヤーを削除すれば、元の画像のコントラストに戻る。 |
Tips4 大判印刷用に写真を加工する
Photoshopを使って
写真を切り抜く
次は、Photoshopを使ってIllustratorに貼り込む写真を加工してみよう。まずデジタルカメラで撮影した写真の背景をすべて切り抜き、被写体だけにする(画面12)。Photoshopで切り抜く方法はたくさんあるが、小生が人物を切り抜くときは正確さからパスを使うようにしている。トレースが済んだら、「パス」パレットのメニューから「選択範囲を作成」を選ぶ(画面13)。パスに沿って選択範囲が作成されるので、「背景」レイヤーがアクティブになっていることを確認して「Ctrl」+「J」を押す。すると、画面14のように人物だけが新規レイヤーにコピーされたはずだ。
画面12 「ペンツール」を選び、被写体の輪郭をトレースする。慣れないうちは初めから曲線を描かずに、直線だけで大雑把にトレースし、「方向点の切り替えツール」で曲線を調整すればいい。 | 画面13 ぐるりとトレースできたら、パスパレットのメニューでパスに名前を付けて保存してから、「選択範囲を作成」を選んでパスを選択範囲に変換する。 |
画面14 「背景」レイヤーが選ばれている状態で「Ctrl」+「J」を押すと、新規レイヤーに選択範囲だけがコピーされる。コピーされたレイヤーを選んで、「レイヤー」→「マッティング」→「フリンジ削除」をかけると、切り抜き時に残った輪郭の白い部分が削除される。 |
写真の解像度を変更する
CMYKに変換することも忘れずに
切り抜きが済んだら、まずカラーモードをRGBからCMYKに変更しよう(画面15)。次に画像の解像度とサイズを変更する。
普通、デジタルカメラで撮影した写真では、A0まで引き伸ばすと画質がかなり劣化してしまうが、離れて眺めれば劣化はあまりわからない。また、拡大のときに指定する解像度は、出力センターの大判プリンタによって異なるので、出力センターで解像度を聞いておこう。
Tips5 出力センターに依頼するときのポイント
画像をリンクしてレイアウトする
画像は埋め込まないようにしよう
Photoshopで編集した画像を、Illustratorに配置しよう。画面17のように、「ファイル」→「配置」を使うと、外部の画像ファイルを読み込むことができる。このとき「リンク」のチェックを外しておくと、Illustratorの中に画像が埋め込まれる。出力センターに依頼するときは、埋め込まずにリンクさせて、そのリンクファイルも一緒に出力センターに送るようにしよう。というのも、もし画像ファイルがRGBになっていたりした場合、出力センター側でCMYKに修正してくれることがあるからだ。埋め込んでしまうと、こうした修正も不可能なのだ。
最後はすべての文字をアウトライン化して保存しよう(画面18)。アウトライン化せずにそのまま依頼をかけると、出力センターにフォントがない場合があるのでイメージどおり出力されない可能性がある。
ファイルは圧縮してFTPで
出力センターに転送
大判ポスターができた。最後は出力センターに依頼するだけ。ここでは小生がよく使わせてもらっている出力センター大手の東京リスマチック(画面19)に頼んでみた。東京リスマチックは、FTPでファイルを送ることができるし、作品は宅配便で送ってくれるので、遠隔地のユーザーも気軽に頼むことができる。
さて、まずはIllustratorのファイルとリンクファイルを1つのファイルに圧縮しよう。(画面20)。東京リスマチックの場合は同社のWebページ(http://www.lithmatic.co.jp/)を開き、オンライン入稿で所定の支店のFTPをブラウザで開く(画面21)。そこに圧縮したファイルをドラッグ&ドロップすればいい(画面22)。もちろん、FTP転送する前に申込書を送っておくことを忘れないように。転送や申し込みの手続きが終われば、翌日には大判ポスターが完成しているはずだ。
次回予告
社外文書では自社の地図を入れなくてはいけないことがよくある。次回はIllustratorでわかりやすい地図の作り方と、その地図をWebにアップする方法について紹介する予定だ。
仕事に役立つグラフィックス用語
─その2─
- ■ クリッピングマスク
- アートワークを別のアートワークの形で切り抜いたように見せることをいう。
- ■ ドロップシャドウ
- 選択したアートワークに影を付けることをいう。Illustrator 10には「フィルタ」と「効果」の二通りがあるが、「フィルタ」はラスタデータを作成し、「効果」はオブジェクトの属性として影を持たせる。見た目の結果は双方で大差はない。
- ■ RGB
- 光を使った色の表現方法。R(赤)、G(緑)、B(青)の光による3色を使って色を表現するため、インクで表現するCMYKよりも表現できる色の領域が大きい。パソコンのディスプレイはRGBだ。
- ■ CMYK
- インクを使った色の表現方法。C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色で色を表現する。印刷ではCMYKが使われる。光で表現するRGBよりも多少くすんだ感じになる。
- ■ アンシャープマスク
- 画像編集ソフトでよく使われるフィルタの1つ。画像のエッジを強調してシャープにするフィルタ。
- ■ 解像度
- 画像ファイルはピクセルという小さな点の集まりで表現される。このピクセルの密度を表わすのが解像度だ。単位はdpi(ドットパーインチ)で表わされ、1インチにいくつドット(ピクセル)が詰まっているかを示す。オフセット印刷用では350dpiが標準とされるが、オンデマンド印刷など、業務用プリンタで出力する場合は、異なる解像度が使われることがある。
- ■ フリンジ
- 画像を切り抜いたときに、輪郭に余計な縁取りが残ることがある。これをフリンジと呼び、「マッティング」処理で除去できる。ただし、かけすぎると輪郭が不自然になることがあるので注意。
- ■ フォントのアウトライン化
- Illustratorは、テキストで使ったフォントをパスオブジェクトに変換できる。これをするのが「アウトライン化」の機能だ。フォントをアウトライン化すると、出力センターにユーザーが使っているフォントがなくても、イメージどおりのデザインで出力できる。一度アウトライン化したフォントは、文字として編集できなくなるので注意。
Adobe Illustrator 10 日本語版の主なスペック | |
製品名 | Adobe Illustrator 10 日本語版 |
---|---|
OS | Windows 98/Me/2000/XP |
CPU | PentiumII以上 |
メモリ | 128MB以上 |
HDD | 180MB以上 |