今回はIllustratorとPhotoshopを使って、音楽CDのジャケットとレーベルをデザインしてみよう。音源といっしょに音楽CD制作サービスに発注すれば、自分だけのプライベートレーベルの完成だ(月刊アスキー 2002年8月号より再掲)。
Tips1 ジャケット・レーベル制作の準備
意外に簡単で安価にできる
自分だけの音楽CDレーベル
画面1 2002年6月21日に発売になった宮澤篤司の「夜明け/ごめんね」は、小生がデザインしたマキシシングルCD。今回はこれを題材に説明していく。ちなみに全国発売しているので是非とも買ってちょーだいね。 |
「仕事に使えるグラフィックス入門 第4回」(from 月刊アスキー)。写真をクリックすると当該記事に移動します。 | 「Adobe Illustrator 10 日本語版」レビュー(ASCII24 Reviewオリジナル)。 | 「Adobe Photoshop 7 日本語版」レビュー(from アスキー PC Explorer)。 |
音楽CDは買うもので、作るものではないと思っていたらそれは間違いだ。実は意外と簡単に、そして少ない枚数でも安価に作れる時代なのである。もちろん、音楽CDに限らずCD-ROMでもOKだ。もしデジタル写真や自作の楽曲があって、それを形に残したいと思うのなら、今回紹介する方法でCDジャケットとレーベルを作成してみたらどうだろう。プリンタで印刷したシールを貼ったものとは比べようもないほど見栄えのするCDになることはうけ合いだ。今回は、小生が実際に作った音楽CDジャケットを例にとって、おおまかではあるがその作り方を紹介していこう。
今回使用するツールは、Adobe Illustrator 10とPhotoshop 7.0。実際、ほとんどの音楽CDジャケットやレーベルはこの2製品で作られている。これらのソフトで作ったデータでないと、印刷を受け付けてくれない業者がほとんどなので、まさに必需品といってもいいだろう。さて、まずは作成するジャケットのサイズを確認だ。今回はマキシシングルCD用のジャケットを作るのだが、その寸法は図1~4を参考にしてもらう。その他のジュエルケースやマルチケースの場合はサイズが異なるので、画面2の日本レコード協会に連絡して規格書を入手しよう。基本的には無料で入手できる。ただし、CDプレスを依頼する業者(表1を参照)によっては、あらかじめ用意されたテンプレートでしかデータを受け付けないところもあるので、どこに頼むかを決めてからの方が間違いがない。特にマキシシングルのジャケットは複雑な形に断裁するので、業者と綿密に打ち合わせておくとよいだろう。
画面2 社団法人日本レコード協会のサイト。音楽CDに関する規格を管理している。ここに連絡すれば、規格資料は無料で取り寄せることができる。http://www.riaj.or.jp/ |
e-ongaku.tv | リミックス プランニング ステューディオ |
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音のメルヘン屋 | フジ企画 |
ARTIST CONTRIBUTION | ARTIST CONTRIBUTION |
Dion | ディオン |
DiscoveryFirm | ディスカバリーファーム |
PaxSystems | パックスシステムズ |
NOVAC | ノバック |
e-Aplix.com | アプリックス販売 |
axiamusic.com | 富士フイルムアクシア |
Tips2 外枠を描いてトンボを切る!切る!切る!
業者に印刷してもらうには
トンボを切ることが重要
画面3 図1を参考にしてマキシケースII型表カードの大外枠を描く。塗り、線ともになしにして、「長方形」ツールで「274mm×120.3mm」の長方形を描く。 | 画面4 画面3で描いた矩形が選択されている状態で、「フィルタ」→「クリエイト」→「トリムマーク」を選択する。これで、矩形の周囲にトンボが作られる。 |
業者との打ち合わせが済んだら、いよいよジャケットデザインの開始だ。業者からテンプレートをもらったのであれば、それに準じて進めればよいが、自由にデザインできるのであれば、一から自分で作ろう。まずは表カード(画面3)とキャップ(画面6)、そしてレーベル(画面7)の印刷範囲を長方形、そして円で描いてトンボを切る!(画面4)
とは言っても決して昆虫を虐待をするわけではない。トンボとは印刷の位置を表すマークだ。最終段階で化粧断ちするための仕上がり線として、または化粧断ちする線の少し外側で製版処理に必要な面を示す製版寸法線として、重要なものなのだ。Illustratorでは「トリムマーク」と呼んでいるが、これはトリミング(仕上げ、裁断)するマークのことで、トンボと同じ意味だ。
仕事に役立つグラフィックス用語
─その1─
- ■ マキシケース
- 12cmCDを1枚収納する薄手のケース。主に音楽CDでマキシシングルCD用に使われる。フタと皿だけで構成される、通称2ピースタイプと呼ばれるケース。
- ■ ジュエルケース
- 12cmCD1枚を収納する標準的なケース。フタとトレイ、皿で構成される、通称3ピースタイプと呼ばれるケース。一般的にはPケースと呼ばれることもある。
- ■ 日本レコード協会
- 文化庁所管の公益法人で、レコード製作者を代表する団体。音楽用CD等の普及や、著作権思想の普及、レコードの適正利用のための技術研究等を通じて、音楽文化の発展に寄与することを目的としている。
- ■ テンプレート
- あらかじめ目的の制作物用に作りこまれている雛形となるデータ。利用者はそれに独自の文字などを追加することで簡単に制作物を完成させることができる。
- ■ 断裁
- 印刷物の体裁を整えるために余分な部分を切り取る作業。通常、印刷は仕上がりの寸法よりも大きな用紙に印刷し、断裁することで体裁を整える。
- ■ トンボ
- 印刷位置の基準として使う記号のこと。日本ではセンタートンボと角トンボの2種類がある。センタートンボは印刷の工程で各ページを大貼りする基準になり、角トンボは製本の段階で化粧断ちをするための仕上がり線を表すほか、化粧断ち線の少し外側で製版処理に必要な面を表す製版寸法線を表す。
- ■ 化粧断ち
- 印刷物を仕上がりの寸法で断裁すること。また、写真を印刷物のフチまでギリギリに入れる場合、写真を仕上がり線から外にはみ出させて配置しておき、化粧断ちさせることを写真の断ち落としと言う。
- ■ 製版
- 従来、製版とは印刷するための版を作ることを意味していたが、今は広義に解釈すると印刷の前工程の総称だともいえる。印刷工程ではフイルムを使った製版が一般的だったが、現在はデジタル化でフイルム製版が不要になっている。