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三菱重工、無線LAN内蔵の家庭で役立つロボットを開発

2003年02月04日 20時09分更新

文● 編集部 桑本美鈴

三菱重工業(株)は4日、人型ホームユースロボットの開発に着手したと発表、原型となるイメージモデルを関係者向けに公開した。愛称(開発ニックネーム)は“wakamaru(ワカマル)”。ロボットのデザインはインダストリアルデザイナーの喜多俊之氏が担当している。

wakamaru全身三菱重工が開発中の人型ユースロボット“wakamaru”。本体カラーの黄色が映える。「家で頼りになるロボットということで、保護色よりも目立つ色を選んだ」(デザイナーの喜多氏)。なお、写真では首が若干傾いているように見えるが、電源が入っているときはON状態であることが分かるよう、常に小さく左右にフニフニするようになっているという

wakamaruは、家族と一緒に生活し、留守番をしたり家族の異常を指定先に知らせたりなど、人との親和性を有し、家庭での生活に役立つことをコンセプトとしたロボット。同社はロボットのオーナー(利用者)として、ひとり暮らしの高齢者や潜在的な健康不安を持つ人を想定しているという。

本体サイズは身長1m/横幅45cm、重量は30kg。1mにした理由については、テーブルの向こうにロボットがいても見える高さであり、またロボットからもガスコンロに火が点いている様子など家庭内の状況をほぼ見渡せる高さなのだという。移動には車輪を使い、最大移動速度は時速1km、1cmの段差まで乗り越え可能。関節自由度は、首部3自由度、腕部4自由度×2。各部を駆動するアクチュエーターはDCサーボモーター。CPUはARMプロセッサー×7で、OSはLinuxを採用している。なお、80W以下のモーターで構成されており、家庭用電化製品規格に準拠しているという。バッテリーは充電式で本体下部に装備しており、連続駆動時間は2時間。バッテリー残量が少なくなると自ら付属の充電ステーションへ移動し、充電ステーションへ乗って充電を行なう。センサーは、赤外線障害物センサー、超音波障害物センサー、傾斜センサー、触覚センサー、衝突センサーなどを搭載する。

wakamaru下半身本体下部にいくつかある丸い部分は障害物検知のセンサー類。三菱マークの上にある胸部の丸い部分には、将来的に液晶パネルを装備し、文字や画像を表示できるようにするという(現時点では機能は備わっていない)。なお、両脇部分にある金具は持ち運び用の取っ手。「あくまでも実用品としてデザインした」(喜多氏)
wakamaru横横から見た姿。左右に腕が付いているが、人とコミュニケーションを取る際に、発話に加えて身振り手振りで表現するためのもので、物をつかんだり持ったりはできない。「将来的には物を運べるようにしたいが、現状ではそうしようとするとサイズが大きくなり、実用化が遠のく」(三菱重工)
wakamaru後ろ後ろ姿

また視覚機能として、頭部のてっぺんに天井を見るための魚眼カメラ、頭部前面(顔の部分)に前方を見るためのカメラの計2種類のカメラを搭載するほか、聴覚機能として指向性マイクと無指向性マイク、さらに音声を発するためのスピーカーを備えている。誰かから声をかけられると、ロボットはマイクでまず声の方向を検知し、続いて前方カメラで動く人を探す。人を見つけるとその人の顔の部分を探し、自ら近寄って顔の特徴を識別、データベースに登録する。識別の結果、オーナーなどすでに登録されている人物であれば、その人物に適したコミュニケーションをとるという。識別できる人数は、オーナー2人とオーナー以外8人の計10人。

さらに、頭部の魚眼カメラで家の中のさまざまな場所での天井の画像を撮影し、画像処理をして部屋Aデータ、廊下Aデータといった位置データとして蓄積する。これにより、自分がどこにいるか天井を見て判断し、家の中を自由に進めるようになり、充電ステーションがどこにあるかも判断して自ら充電できるのだという。そのほか、約1万語の音声認識も可能で、テキスト読み上げ方式による音声合成も行なえる。合成音声は声の高さや男声/女声など設定可能。

wakamaruアップ
頭部前面の大きな目の上にある黒い小さな丸2つがマイクと前方用カメラ。ちなみに目自体はデザイン的なもので、機能は備わっていない。じっとみつめていると、だんだんデザインコンセプトの“牛若丸”のように見えてくる、かも
wakamaru頭てっぺん
頭部てっぺんにあるのが天井を見るための魚眼カメラ

また、本体に無線LAN機能(IEEE802.11b準拠)を内蔵しており、付属の無線LAN対応ブロードバンドルーター経由でネットワークに常時接続可能。これにより、“留守番”“見守り”“異常時の通報”“健康管理”という4つの機能を実現するという。

留守番機能は、外出先から携帯電話やパソコンを利用し、インターネット経由でロボットが見ている家の中の画像を確認したり、ロボットが大きな物音や移動する物体を検知した際に指定の連絡先へメールや電話で通知するというもの。見守り機能は、オーナーとのかかわり、やり取りを、遠隔地にいる家族へ定期的にメールで知らせるもの。異常時の通報機能は、ロボットが記憶しているオーナーの生活スケジュールと大きく異なる、風呂から長時間出てこない、話しかけても反応がないなど、オーナーに変化や異常が起きたと判断した場合、遠隔地の家族や指定の連絡先にメールで通知するもの。健康管理機能は、オーナーの薬の服用時間などを管理してオーナーへ伝えたり、オーナーに睡眠や食事など日常的な健康に関する質問をしてオーナーの健康情報を記憶するもの。

同社は、携帯電話会社や警備会社、介護会社、医療法人などと提携し、ロボットを介したネットワークサービスを提供したいとしている。例えば、上記の4機能について、留守番機能の場合は携帯電話会社と協力した遠隔操作サービス、見守り機能の場合は警備会社と連携したセキュリティーサービス、異常時の通報機能の場合は介護会社への通報サービス、健康管理機能の場合はオーナーの健康状態を医療法人に通知する医療サービスを提供できるという。オーナーは受けたいサービスを選択することが可能で、同社は今後サービスを提供する会社の参加を募り、さらに機能を充実させていきたいとしている。

また、ロボットに喜怒哀楽などの感情を持たせるかという点については、「プログラム的には可能だが、オーナーによっては感情表現を好まない人もいるので、今後の課題として調査、検討を行ないたい」としている。

wakamaruデモ
説明会で行なわれたデモ。オーナーを識別し語りかけている
カメラ映像
ロボットがカメラでとらえている映像(写真左上)と、ロボットのプログラム処理の様子(写真下)。ロボットは、誰かが近くにいる場合、必ずその人の顔を見るようになっており、周囲に複数人いるときは自分にいちばん近い人を見るという
顔識別
人の顔を識別する際は、顔の特徴を抽出し、登録されているデータとマッチングして判断する

なお、今回のロボット開発における協力会社/機関は、コミュニケーション機能における研究協力がATR知能ロボティクス研究所、自律移動機能における研究協力が筑波大学知能ロボット研究室、センサー技術協力が松下電工(株)、顔認証技術協力がオムロン(株)となっている。

同社は2000年より、同社の成長につながる新製品や新事業の構想を立案する“フロンティア21プロジェクト”を創設、全社員からアイデアを募り、有望なアイデアを若手社員を中心とするチームが検討、事業化に向けて製品開発を進めているが、今回のロボットは同プロジェクトから生まれた最初の製品となる。
説明会で、常務取締役機械事業本部長の金氏顯氏は、「今回のロボットは、少子高齢化社会を見据えてマーケティングし、事業として可能性があると判断したもの。当社の神戸造船所が原子力施設等において機械を遠隔操作する技術などを持っているが、それを家庭用ロボットに応用できると考えた。商品として売り出すにはあと1年と少しかかるだろう。会社のイメージアップなどではなく、あくまでも事業として成り立ち、社会の役に立つ製品として世に出したい」と語った。また、商品化した際の価格については、「個人ユーザーが購入されることを想定しているので100万円台にしたい」としている。

また、デザインを担当した喜多氏は、「単なるペットではなく、暮らしの中で必要なものということでデザインコンセプトをまとめた。慣れてくるとオーナーとロボットとの間に精神的なつながりが出てくるだろうと考え、顔に注目し、特に目や口にこだわった。愛称のwakamaruは、牛若丸みたいだということと、神戸造船所が船を作っているので“XXまる”で終わるとゴロがいいということから。これからさらに進化するということで、顔のバランスは幼児のようにしてあるが、単にかわいいというのではなく、かしこそうな、将来すごい大人になるのではと思わせるようなデザインにした。。これが後に義経になるという願いを込めている」としている。

なお同社は、4月3日よりパシフィコ横浜で開催されるロボットイベント“ROBODEX2003”で、同ロボットを一般公開する。

wakamaruと出席者左から、三菱重工常務取締役機械事業本部長の金氏顯氏、wakamaru、デザイナーの喜多俊之氏

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