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【オーバークロック研究室】水冷キットを使って最新CPU“Pentium 4-2.8GHz”をオーバークロック動作させてみる

2002年09月21日 00時00分更新

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●水冷Pentium 4マシンの実力とまとめ

【グラフ2】水冷キット対リテールファンの性能比較。CPUの動作クロックの違いを注視してほしい。室温は27℃だ

 Pentium4 2.80GHzの実力は十分理解できたが、果たしてこの水冷キットがどれだけオーバークロック動作に貢献しているのだろうか?少し気になったので調査してみた。
 まず、水冷装置からテストを開始する。テスト内容は、CPUに適度なオーバークロック動作をさせて発熱を促進するようにしCPU温度を監視した(Windows上からAX4G-PRO付属のHardware Monitor2で温度計測)。この時、あまり深く考えないでFSB設定クロック156MHz(コアクロック3.27GHz)とコア電圧1.70Vをセットしてみた。OS起動後、Superπ1677万桁を計算させ30秒毎にCPU温度を計測。その後、5分間の温度変化を記録した。次に水冷ヘッドを取り外してリーテールクーラーに組み替え、先ほどと同じ条件で起動させて温度変化を観察しようとした。ところが、Superπの計算途中でエラーを表示して止まってしまう事態に。仕方なくFSB設定クロックを152MHz(コアクロック3.19GHz)1.675Vに下げなくてはならなかった。既にこの時点で明確な差を感じてしまったが、数値的な比較も必要と考えて先と同様に5分間の温度変化をグラフ2に記録した。温度計測完了後、リーテールクーラーを取り外して再度、水冷ヘッドを装着し次のベンチマークテストに備えた。

【表3】ベンチマークテストを行う上でのセッティング表
テスト1 テスト2 テスト3
FSB設定クロック 133.3MHz 156MHz 160MHz
コアクロック 2.80GHz 3.27GHz 3.36GHz
DDR設定クロック(O/C換算数値) 333(333) 266(312) 266(320)
CAS Latency 2 2 2
Active to prechagedelay 5 5 5
RAS# to CAS# delay 2 2 2
RAS# Precharge 2 2 2

 最後に実施した通例のベンチマークテストだが、その動作条件は表3に示した3通りにセットした。「テスト1」は、CPUは規定クロックで動作させるがメモリクロックとアクセスタイミングを最高速にした条件で、これを比較対照にして全てのベンチマークテストが完了するセッティング条件を「テスト2」とした(DDR333設定の378MHzも試しているが、アクセスタイミングを最遅設定に緩めてもOSが不安定だった)。そして参考値ではるがSuperπ104万桁のみ実行できた最高クロックの条件を「テスト3」としている。ちなみにそれぞれの条件におけるベンチマークテストの結果は、次ページにグラフで示した。

●まとめ

水冷キットについては、当初の見た目だけの予想に反する冷却性能を持っていた。特にリテールクーラーとの比較で起動直後のCPU温度は歴然とした差を示している。しかも、空冷だと3.19GHzで5分間動けば良いところだが、水冷だと3.27GHzで5分間動かしてもまだ余裕といった印象が強い。これは、久々に購入意欲が湧くアイテムだ。理由は、セッティング次第でパソコンケース内部に冷却パーツ全てが収まるうえに、一年中、結露の心配がない。つまりメンテナンス性に優れていて、少なくともリテールクーラーより高性能である。あるいは、工夫次第でキューブ型水冷パソコンも夢ではないからだ。※ただし、今回は短時間での動作であるため、例えばプラスチック製のタンクが設置部の違いによってどのように影響を受けるかなど、もう少し根気良く使用してみないと分からないだろう。

 そして本文冒頭で掲げた目標の3.0GHzをいとも簡単に達成したPentium 4-2.80GHzのオーバークロック耐性も素晴らしい。だが、単にオーバークロック率で言うと3.36GHz/2.80GHzの120%である。しかも3.36GHz動作は、水冷装置の冷却性能に助けられた公算が大きくリテールクーラーでは冷却テスト結果から推察して実現不可能なクロックだと考えられる。また、一部のベンチマークテストが動作するにとどまっている事も考慮すると、安定動作域は、もう少し下回ったところに落ちつくのだろう。ただし、データは、単に1個のプロセッサをサンプルにした結果にもとづいて数値を記載し判断しているに過ぎない。個体差は確実に存在しており、本データが全てとは限らないことを理解しておいていただこう。それと、DDR400をうたうメモリだが、その本来の性能は、チップセットの兼ね合いもあってハッキリしないと言うのが感想だ。ただ、DDR333(メモリクロック333MHz)の最速設定で安定動作するとは、512MBのDIMMとして立派な性能だと言えるだろう。もしも、DDR400をサポートするチップセット環境でテストできるなら、ぜひともその性能を追求してみたいと思った。最後にAOpen製AX4G PROのオーバークロック機能不全だが、テスト時に最新のBIOSへアップデートしており、そのBIOSリビジョンがR1.05a(BETA)と言うことで、どうやらベータ版BIOSの都合でFSB設定クロックの操作が実現できなかったようだ。この問題は、今後のBIOSリビジョンアップで改善されるものと思われる。メーカーには、ぜひとも素晴らしいBIOSを完成させて頂きたいと切に願うばかりだ。※R1.04というBIOSが7月11日付けでサイトにアップされているが、それで試しても1MHz動作は不可能であった。R1.00が5月20日にアップされており、リリースバージョンだが、これだと1MHz設定のマニュアル操作が可能のようだ。

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