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SAPジャパン、自動車部品メーカー向けにソリューション・テンプレートを開発――導入コストを30%削減

2002年04月15日 23時35分更新

文● 編集部 田口敏之

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SAPジャパン(株)は15日、国内の中小の自動車部品メーカー向けに、同社のソフトウェアの導入期間の短縮と導入コスト削減のため、テンプレート“SAP BMAS I:自動車部品会社向けR/3モデルシステム I(SAP Basic Model for Automaive Supplier-I)”を開発したと発表した。

同社副社長の細谷哲史氏
同社副社長の細谷哲史氏

説明会の冒頭で、同社副社長の細谷哲史氏は、「SAPジャパンは、今年で創業10周年を迎える。SAPはこれまで、大企業を主としてソリューションの導入を進めてきた。このことから、SAPのソフトウェアは高価で大規模であるという印象を持たれている。今後は、年商100億から1000億円に位置する中小企業にも、積極的に導入を進めていきたい。しかし、中小企業には技術を持ったコンサルタントが少なく、また人手もないために、コストが高くついてしまう。そこで、“ソリューション・テンプレート”という形をとることで、時間やコストを削減できる」と述べた。

“SAP BMAS I:自動車部品会社向けR/3モデルシステム I(SAP Basic Model for Automaive Supplier-I)”の構成図
“SAP BMAS I:自動車部品会社向けR/3モデルシステム I(SAP Basic Model for Automaive Supplier-I)”の構成図

従来、SCMやERPなどの業務基幹系ソフトを導入する際には、初期段階で企業ごとにリサーチを行ない、ソフトウェアのパラメーターなどの設定を行なう必要があった。このため、導入にかかる時間は、インテグレーションを行なうコンサルタントの習熟度などによって左右されていた。ソリューション・テンプレートでは、特定の業種・業態ごとに、パラメーターの設定や各種サンプルのマスターを設定データとしてまとめた上で、これらの説明文書を一緒に提供することによって、コンサルタントの能力によらず、導入時間を短縮できるという。独SAP社では“Best Practices for mySAP.com”というテンプレートを提供しており、これにSAPジャパンが、日本特有の企業のニーズに即したカスタマイズを加えたものが、ソリューション・テンプレートとなる。

テンプレートに搭載された主な機能
テンプレートに搭載された主な機能

このソリューション・テンプレートによって、システム導入機関が、従来の平均9ヵ月から6ヵ月になり、システム開発コストも、従来より約30%削減できるという。また、生産、調達、出荷業務までの物流/商流システムを連結して統合し、生産工程の迅速化や合理化も見込めるとしている。トヨタ自動車が考案し、現在自動車部品業界で共通の生産流通方式となっている“かんばんシステム”にも対応している。

同社西日本セクター長でバイスプレジデントの野呂良材氏
同社西日本セクター長でバイスプレジデントの野呂良材氏

なぜ中小の企業に、このような統合されたシステムが必要なのかということについて、同社西日本セクター長でバイスプレジデントの野呂良材氏は「自動車産業はグローバル化し、再編されつつある。世界の市場競争の中で勝ち残っていくには、日本固有のビジネスを含め、柔軟な統合ビジネスプロセスを構築していく必要がある。グローバルな企業活動を行ない、市場ニーズへ柔軟に対応し、そして何よりグループ内の情報(人、物、金)の共有と、情報の有効活用による効率的な業務の改善を行なわなければならない」と述べ、「今後の具体的な課題としては、部品メーカーの絞り込みと機能の分化、部品メーカー間での再編や企業合併など。加えて、グローバルな供給体制作りと、品質の向上、および価格競争力の強化が挙げられる。国際調達は、これからの大きな流れになっていくだろう」と語った。

SAPと他社の関係
SAPと他社の関係

また同社は、部品メーカーの中堅企業をターゲットにするため、1996年に発足したユーザーグループ“JSUG(Japan SAP User Group)”内において、“自動車部会”を発足させる。第1回の定例会は9月初旬の予定。JSUGは、ビジネスソリューションに関する情報の入手や共有、SAPとの密接な連携を主な目的としており、2001年12月の時点で257企業が参加している。自動車部会の発起人企業は、日産自動車(株)、いすゞ自動車(株)、日産ディーゼル工業株、(株)ミツバ、(株)ボッシュ・オートモーティブ・システムの5社。部会長候補には、日産自動車CIOで情報システム本部長の栗原省三氏の名前が挙がっている。

企業の規模別に、同社製品の導入の割合を表わしたもの
企業の規模別に同社製品の導入の割合を表わしたもの

同社は、今回発表したテンプレートにより、年商100億から1000億円の小中堅企業を中心に、約250社への同社製品の導入を見込んでいる。

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