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SAPジャパン、他社のERP製品とも接続可能なCRMソフト『SAP CRM 3.0』を発表

2001年10月18日 23時06分更新

文● 編集部 中西祥智

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SAPジャパン(株)は18日、CRM(Customer Relationship Management)ソフトウェア『SAP CRM 3.0』を発表した。10月22日に出荷を開始する。

『SAP CRM 3.0』
『SAP CRM 3.0』

今回のSAP CRM 3.0では、同社製品以外の基幹系システムとXMLを介しての連携機能を、新たに追加した。従来バージョンの『SAP CRM 2.0C』では、同社のERP(Enterprise Resource Planning)システム『SAP R/3』との連携機能は実装していたが、他社のERPとは連携できなかった。また、このバージョンからは単体での導入も可能になったという。

藤井清孝代表取締役社長は同日の記者発表会で、同社のCRM製品がこれまで、競合他社と比べて劣っている部分もあったが、今回のSAP CRM 3.0は、CRM専業メーカーの製品にも負けないと強調した。藤井社長は、CRMにおいて最も重要なことは「バックエンドのERPとつながっていること」だと語っている。

藤井清孝代表取締役社長
藤井清孝代表取締役社長

また、CRMの需要について藤井社長は、日本経済は低調でも、CRMソフトの需要は堅調だとしている。その理由として、企業が生き残るため、CRMなどによる低コスト体質への移行が「待ったなし」であることを挙げている。

同社は日本においてCRMがなかなか普及しないのは、1部門が特定の目的のために導入している事例がほとんどで、企業の顧客情報を統合するというCRM本来の機能が活用されておらず、その効果を発揮できないため、正当に評価されないからだとしている。

SAP CRM 3.0を、同社では“第3世代”のCRMと位置付けている。第1世代が単体ツールとして、第2世代は単体ツール群の統合環境として、そして第3世代が企業の全プロセスを統合したCRMだと定義している。企業側のデータを全て統合し、問い合わせから販売、納品、決済、アフターサービスといった顧客の行動サイクル全てを一括して取り扱うことで、企業と顧客をそれぞれ1対1で結びつける。

また、各種の分析機能を強化し、販売やサービスの効率、顧客獲得コストおよび維持率などを、より広範囲に分析できるという。さらに、PDAや地図情報システムとの連携機能も追加した。地図情報機能とのインターフェースはまだ開発中だが、PDAでは顧客情報やスケジュールをオフラインでも参照できる。なお、iモードなどの携帯電話との連携機能は、従来から実装されている。

SAP CRM 3.0は、欧米ではすでに184社で稼動しているという。国内については3社が採用を決定しており、年度内に10社、2002年度には50社から60社の導入を目指す。また、CRMを普及させるために、販売や実装を行なうパートナー企業から、短期間の出向者を積極的に受け入れるという。

SAPジャパンのCRMを扱う事業部の人数は、約60人。藤井社長は60人という人数について「非常に小さい」としている。これは、人数を増やして導入件数の増加を図るよりは、件数を絞ってでも、リーディングカンパニーの成功事例を作るほうが得策だと、同社が判断しているため。藤井社長は「CRMは、将来的に非常に延びる」と推測している。

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