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【オーバークロック研究室】Athlon XPでオーバークロック(前編)~まずは倍率可変CPUに改造する~

2001年11月30日 03時19分更新

文● KAZ

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●CPUは加熱作業に耐えられたか?果たして倍率操作は?

 苦難の末、ようやくL1ブリッジに5本のジャンパ作業は完了した。念のためにCPUのAM36、AL27、AN25、AL25、AJ27ピンと、それぞれの行き先となるL3、L4、L10ブリッジ間(詳細は前ページの結線図を参照)の導通状況をチェックする。結果は5本のラインとも「導通あり」で切断されていたジャンパが接続できたことを意味した。この段階ではとりあえず合格だが、これまでの加熱作業にCPUが耐えて正しく起動するのだろうか。また、果たして倍率操作は手中に納められるのだろうか。

 少々心配な気持ちを抱きつつマザーボードにL1ブリッジをクローズしたAthlon XP 1500+をセットした(ちなみに起動試験にはEPoX製マザーボード「EP-8KHA+」を選んだ)。EP-8KHA+は倍率操作に関わるスイッチやジャンパ・ポストの類はマザーボード上に存在しないが、英文のマニュアルを見るとBIOSセットアップから操作ができそうな記述を発見した。
 まずはデフォルトの設定で正常にPOSTするかが第一の関門で、不正なPOSTだとこれまで苦労した作業が水の泡となるだけでなく根本的にこの企画を練り直す羽目に陥る。そんな心配をよそに8KHA+のPOST表示は順調に進んだ。しばらくして“Athlon XP 1500+”とモニターに表示されプロセッサを正しく認識したと同時にIDEデバイスをスキャンしている。OSの立ち上がりまで確認していないが、一応Athlon XPはこれまでのジャンパ作業で実施したハンダづけに対して「耐えられた」と言って良いだろう。

Athlon XP 1066MHz
メーカーからリリースされていないハズの“Athlon XP 1066MHz”が起動した。下位倍率の操作は成功だ

 そして次はいよいよ倍率を操作してみる。「Bootするデバイスが接続されていないぞ」と待機中のシステムを再起動させBIOSセットアップを呼び出した(残念ながら8KHA+に音声、特にアイドルの声で注意を促してくれる機能は無かった)。設定は、「Frequency/Voltage Control」ページの「CPU Ratio」項目を変更する。カーソルを合わせてEnterキーを押すと6倍速から12倍速までは0.5倍速ステップで選択が可能だ。ただ、12倍速からは13、14、15倍速になっているところが少々解せない。それは、後回しにして「こういう場合は下位へ」と8倍速をセットした。これで起動してくれるならば倍率操作の改造は半分成功だ 。
 結果は、写真で示した通り、流通していないハズの“Athlon XP 1066MHz”とモニターに表示された。しかも(133×8)と設定通りの数値が倍率を確実に操作できたことを象徴している。「では、残り半分のテストだ!」とばかりに、今度は、10.5倍速をセットした。システムは期待に応えるかのようにPOSTを順調に進め、見事“Athlon XP 1600+”として起動した。「倍率操作に成功だ!」。あとはどこまでこの“Athlon XP 1500+”がオーバークロックできるのか。とても楽しみになってきた。詳細は次回の記事に続けるとしてホンの少しだけ予告の画像を示しこの原稿をアップしておこう。



これもリリースはされていないハズの“Athlon XP 2000+”で12.5倍速動作に成功している。が…詳細は次回の記事で明らかに…(画面はH.Oda!氏のWCPUIDによる)

◎注意
メーカーが定めた周波数以上の動作は、CPUやメモリを含めてその他の関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。また、各電圧を高く設定する場合においても同様のリスクがあり、それらの結果によるいかなる損害についても、筆者およびデジタルバイヤー編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。オーバークロック設定・改造・BIOSの書き替え等は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびデジタルバイヤー編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。

【筆者プロフィール】鈴池 和久氏。オーバークロック歴は1995年登場のTritonチップセットの頃から。マザーボードの回路解析やハンダごてを使ってオーバークロック改造を施すのが得意。1998年出版の「パソコン改造スーパーテクニック」を初めPC改造に関する著書を複数執筆。現在は当ページのオーバークロック研究室コラム記事を執筆中。ハンドル名は「KAZ’」。1957年生まれ大阪府在住。

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