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アットホーム、シスコのコンテンツ配信ネットワークを導入――米アットホーム社の経営破たんの影響はなし

2001年11月02日 23時11分更新

文● 編集部 中西祥智

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アットホームジャパン(株)は2日、シスコシステムズ(株)の“Cisco インターネット CDN(Contents Delivery Network) ソリューション”を導入したと発表した。

Cisco インターネット CDN ソリューション
Cisco インターネット CDN ソリューション

従来のコンテンツは、それが置かれたコンテンツサーバーにエンドユーザーが直接アクセスするため、コンテンツサーバーに負荷がかかり、また帯域を圧迫して、十分なサービスを提供できなかったという。しかしCDNでは、よりユーザーに近い場所に、コンテンツを事前に配信することで、そういった問題を解決する。また、CDNは事業者側にもメリットがあり、アットホームジャパンの廣瀬禎彦代表取締役社長は「CDNによって、バックボーンのコストを削減する」と述べている。

廣瀬禎彦アットホームジャパン代表取締役社長
廣瀬禎彦アットホームジャパン代表取締役社長

同日の記者発表会での両社の説明によると、CDNは、アットホームジャパンの扱うようなCATV経由のインターネット接続の場合、ユーザーに最も近い各CATV事業者に“コンテントエンジン(キャッシュ装置)”を配置する。このコンテントエンジンに、コンテンツサーバーから事前にコンテンツを配信しておき、エンドユーザーに対してはコンテントエンジンから配信する。これによって、コンテンツサーバーの負荷を軽減でき、またユーザーのニーズの加速度的な増加で「広げても追いつかなかった」ネットワークの帯域も節約できる。

従来のコンテンツ配信
従来のコンテンツ配信。コンテンツサーバーに高い負荷がかかった

CDNで事前配信できるデータは、HTTPプロトコルでダウンロードできるコンテンツのほか、RealMediaやWindows Media Technology、Quick Timeのストリーミングコンテンツにも対応する。また、CDNはHTTPやIPアドレスによるルーティングも行なっており、ユーザーは1番近いコンテントエンジンからコンテンツの提供を受けられるという。

CDNによるコンテンツ配信
CDNによるコンテンツ配信。エンドユーザーは近くのキャッシュ装置へアクセスする。

アットホームジャパンの説明によると、広告に依存するポータルサイトのビジネスモデルが成立しなくなり、収益を上げるためには有料コンテンツの提供を拡大する必要がある。ストリーミングコンテンツだけではなく、オンラインゲームなどのさまざまなコンテンツへのニーズがあるという。増加するコンテンツへのニーズに対応するためには、単純なキャッシュではなく、コンテンツの配信そのものをコントロールするシステムが必要であり、CDNがその要求を解決できるとして導入に踏み切ったという。もっとも、CDNが全ての要求を満たしてくれるためではなく、「技術的な基盤のひとつ」だとしている。

廣瀬社長はCDNの導入について、完全にアットホームジャパンの要求を満たすシステムではなかったものの、バージョンアップを待っていたのでは「間に合わない」とし、一旦導入した上で、シスコと共にシステムを改善していくと語った。実際にCDNが稼動するのは、2002年の初頭だという。

また、廣瀬社長は親会社である米アットホーム社が経営破たんしたことについて、住友商事(株)が米アットホームの出資分を一旦引き受けるため、アットホームジャパンの経営には影響ないことを説明した。ただし、その後の同社への出資比率などは未定。なお、今年度(同社の会計年度は1月~12月)の決算はまだだが、「事業そのものは順調。特に利用料金の値下げのインパクトはあった」という。

しかし、「コストダウンしてから値下げをしたかったが、値下げしてからコストダウン(廣瀬社長)」する状況にあり、LinuxとIAサーバーの普及機種を導入することで、コストの削減を図るという。もっとも、廣瀬社長はLinuxとIAサーバーの信頼性は「未知数」だとも語った。

なお、米アットホームとの資本関係がなくなるため、“アットホームジャパン”という社名は変更しなければならないという。“@NetHome”というブランド名については、米アットホームの“@Home”とは違うため、ロゴマーク以外を変更する必要はない。社名の変更には数千万単位の費用がかかるとして、廣瀬社長は「うまい方法はないものかと、頭を悩ませている」という。

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