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「Looking for sign」でメジャーデビュー!ゲーム主題歌でおなじみの歌手・佐藤裕美ロングインタビュー

2001年10月30日 23時12分更新

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「語るも涙」なアルバム製作時のエピソード

佐藤裕美

――今回のアルバムはどういったタイミングで、いつごろ作ることが決定したのですか?

【佐藤】A川さんが「イベントでファンが多く集まるようになったし、ウェブサイト(「佐藤裕美のHP」)のカウンタが1万を超えたらアルバムの話をレコード会社に掛け合うよ」って言ってくれたのが最初です。ちょうどそれが、私のサイトのカウンタが6000くらいの時でした。特に事務所とかに所属していないフリーの立場でメジャーレーベルからアルバムが出せるとは思ってなかったので「おうおう、じゃあ1万になったらプレゼンかけてくれよぅ」なんて言って、本気にしてなかったんです(笑)
(A川氏「6000を超えたくらいからカウンタが回るのが早くなってきて、ちょうどその頃にコナミとキングレコードのプロデューサーさんと話を始めてましたね。すると、レコード会社さんもちょうど手応えを感じていた。そういった経緯で実現したわけです」)

――アルバムタイトル「Looking for sign」という名前は、サティアグラハの曲と同名ですね。

【佐藤】はい。正確に言うと、ドリームキャスト版「カナリア」のヒロインのひとり、佐伯綾菜ちゃんのイメージソングが「サイン」なんですが、この原曲がサティアグラハの「Looking for sign」という曲で。自分のやってきたバンドの曲が採用されるというのが、とても嬉しかったんですよ。曲の良さを分かってくれる人がいたというのが。それで……ですね。



佐藤裕美

――アルバム制作中には「語るも涙」なエピソードがあったそうですが?

【佐藤】コナミ/キングレコードというメジャーレーベルでデビューするということは自分にとってプレッシャーだったみたいで、2週間というレコーディングの最中に風邪をひいてしまったんです。声が全然出なくなってしまって。でもレコーディングはしなきゃいけない。とにかくレコーディングがスゴく大変でした。声が出ないから、ちょっと歌ったら休んで。毎日明け方4時、5時、6時くらいですねぇ、帰れたのは(と、A川氏を見る。氏「オレのせいかよ(笑)」)。

――A川さんのせいですか(笑)

【佐藤】それはもうA川さんが鬼ぶりを発揮しまして(笑) 「声が出ないので、今日は帰りたいですぅ」って言ってるのに、帰してくれない。2週間のうち、帰してくれたのは1日だけなんですよ(笑)
(A川氏「レコーディングの間に、大阪でイベントがあったんですよ。なので「今日は帰って、体調を整えてきなさい」と」)

――大阪のイベントというと?

【佐藤】9月16日の「キャラフェス大阪2001秋」ですね。ちょうどレコーディング期間中に大阪で開催されて、そこで「グリーン・グリーン」の曲を3曲歌いました。実はイベント前には「レコーディング中だし、体調もあまり良くない。だから声をセーブして歌おう」と堅く心に決めてたんですが、大阪のお客さんのノリがスゴく良くて。コールまで入れてくれたんでもうはしゃいじゃって「大阪サイコーッ!!」とか絶叫(笑) 結果、見事声を潰して帰ってきて怒られました(笑)。
 ……それは半分冗談としても、長いこと歌を歌ってきて、こんなに声が出なくなることってなかったので、それが本当に辛かったですね。

――今回のアルバムでは、ほとんどの曲を各メーカーさんから提供してもらう必要があったわけですが?

【佐藤】各メーカーさんのご厚意には本当に感謝ですね。みなさん快く「どうぞ歌ってください」って、非常に暖かな対応をしてもらえました。メーカーさんありがとうございました。

――今回、オリジナル曲2曲を作詞されてますが…。

【佐藤】大変でした(笑) 2週間…というか、実質4日間くらいしか時間がなくて(笑)
 7月末のイベントで「10月にアルバム出します」と発表してから、8月にレコード会社の人と正式にうち合わせをする機会があったんですよ。そこで「佐藤さんはバンド時代も作詞をしていたし、どうでしょう」と言われて「ぜひやらせていただきます!」とペロっと言っちゃったのが自分の首を絞めることに(笑)

 私は曲を聴いてからイメージをふくらませるタイプなんで、曲のできていない8月の段階では作詞を始められなかった。それで結局レコーディングしながら作詞をすることになって、思わず「できない」って泣きを入れてみたり(笑)。体調が悪かったことで、マイナス思考になっていたのかもしれませんね。らしくないな、って思うんですけど。



佐藤裕美

――一方で、新録音の曲というか、歌い直した曲も多いですね。

【佐藤】ヒットしたゲームだとオリジナルサントラが出てますからね。それだったら、違う歌い方をした方がいいかなと。
(A川氏「ゲームのファンはもちろん、“佐藤裕美”というジャンルの曲を聴きたい人が今回のアルバムを買ってくれると思うんですよ。そういう人に、ゲームの曲とはまた違った楽しみ方をしてほしいですからね」)

――新しく歌い直すに当たって「前に歌ったのとは違う」って思った曲はありますか?

【佐藤】あります! 「銀色」の「こころのゆくさき」ですね。ゲームの仕事をするようになって2回目のレコーディングだったんですけど、うまく歌えなくて。レコーディングのスタッフは「OK」って言ってくれたけれども、自分の中では全然納得できなかった。それで「残念だな、またチャレンジしたいな」ってずっと思ってたんです。だから今回取り直すとことができてうれしかった。今回は、自分で納得のいく歌い方ができました。

――ボーナストラック2曲が「みずいろ」と「シールド」である理由は?

【佐藤】「みずいろ」のアコースティックバージョンは、私も聴いてみたかったし、ファンの人たちからもそういう声が聞こえてきたので「じゃあ作ってみましょう」と。コナミのプロデューサーさんが乗り気で、鶴の一声で決まったような感じもありますね(笑)。最初、15曲入りのハズだったんですよ。でもフタをあけたら1曲増えていたという。プロデューサーに「できますか」と言われたら「できます」と答えざるを得ないという(笑)。

 「シールド」のアコースティックバージョンは、今年の夏コミ用に作った「カナリア茶」っていうファン向けのCDに入れた曲ですね。それが、かなりデキがよくてお気に入りになったので、入れてみたいなぁと。
 「シールド」を今回録り直さなかったのは、私がはじめてレコーディングしたゲームの曲で、今聴き返してみると、必死になって歌っている1年半前の自分がいるからなんですよ。だからそれはそのまま手を加えずに入れて、それとは別に、あれから1年半経った今の私が歌う「シールド」を入れてみたかったというのもあります。



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