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【矢部直治のアキバB級グルメ探検隊】自称「秋葉原の穴場」ウッドを検証する

2001年09月02日 22時32分更新

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■裏名物「お好み焼きピラフ」

――うーん、まさに喫茶店界の「スーパーマリオブラザース(←例えが古い?)」。目からウロコが落ちまくりです。ところで、「ウッド」の裏名物「お好み焼きピラフ」ですが、これももとは「隠れメニュー」だったんですか?

「そうです。最初はキチンとしたメニューではなくて、卓上の小さなメニュー立てに記しただけの目立たない料理でした。ちなみにメニュー立ての裏側は『ルイボスティー』。たしか平成7年(1994年)くらいからお客様にお出ししはじめたと思います。はじめの頃は好奇心で頼まれる方ばかりでしたが、今では名指しで注文を受けることが多いですね」

――お好み焼きとピラフをシンクロさせるという前代未聞のアイディアはどこから? 誕生秘話をお願いします。

「んー、でも“ソースと米の出会い”という意味では、ウチが元祖ってわけじゃないと思うよ。“ウスターソースかけご飯”だってあるし。でも、まあ、それは別の問題か。そうですねえ……あの頃はちょうど米不足が深刻なときでして、とにかく米が手に入らなかったんです。ウチは寿司屋とか定食屋じゃないから大問題とまではいかなかったけど、それでもピラフがメニューにあったから悩んではいました。そんな折、たまたま横浜にあるリッチホテル内の中華料理店でチャーハンを食べたら、タイ米を使ったやつが出てきた。非常に上手く炊いてあってね、コレがものすごく美味しかったんですよ。白米の“代用”ではなく、タイ米のおいしさを活かした料理はできないだろうか。そう考えているうちに、ふと「お好み焼きのソース味を組み合せてみたら」って思いついた。ぼくはね、お好み焼きにはいつもたくわんを入れるんですよ。今風にいうと“オレレシピ”っていうんですか、独特の歯ごたえとソースの濃厚な味がマッチして、コレがイケるんですよ。そんなワケで、たくわんとソースに、タイ米を組み合わせたのが『お好み焼きピラフ』の原型なんです。とはいっても、今の味になるまではかなり試行錯誤を繰り返しましたが」

――私はてっきり、たくわん入りピラフ+ソース味だとばかり……。お好み焼き+たくわんという化学反応は想像できませんでした。ウム、かつての「イチゴ大福」以上のインパクト。そうなると他の品目のエピソードも気になってくるなァ。たとえばメニューの……ってアレ、この「ミニデッシュ」って前からありましたっけ?

「あっ、それそれ。さっき言いかけた「今回最大の変更点」って! やっと話ができる(笑)。『ミニデッシュ』はね、カレーやピラフ、ピザなどいろいろなフードメニューを半分の分量でお出しするものなんだ。価格はどれも260~400円と原価ギリギリ。これならダイエット中でも、ちょっと小腹が空いたときでも、気楽に注文できるでしょ」

――つまり、アレですか。ふたりで5品注文して、いろんな味を少しづつ楽しむという飲茶スタイル。

「うん、そうやって楽しんでもらえたらうれしいな。ただ、ひとつだけ話しときたいのは、「ミニデッシュ」は平日だけのサービスだってこと。申し訳ないんですけど、土日にはやってないんですよ。ウチの場合ね、平日に来店されるお客様のほとんどは秋葉原近辺で仕事されている方なんだ。みなさん週に2度3度と足を運んでくださるんで、なにか地元に還元したくて。感謝の印としてこのサービスをはじめたんです。平日だけのサービスという意味では、そのほかコーヒーの2杯目おかわりフリー(ホットのみ、アイスは半額)、あとこれはセルフサービス式になりますが、フリードリンクの特製スープがあります」

――いち利用者としては嬉しいかぎりですが、いち同業者としてはかなりの勇断だと思います。出血サービスという言葉がありますけれど、時代が時代ですし、コレでは出血多量のような気が……

「女房には「不景気なのにタダでこんなにサービスしちゃって!」なんて怒られてますよ(苦笑)。けどね、これだけ不景気でせちがらい世間だからこそ、こういうサービスをする価値があると思います。喫茶店はコーヒーを飲むところであり、食事をとるレストランでもあり、誰かと談笑する場所でもあるわけでしょ。ご利用されたあとには気分一新、誰もが笑顔でお帰りいただけたらと思ってるんです。タダというのは、それだけでうれしいもんだからね。じっさいお客様からご好評をいただいてますよ」



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