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【矢部直治のアキバB級グルメ探検隊】自称「秋葉原の穴場」ウッドを検証する

2001年09月02日 22時32分更新

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■ウッドの隠れメニュー

――ラオックス ザ・コンピュータ館がオープンしたのは1990年4月29日のこと。当初から「ウッド」はこの場所に?

「ラオックスさんができる前、ぼくの父親が昭和47年(1972年)に開店して以来だから、もう30年近くになります。とはいっても一戸建ての喫茶店じゃないけどね。今の若い方はご存知ないでしょうけど、1980年代までココには『神尾病院』って大きな病院があったんです(注:『神尾病院』は現在、神田淡路町に移転している)。当時は病院の1Fで、そして今のビルになってからは地下1F。……よく考えたらウチの歴史ってそのままテナント歴でもあるんだよなァ。長いよね、ビル2つ目だもん」

――ええっ? ということは、ルーツは「病院の喫茶室」なんですか!?

「乱暴に言ってしまえばそうなるかな。でも、喫茶店のスタイルとしては『純喫茶』になりますね。今はオシャレでデザートが豊富な『カフェ』がブームだけど、その前にはTVゲームを置いた『ゲーム喫茶』、ジャズの流れる『ジャズ喫茶』、クラシック音楽の『名曲喫茶』などいろんな喫茶店ブームがあったんです。ウチはそういうジャンルの中では、本当にシンプルな、珈琲とサンドウィッチ程度の軽食を出す『純喫茶(純粋な喫茶店)』でした。病院の中という立地だけに、音楽も流してなかったし」

――つまり、初期の段階では「お好み焼きピラフ」などのアバンギャルドなメニューは……

「なかったです。そういうメニューはぼくの代になってから。ラオックスさんに入ってから、と言い換えてもいいな。もともとぼくは銀座や神田で自分の喫茶店をやってたんだけど、父親が亡くなったもんでね。それで秋葉原のこの店を継ぐことになったんです。……それからしばらく時間が経って、病院がなくなって、ラオックスさんができて、新装開店になって心機一転。ぼく自身が料理好きってこともあって、フードメニューをより充実させたんだ。店名に『カフェテリア』ってフレーズを入れたのもこの時です。とはいっても、ただ品目を増やすだけじゃお客さんを惹きつけられないでしょ。ウチみたいな小さな店は“個性で勝負”。インパクトがあって、しかも美味しいものを研究して、いまのようなメニュー構成になっていったんです」

――たしかに「ウッド」のメニューはオリジナリティ大爆発。他店にない独特の魅力が充満しています。ところで、私は約半年ぶりに来店したのですが、メニューがずいぶん変わったような……?

「あ、気付いてくれた? そうなんです。先日ね、メニューを新しく作り直したんですよ。ウチの娘(中学生)にパソコンでプリントしてもらい、スタッフにはイラストをお願いしてキレイなものを作りました。同時に品目もいろいろ追加してね。具体的にはドリンクの『豆腐抹茶ヨーグルト(注1)』などの新作のほか、今までは隠れメニューだったスパゲティー『キャロットミート(注2)』なんかも掲載。さらに料理にはすべてカロリーを表示してあります。しかし、今回最大の変更点は……」

――ちょ、ちょっと待ってください(汗) なんですか、その「隠れメニュー」って? 

「ああ、それはね、試作メニュー、いや“プレ標準メニュー”かな。おおっぴらにしていない品目のことですね。ウチで出しているフードはすべて、ぼくがいろいろ試行錯誤して「旨い!」と思ったものばかりなんだけど、その味をお客さんが気に入ってくれるとは限らない。だからメニューに加える前に念のため、お客様の反応を確かめるわけですよ。じっさいには常連さんが来た時、それとなく新メニューを持って横を通り……「おい、ソレはなんだ!? オレにも食わせろ!」という感じなんですが(笑)。で、食べていただいて、2度3度と頼むほど気に入ってもらえたものが主に“隠れメニュー”になります。とはいっても、いずれはメニューに書くわけですし(注:なかには隠れメニューのまま無くなるものもある)、けっして常連さん専用の特別な料理ではありません」

――ゲームでいうところの「隠れキャラ」みたいなものですか。知る人ぞ知る通な存在。見つけると思わず友達に自慢してしまうような。

「……その例えはよくわからないけど、まあ、そんな感じかもしれません。でもね、メニューをよく見るとちゃんとヒントはあるんですよ。たとえば「紅茶」。説明文に「たまにはブランデーの香りでも」って記してあるでしょう? コレはぼくの紅茶に対するこだわりでもあるのだけど、つまり、隠れメニュー『ブランデーティー』ができるってことなんです!! でも、誰も気付いてくれなくてねぇ……(泣)。これまで一度も注文がないから、今後ヤメちゃう可能性は大ですが。まあ、ともあれ、こんな感じでどこかにヒントはありますから、“隠れメニュー”を探してもらうのも当店の楽しみ方のひとつかもしれません(笑)」



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