IT業界で働く桜子のビジネスリーダーズインタビュー
会社の原点を消費者に語ろうとする小岩井乳業
2009年01月06日 16時30分更新
キリンビールから小岩井乳業へ出向して
小岩井乳業は2005年にキリンビバレッジのチルド飲料を統合し、乳事業をコア事業に据えた。澤倉社長はその約2年後にキリンビールから代表に着任したため、生粋の小岩井社員からみれば、いわば上からの人。畑が違う職場での舵取りはいかがであったろう。
澤倉 まず、社内が少し方向を失っていると感じました。そこで皆で方向感を共有していくという過程に行き着くまでには色々なやり取りがありました。それこそ、あなたに何ができるんだ、土下座しろという声もありましたね。
桜子 え、土下座!? ヒドいじゃないですか!
澤倉 ハハハ。でもまあ、私がどういう人間かもわからない人も多いし、また必ずしも私に対して向けられた言葉ではなかったようです。一昨年は200~300時間位を全国行脚して、戦略の組立てを一緒にやろうと廻りました。相当激しいやり取りをしましたよ。
組織を理解し、方向性を一本化していくかたわら、澤倉社長はビール業界から乳製品業界に転じ、売り場ですぐ気がついたことがあったと言う。
売場はお客様とのコミュニケーションスペース
澤倉 小岩井乳業に来てからは、当然小岩井の製品が置かれているスーパーなどの売り場を見て回っているのですが、酒類との違いがわかるんです。酒類はキャンペーンなどPOPがたくさん貼ってあるのに、チルド(飲料・食品)はそれがない。
まず小岩井に関しては商品が何処にあるのかわからないし、場合によっては無い、あるいはあっても目立たないんですね。実際製品をよく見たらパッケージもデザインもバラバラでじっくり探さないと見つからない。これではダメだな、と思いました。
ビール業界で勉強した、買い場(売り場)でいかに情報発信するかという重要性。小岩井乳業は、パッケージ自体がまったく情報発信をしていないように感じたという。
澤倉 せっかく小岩井商品を買いたいと思ってやってきたお客様に、まずは気づいていただけるようにしようぜ、と周囲に言ったんです。
その結果、これまでバラバラだったパッケージのデザインを全部一新し、ブランドイメージを統一させた。
桜子 すごいですね。よく着任してすぐの改革が実現できましたね。
澤倉 怖いものしらずというか、強引というか。
桜子 周囲に敵は多くないですか? 私、この間、上司に「お前、社内に敵が多いぞ」と言われたんですけど(笑)。
澤倉 お客様視点でどこまでやるか、ということですよね。キリンで学ばせて頂いたお陰です。欲しい人に商品が届かない。小岩井ファンだといってくださる方に“ここに商品があります!”というのが伝わっていないことがとても気になったんです。
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