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PC向けのDenebは来年?

ついにAMDの45nmクアッドコアOpteronが発表!

2008年11月13日 14時01分更新

文● 小西利明/トレンド編集部

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「クアッドコアAMD Opteronプロセッサ」のダイ写真

45nmプロセス版の「クアッドコアAMD Opteronプロセッサ」のダイ写真

 米AMD社は13日、45nmプロセスで製造される新しいサーバー向けCPU「クアッドコアAMD Opteronプロセッサ」を発表した。コード名「Shanghai」で知られていたCPUで、既存のOpteronとの高い互換性と、消費電力あたり性能の高さを特徴としている。搭載製品は年内に出荷の予定。

新クアッドコアOpteronを搭載したデモ機

新クアッドコアOpteronを搭載したデモ機。2プロセッサー搭載のサーバーだが、アイドル時の消費電力は165W程度と低い

 発表された製品ラインアップは、2プロセッサーシステム向けのクアッドコアOpteron 23xxシリーズ 5製品と、4プロセッサー以上のシステム向けのクアッドコアOpteron 83xxシリーズ 4製品。いずれも通常電力版で、最高動作周波数は2.7GHz。今回発表のラインアップには含まれていないが、シングルプロセッサーシステム向けの製品や、低消費電力版の投入も予定されている。

クアッドコアOpteron 23xxシリーズ
クロック周波数 2次キャッシュ 3次キャッシュ TDP 価格(ドル、円)
Opteron 2384 2.7GHz 2MB (512KB×4) 6MB 75W 989ドル(約9万6922円)
Opteron 2382 2.6GHz 873ドル(約8万5554円)
Opteron 2380 2.5GHz 698ドル(約6万8404円)
Opteron 2378 2.4GHz 523ドル(約5万1254円)
Opteron 2376 2.3GHz 377ドル(約3万6946円)
クアッドコアOpteron 83xxシリーズ
Opteron 8384 2.7GHz 2MB (512KB×4) 6MB 75W 2149ドル(約21万602円)
Opteron 8382 2.6GHz 1865ドル(約18万2770円)
Opteron 8380 2.5GHz 1514ドル(約14万8372円)
Opteron 8378 2.4GHz 1165ドル(約11万4170円)

 対応CPUソケットは、既存のOpteronと同じSocket F(1207ピン)で、メモリーはDDR2-800に対応する。CPUコア数は4個で、各コアごとに64+64KBの1次キャッシュと512KBの2次キャッシュを備える。さらに共有3次キャッシュを6MB内蔵する。チップ間インターコネクトバスにはHyperTransport 3.0を使用する。

 今までのAMD CPUはいずれも、65nm SOI製造プロセスで製造されている。製造プロセスだけが消費電力当たり性能やコストパフォーマンスを決定するわけではないが、競合のインテルが1年ほど前から45nmプロセス製品を投入しているのに比べると、遅れを取っている点は否めなかった。今回の新クアッドコアOpteronは、より微細な半導体製造のキーになる「液浸露光技術」を用いて製造されるという。インテルは32nmプロセス世代のCPUから液浸露光技術を用いると発表しており、それを先取りする形となる。

新クアッドコアOpteronに搭載される新機能

新クアッドコアOpteronに搭載される新機能

 新クアッドコアOpteronのアーキテクチャー自体は、65nmプロセス世代のOpteron/Phenomと変わらない。CPUパッケージやソケット形状も同等で、消費電力は下がっているため、既存Opteron向けのプラットフォームでも、BIOS変更などで対応可能な互換性を有する。

 特に消費電力の改善は顕著で、既存の通常電力版Opteronが2.6GHzでTDP 95Wなのに対して、新クアッドコアOpteronは75Wとなっている。さらに、「AMD Super Fetch」と呼ぶ技術により、動作中の消費電力はさらに低減しているという。

デモ機での消費電力テスト

デモ機での消費電力テストでは、各CPUコアのクロックと動作電圧が見られた。コアの負荷によってそれぞれ異なるのが分かる

 ハードウェア仮想化技術に関する強化も、新クアッドコアOpteronの特徴とされている。同社の仮想化技術「AMD-V」に改良を加え、仮想メモリー管理の高速化を達成。そのほかに、Opteronシリーズ搭載サーバー間で仮想マシンを稼働させたままでの移行を実現する「Extended Migration」など、エンタープライズサーバー向けの機能を強化している。

Extended Migrationの概念図

「Extended Migration」の概念図。Opteronプラットフォーム間ならば、世代が変わっても仮想マシンを稼働しながら移行できる

AMDが公開した、新クアッドコアOpteronとIntel Xeon搭載システムのベンチマークテスト結果。Penryn世代のXeonが強いと言われるJava実行テスト(画面左)や浮動小数点演算テスト、メモリーバンド幅で大きく上回る

 自作派ユーザーに気になるのは、デスクトップパソコン向けの45nmプロセス世代CPU「Deneb」だが、こちらは2009年第1四半期への投入を予定されている。ブランド名は「Phenom II」になるとのこと。期待して待ちたい。

Opteronシリーズのロードマップ

Opteronシリーズのロードマップ。2009年の終盤には、6コア版の「Istanbul」が登場。2010年中頃には次世代の「Magny-Cours」「Sao Paulo」が登場する

次期プラットフォーム「Fiorano」の構成図

2009年中頃に登場予定の次期プラットフォーム「Fiorano」の構成図と特徴

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