ウイルス検索時の負荷を比較
両ソフトとも今回のバージョンから、ウイルス検索処理をバックグラウンドで実行できる。これによりスキャン速度は遅くなるが、ユーザーが動かしているアプリケーションが遅くなるのを避ける狙いがある。実際にアプリケーションを使いながら、VistaをインストールしたHDDを対象にウイルス検索を実行して、メイン動作時とバックグラウンド動作時の負荷を比較してみた。
パソコン上でCPUに約50%の負荷をかけるプログラム(解析ソフト)を走らせながらウイルス検索を実行。CPU負荷をVistaのリソースモニタで見てみた。
バックグラウンド動作時のCPU使用量
NIS2009 | ウイルスバスター2009 |
---|---|
60%負荷 | 80%負荷 |
どちらもバックグラウンド動作時には、メモリーフォールト(=HDDとのページファイル読み書き)が増加した。空冷ファンの動作音からしても、体感的には「NIS2009のほうが負荷が低いな」と思えたのだが、はたしてCPU負荷を見てもその通りの結果であった。
ちなみにウイルスバスター2009では、従来品に比べて導入後のメインメモリー消費量を45%削減したという。そこで、バックグラウンド動作時の物理メモリー使用量を比較してみた。
バックグラウンド動作時のメモリー使用量
NIS2009 | ウイルスバスター2009 |
---|---|
68%前後 | 56%前後 |
メモリー消費を比べるとウイルスバスターが有利だ。しかし、同じくリソースモニタのディスク(HDDの読み書き量を示す)に目をやると、NIS2009側のアクセス頻度のほうが低い。
なお、特にほかのプログラムを走らせていないとき(低負荷の状態)に、両者のウイルス検索速度を比較してみた。Cドライブ検索が終了するまでの待ち時間は、NIS2009が約5分で、ウイルスバスター2009が約3分かかった。時間ではウイルスバスターが有利ではあるが、両者の推奨設定が異なることに注意したい。例えば圧縮ファイル内の階層など、チェック対象とするファイル種別にも違いがある。推奨設定のままでは一概に、どちらが早いとは言えない。
リアルタイム監視状況をチェック
ここでは、ファイルアクセス(コピーや移動を含む)時のウイルス検索機能について調べてみた。通常、これらの機能は「リアルタイム検索」と呼ばれ、システムに常駐して自動的に動作する。テストでは、ウイルス(マルウェア)に感染したファイルをZIPファイル内に収めたものを用意。ZIPファイル中の感染ファイルを、Vistaのデスクトップ上に展開しようとしてみた。
NIS2009 | ウイルスバスター2009 |
---|---|
メッセージを小ダイアログに表示。ファイルは展開されない | ダイアログ等は出ないが、ファイルは展開されない |
従来はマルウェアなどを発見すると、「どう処理するか」をいちいち指定しなければならなかった。また、警告メッセージのポップアップ表示が、ユーザーが何をしているかに関係なく出てきて、画面を占有するため嫌がられた。
それらの指摘が反映されたためか、最新のセキュリティーソフトの多くは、明らかな不正プログラムは何も聞かずに削除(別の場所に隔離保存)するのが一般的である。とはいっても、削除した際にはそのことを表示してくれないと、ユーザーには何が起こっているのかさっぱりわからないだろう。
ウイルスバスター2009の「メッセージ非表示での削除」は、(動作ログには記録されるものの)あまりに機械的な対応と言わざるを得ない。設定を変えれば、メッセージ表示の仕方も選べるのだが、よほど詳しいユーザーでなければ、セキュリティーソフトの設定など、いじろうとはしないものである。