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アスキー総研・遠藤諭が突撃インタビュー

Let'snote F 「取っ手」のひみつを探れ!

2008年10月01日 10時00分更新

文● 石井英男

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多くのハンドル形状を検討、固定方法にも苦労


 Let'snote Fにハンドルを付けることが決まっても、その開発はひと筋縄では行かなかった。形状や素材を取ってみても、開発チームの苦労が隠されている。最初の頃はTOUGHBOOKのハンドルをそのままLet'snoteに付けてみたが、両者はデザインも軽さも異なるためまったく合わなかった。そこでTOUGHBOOKで培ってきたノウハウを元に、Let'snoteにふさわしいハンドルを設計した。


遠藤 ハンドルの基本構造は、TOUGHBOOKに近いところもありますよね?

束原崇氏

束原崇氏

テクノロジーセンター機構設計チーム主任技師 中谷仁之氏 はい。内部の構造はTOUGHBOOKを参考にしてますね。

遠藤 見た目はプラスチックみたいに見えますが、素材は何でしょう?

AVCNシステムグループプロ&ビジネスチーム主任意匠技師 束原崇氏 高い耐久性を実現するために、ハンドルもLet'snote本体と同じマグネシウム合金を使っています。樹脂製のハンドルと比べると、持った瞬間の手触りが全然違うことが分かるはずです。


 持ち運ぶ際、ハンドルが引き出せるという構造にもこだわっている。一度はハンドルが動かない固定式も検討した。


束原氏 Let'snote Fのハンドルは、TOUGHBOOKのような「とにかく頑丈」というイメージではなく、軽くて強く見えるものを目指しました。ハンドルをあまり細くすると見た目が弱々しくなってしまいますし、持ったときの感触もよくない。最終に近い試作品で今残っているのは6種類ですが、理想のハンドルを実現するために実際はもっと作ってます。

遠藤 固定式のハンドルを採用しなかった理由は何ですか?

中谷仁之氏

中谷仁之氏

束原氏 固定式ハンドルは見た目がすっきりします。しかし、本体との間を十分確保しないと、指の太い人では持ち心地が悪くなってしまう。一方で、ハンドルと本体の間を空け過ぎると、今度はパソコンをカバンに入れたときに出っ張って邪魔になってしまいます。そのバランスの調整が難しいんです。

テクノロジーセンターハード設計第二チーム 谷口尚史氏 TOUGHBOOKが目指すのは、過酷な現場での利用を想定した「フィールドモバイル」ですが、Let'snoteはビジネスシーンであちこち持ち運んで使う「ビジネスモバイル」という位置付けです。その軽いイメージを損なわないハンドルを実現するため、デザインチームに頑張ってもらいました。


 Let'snoteのボディーにハンドルを固定するということにも秘密が隠されている。固定方向が決まったあと、ハンドルを引き出す/振るといった動作に対して強度試験も十分に行なった。


遠藤 ハンドルはどうやってボディーに付けていますか?

TOUGHBOOKのハンドル

TOUGHBOOKのハンドルは本体にネジで直止めされている

中谷氏 Let'snoteのボディーパーツは薄肉なので、TOUGHBOOKと同じように単にネジ止めしただけでは、使っているうちに「もげて」しまうんです。そこでハンドルの端を殻で挟み込んで、面で応力を分散しています。

 もちろんハンドルは絶対取れてはいけないので、さまざまな強度試験を行なっています。このあたりも、TOUGHBOOKにおけるハンドル作りのノウハウが活かされていますね。

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