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ネットビジネス新流儀 第8回

紙の雑誌をネットでアグリゲート 雑誌の価値を再び掘り起こす

Fujisan.co.jp(富士山マガジンサービス)

2008年08月23日 12時00分更新

文● 根岸智幸(ずばぴたテック) 写真●長谷川 朗

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紙のまるごとデジタル化が雑誌ビジネスを変える

 Fujisan.co.jpの本質は、雑誌のアグリゲート(とりまとめ)にあるという。雑誌はできたてのホヤホヤを届けるものだから、在庫もあまり必要ない。出版社と読者を結びつけるマーケットプレイスに近いのだ。

 アグリゲートした雑誌のコンテンツを、より多くの消費者に届ける手段として、目次のRSS配信などネットならではのプロモーションを行っている。雑誌の内容のまるごとデジタル化にも積極的に取り組んでいる。現在、ニューズウィーク日本語版をはじめ、約60誌がデジタル版でも提供され、ウィンドウズ用の専用リーダで読める。ソフトの使い勝手の問題はあるにせよ、デジタル化のメリットは多い。記事内容を全文検索できるし、バックナンバー販売の倉庫コストもかからない。

 今後は雑誌に掲載された商品を通信販売する「マガコマース」も企画している。雑誌社が自前でやっているケースもすでにあるが、Fujisan.co.jpは複数の雑誌にまたがる顧客リストをもっている。顧客が雑誌の購読を追加するたびに新しい趣味嗜好がリストに追加されるので、より多角的な商品のリコメンドが可能になる、というのが狙いだ。

 ネットに押されて縮小するだけと思われていた紙の雑誌だが、長年蓄積されたコンテンツ作成の技術は、高い価値がある。同社のプロモーションと流通の仕組みによって、雑誌が適切な読者を獲得することが可能になったのだ。

Fujisan.co.jpの基本的なモデル

Fujisan.co.jpのサービスは、多数の出版社から雑誌の情報をまとめることで、雑誌コンテンツ=プロによって編集された濃い情報を求める読者が集まる「場」を作っている。単純に定期購読やバックナンバーの販売で収益を挙げるだけでなく、今後は趣味嗜好と属性が明確な顧客リストを蓄積することで、雑誌掲載商品を販売するなどコマースの機会の拡大を狙っている。

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