月刊アスキー 2007年11月号掲載記事
SNSのビジネスモデルが明確になってきた。その顕著な例が2004年の2月にいちはやくサービスを開始したGREEだ。サービス当初1カ月で1万人を集めてブームの走りとなったが、その後会員数でミクシィに水を開けられてしまった。しかし、2006年11月にauの公式SNS「EZ GREE」としてサービスを開始してからは、EZ GREEの会員数が100万人を突破。2007年8月には全体で200万人を超え、存在感を増している。
趣味の個人サイトから成長のための組織作りへ
GREEはもともと創業社長の田中氏が趣味で始めたサイトだった。学生時代からインターネットベンチャーに憧れ、ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソネットエンタテインメント)から楽天に転職した。そこでブログサービスの「楽天広場」など、CGM的なサービスを次々と作った。PHPを勉強しながらプログラミングを行い、ユーザーサポートもやった。
2003年秋ごろに、米国で初の本格的なSNS「Friendster」が人気を集めたことを知って興味を持つ。「実名で登録して、友達と一緒に使うというのがIMやメールと似ていると思いました。ただ、一部の人が利用するサービスだとも思っていました」。
田中氏はあくまで趣味として、GREEを1人で作った。2004年2月にオープンし、1カ月後には会員数は1万人を突破したが「そんなものかな」と思っていたという。その後しばらくは、会社員をしながら、夜11時に帰宅し、毎日100通以上の問い合わせメールに対応していた。規模は急速に拡大し、個人で数百万円を投資することになったが「趣味なので」気にはならなかったという。しかし「田中さんが死んでしまったら、どうなるんですか?」というメールをきっかけに法人化を検討することになる。
会社を作るにあたって、細かなビジネスプランはなかった。広告やアフィリエイトの収入で「一人ならなんとかなる」と考えたからだ。しかし「良いサービスを作っていくためには一人では無理」だと気がつき仲間を募り、2004年12月にグリー株式会社を作る。このあとしばらくは地道な会社の体制作りに力を注いでいく。
「広告を入れるにはメディアレップを経由して売るんだけど、ちゃんとした法人じゃないと取り扱ってくれない。カスタマーサポートの人が必要なんだけど採用の方法も知らなかった」。同時期に始まったミクシィが急速に成長するのを見ても「もともときちんとした会社だからできるのだ」と考えた。「作りたいサービスはいろいろあったけど、まずは会社作りをやった」。
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