次世代ブラウザーはどれだけ速いのか?
さて、これらを踏まえて、4大ブラウザーのJavaScriptパフォーマンスを計測してみた。
計測に使ったツールは、アップルのWebkit開発チームが公開しているテストツール「SunSpider 0.9」(http://webkit.org/perf/sunspider-0.9/sunspider-driver.html)を使用した。開発者によれば、実際にウェブアプリケーションで使われているコードを用いているのが特徴とのこと。APIやDOMを使ったパフォーマンスは測定されないため、実際にウェブアプリケーションを使ったときの体感速度と必ずしも一致するものではないが、十分参考になる。
なお、今のバージョンに比べてどれだけJavaScriptの処理が速くなったかを比較するため、IE7とFirefox 2のパフォーマンスも計測してみた。ただし、Opera 9.27はどうしてもSunspiderを完走しなかったため、結果を計測できなかった。SunspiderとOperaのどちらに原因があるかはわからないが、Webkit開発チームのブログではユーザーからコメントで同様の現象が起こったことが報告されている。
使用したマシンは「ThinkPad X31」(Windows XP SP2、Intel Pentium M 1.7GHz、1.5GB RAM)。少し前のモデルだが、このぐらい前のマシンを使っているユーザーは珍しくないこと、古いマシンのユーザーほどブラウザーの最適化による恩恵が大きいであろうことからテストに使用した。
爆速!次世代ブラウザーは飛躍的にスピードアップ
テスト結果から分かるのは、次世代ブラウザーではJavaScript処理がめざましく改善されているということである。特に約1分近くも処理に時間がかかっていたIE7が、IE8で12秒と大幅にスピードアップしているのが目立つ。
IE7が極端に遅いのは「String」(文字列処理)が足をひっぱっていたからで、これが改善されたのが大きい。なお、Sunspiderではテスト結果の誤差率も表示されるのだが、IE7のStringでは2~3%程度の誤差率に留まっているし、IE8を含むほかのブラウザでは順当な結果が出ているので、テストの間違いでは無さそうだ。
最速だったのは、Firefox3だ。開発チームは過去最速と述べているだけあって、決して遅くはなかったFirefox2より更に高速化している。IEとの差を考えれば、今夏に予定されているFirefox3の登場により、さらにシェアを拡大することだろう。
僅差で2位だったのが、昨年6月にWindows版が登場したばかりのSafariだ。Mac版登場時から表示の速さがウリだっただけに、正式版の中では群を抜いている。AppleはMac OS Xで、ウィジェットというJavaScript等のスクリプト言語で動くミニアプリケーションの実行環境(これもブラウザの一種といえる)を導入していたため、JavaScriptのパフォーマンスアップを早期から重視していたのではないだろうか。
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