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大切なのは法ではなく、教育だ

ネットの「有害情報」に対し、親はどう対応すべきか──小寺信良に聞く

2008年04月12日 20時19分更新

文● トレンド編集部、語り●小寺信良

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法規制より先に「教育」だ


── 結局、子供を持つ親は今、何をすればいいんでしょうか?

小寺 まず、子供がどんなサイトを見て遊んでいるのかに、関心を向けましょう。思春期の親の世代では、iモードを使いこなしているという人はほとんどいません。パソコンのネットでも、温泉旅館を検索して予約するくらいで「情報リテラシーが高い人」と認識されるほどです。

 ネットのどういう部分が危ないのか、どういう部分が役立つのか、メリットもデメリットも分かっていないといけません。だから、子供に基本的な情報教育を受けさせるだけでなく、親にも学んでもらう必要があると思います。そのために、まず親にとって分かりやすいテキストを作るべきですね。

 「教育」というと、ネットの人はすぐ、「あ、自分には関係ないや」とすぐに手放ししちゃうようなところがありますよね。たぶんネットの中心となる年齢層が若いとか、子供が居ない人が多いこともあるでしょう。しかし自分が関心があるなしに関わらず、子供ができたら教育の問題には、必ず直面します。誰でも例外なく、です。ですから、親と子供の情報教育については、ネットを使いこなしている若い世代にもぜひ知恵を貸してほしいですね。


── 教育というと、学校も変わる必要がありますか?

小寺 ええ。もちろん現状でも努力をされている学校があるでしょうが、変わらなければいけないところも少なくない。

新・情報A

高校で使われている「情報」の教科書(写真は日本文教出版のもの)

 学校教育は、文部科学省の学習指導要領にそって行なわれています。ですが、「情報」という授業で情報リテラシーに関して本格的に学ぶのは、高校になってからです。小学校にはそもそもカリキュラムがないし、中学校では技術・家庭の一部で軽く触れるだけにとどまっています。ネットいじめなどで問題になるのは主に小中学生ですから、高校で学んでも遅いんですよ。

 ネットは動きが速いですが、教科書は毎年改訂しているので、付いていけないはずはない。でも学習指導要領が細かく更新されないから、なかなか現実に即したテキストにならない。

 同じ法を動かすなら、社会全体を巻き込んだ大規制ではなく、学校の情報教育を柔軟に動かしやすくする方向に使うべきなんです。詳しい教師がいなくて授業が無理なら、地方の公共団体や東西NTT、地元のプロバイダーなどに協力義務を課して、課外授業や特別授業を行なえばいい。

 「やらないよりまし」というなら、規制ではなく、まず教育にテコ入れしてほしいですね。そのほうが場当たり的な対応より、すぐに子供のためになると思います。


筆者紹介──小寺信良


 映像系テクニカルライター/コラムニスト。テレビ映像の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、94年にフリーランスとして独立。以降映像、音楽を軸に、AV機器からパソコン、放送機器まで、幅広く執筆活動を行なう。主な著書に「メディア進化社会」(洋泉社)など、津田大介氏との共著に「CONTENT'S FUTURE」(翔泳社)。ウェブでは、ASCII.jpの「コデラノブログ 3」のほか、インプレス「AV Watch」や「ITmedia +D」にて、週刊コラムを連載中


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