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【ASCII.jpまとめ】青少年ネット規制法

ゼロから学ぶ「青少年ネット規制法」

2008年07月09日 12時15分更新

文● 高橋暁子、広田稔/トレンド編集部

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 昨今、「学校裏サイト」によるいじめ、出会い系サイトがきっかけとなった殺傷事件、メディアが盛んに取り上げた硫化水素自殺など、未成年者がネットが関係した事件や犯罪に巻き込まれることが社会問題になっている。本稿ではこうした状況を受けて成立した「青少年ネット規制法」について、その論点と動向を追う。

目次

1.初心者Q&A
2.論点
3.関係する企業、団体
4.最新動向
5.年表



1.初心者Q&A


Q 青少年ネット規制法って何?

A 18歳以下の青少年がインターネットを利用する際、暴力、アダルト、出会い系、薬物といった有害情報に触れる機会を減らすことを目的に作られた法律。

 正式名称は「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」。内容としては、企業や個人に対して主に下記のようなことを定めている。

  • ケータイ事業者……保護者が申し出た場合を除き、青少年がネットを利用する際にコンテンツフィルタリングサービスを提供する
  • インターネット事業者……コンテンツフィルタリングサービスの普及、および利用を促進するための措置を取る
  • サイト管理者……青少年にとって有害な情報が発信されていることを知ったときに、青少年の閲覧を防ぐように努める

 そのほか、青少年の安全なネット利用に関する基本方針を決める「インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議」を内閣府に設置することや、フィルタリングの調査、開発、啓発を行なう団体を第三者機関として認定して、国や地方公共団体が支援することなどを定めている。


Q 法律はいつできたの?

A 法律自体は、2008年6月6日に衆議院本会議を、6月11日に参議院本会議を通過して成立した。施行は公布から1年以内。現状では罰則規定などは盛り込まれていないが、この法案は3年以内に見直すとされている。


Q 「フィルタリング」って何?

A 特定のコンテンツを見せなくするための仕組みのこと。機器にインストールしたソフトウェアや、インターネット上にあるサーバーを利用して、見せていいコンテンツかどうかを判別する。すでに携帯電話では、18歳未満のユーザーが新規契約する場合、親権者の申し出がなければフィルタリングサービスが適用されるようになっている。

 既存契約者についても、当初は6月以降順次、意思確認の徹底を図る予定だったが、4月25日、総務省の発表(「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」 中間とりまとめ)によって状況が変わり、実施時期が延期された。目的は、ユーザーへの周知を徹底させて、フィルタリングの方式も、利用者がフィルタリングの方式を選べる仕組みを検討するためだ。

 フィルタリングには、見せていいサイトのリストを作ってそれ以外を遮断する「ホワイトリスト」、リストを元に有害なサイトのみを見せないようにする「ブラックリスト」、個人や第三者がサイトを格付け/分類して、それを元に見せるかどうかを判断する「レーティング」など、いくつかの方式がある(関連リンク)。


Q なぜ今、話題になっているの?

A 青少年ネット規制法の成立前から、企業やマスコミ、ネットなどから青少年ネット規制法を問題する声が上がっていたから。具体的には、誰がフィルタリングする有害コンテンツを決めるのか、はたして今の内容で効果があるのか、法律がネット企業の負担にならないか──、といったことだ(詳細は「2.論点」を参照)。


Q どんな団体が関係している?

A 政府、企業、ネットの業界団体、学校、PTAなど。

 青少年ネット規制法の具体的なアクションについては、2007年11月より、総務省が設置した「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」で話し合われている。この会議には、学識経験者の他、NTTドコモやウィルコムなどの携帯/PHSキャリア、電気通信事業者協会や日本インターネットプロバイダー協会などの通信業界団体、楽天、DeNA、ヤフーなどのインターネット企業、消費者団体、PTAなどが参加している(「3.関係する企業、団体」も参照)。

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