誤解と差別の経験がQ&Aサイトの源泉に
とても単純だがユーザーに役立つこの仕組みは、差別と病気と誤解に苦しんだ、創業者の兼元氏の辛い経験と、だからこそ誤解のない世の中を作りたいという夢と理想から生まれた。
愛知県名古屋市に生まれた兼元氏は、病弱な上に在日韓国人三世(現在は帰化)だったことからイジメにあい、その後も差別に悩んだという。大学進学以降は社会の役に立つデザインを志し、いくつかの賞も受けたが周囲の理解を得られず仕事も失った。そしてノートパソコンひとつを抱えて上京したが、期待した支援も得られず、ホームレスのままデザインの仕事をこなしていたという。そのときにホームページ 作成の仕事を請け負うが、作り方を知らなかったため、パソコン通信のフォーラムで質問したところ「マナーがなっていない」と拒絶されてしまう。
ここに至って兼元氏は「こういう誤解とか差別とかイジメをなくすという命題をもらった」と考え、「単純に質問と回答を繰り返すことで、認知を広めていく」Q&Aサイトを企画し、'99年に起業した。Q&Aサイトの最初のバージョンができてからは、渋谷でシールを配ってユーザーを集めた。ユーザー数が3000人を超えた頃に企業向けのシステムとして販売しては? と提案があった。結果、早い時期から大手通信企業が導入。また、楽天やサイバーエージェントが出資を決め、2001年度には単年度黒字、翌年には累積赤字を解消した。
順風満帆に見える同社だが、兼元氏はコンシューマー向けCGMビジネスの難しさを「利益になるまでに時間がかかるので、それまで頑張る覚悟がないとできない」と語る。オウケイウェイヴ自身も企業向けのシステム販売および、コンシューマー向けQ&AサイトであるOKWaveのOEM提供は順調だが、広告導入などの本格展開は端緒についたばかりという。
Q&Aサイトという、経験を持つ人が持たない人をサポートするモデルは、アフィリエイトに代わる、より適切な広告になりうるという。Q&Aがつないでいく「人の経験値や専門性」で、グーグルのロボット検索技術を超える可能性を現在模索している。
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