理にかなった選択をするのがジョブズだ
さて、ここからはあくまでも(生粋のMacユーザーである筆者の)「個人的な予想」なのでご了承いただきたい。
まず軽量サブノートだが、この噂は例年通り空振りすると見ている。少なくとも、ゼロスピンドルだの、単に薄くなったり軽くなったりといった路線はないだろう。また、CESでは話題になったようだが、いわゆるMenlow搭載のUMPCもないと見る。
10年ほどMacintosh関連のメディアで働いてきた経験で、ある程度分かったことがある。ジョブズ復帰後のアップルほど「理にかなった」選択をする企業はない。ここでいう「理にかなった」とは、アップルのポリシーや大事にしているものを指しており、もちろん一般的な世の中の価値基準とは若干異なる。
例えばジョブズが復帰した後にリリースされたノートパソコンは、常に「オールインワン」だった。光学式ドライブを外付けにして軽量化することもなく、一貫して単体で完結する製品だけを提供してきている。これは、アップルが単なるハードメーカーではなく、OSやソフトも含めて提供している企業だからこその発想だ。結果、Macは一部を除き、どの機種を選んでも単体でデジタルデータを管理/編集し、それをDVDなどに書き出せるといった統合パッケージとなっている。
また、アップルのノートは(これも一貫して)フルピッチのキーボードを採用し続けてきた。操作性を犠牲にしてまで小型化はしないというのも、アップルの流儀なのだ。
もちろん、大昔のPowerBook Duoのように、ドッキングステーションで機能を補完して本体を軽量化するといったアイデアはあるだろう。だが、そこまでして軽量なサブノートをリリースしたとしても、それを使って人が何をしたがるかを冷静に考えたとき、おそらくアップルはこの分野の製品を出さないんではないかと思うのだ。
軽量薄型サブノートで人が何をしたがるか? ──もちろんモバイルだ。そしてそれをリリースすることは、現在のアップルとしては理にかなっていない。公衆無線LANのアクセスポイントが増え、より高速なIEEE 802.11n規格や、WiMAXなども登場する世の中だとしても、である。
なぜなら、アップルは軽量ノートよりもiPhoneを売りたいと思っているはずだからだ。メールやウェブ、メッセンジャーといったモバイルの主たる用途/目的は「すべてiPhoneでどうぞ」というのがアップルの現在のスタンスのはずである。
(後編に続く)