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ケンウッドの高音質プレーヤーを聴いた

【レビュー】2年の蓄積が凝縮された高音質 ケンウッド「HD60GD9」

2007年10月30日 17時55分更新

文● 編集部 小林 久

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ホワイトモデルはより繊細で自然な表現になる印象


 ホワイトモデルとブラックモデルの音の差に関しては、パッと聴きでは判別しにくいかもしれない。聞き込んでいくと、弱音がさらに浮き彫りになってくることで、残響など余韻の部分がより明確に聞こえてくることが分かる。また、ハイハットなどを叩いた際に残響として響く高域の歪み感なども改善されており、全体に繊細さが増す印象だ。

ブラックモデルとホワイトモデル

ブラックモデルとホワイトモデルを背面から見たところ

 ブラックモデルと比べて、歴然とした差があると断言できるかというと難しいが、比べて聴くと確かな差があるのも事実。人間の感覚は、一度意識してしまうと次からはその差異を明確に感じてしまうという悩ましい面があるので、判断に困る部分はある。

 なお、初代機からの課題であった残留ノイズに関しては、相当な改善を感じる。とはいえ、無音時やクラシックのピアニッシモなどでは依然として感じるので、気になるという人は能率の高いヘッドホン(今回の試聴で言えば、HD25-1IIやE4cなど)との組み合わせは避けたほうがいいだろう。

 ただ、音の強さだけではなく、ノイズ自体の質(音色)が従来とずいぶん変わっていて、鳴っていてもそれほど耳障りではなくなった。これも個人差がある部分なので、試聴して確かめてほしい部分だが、筆者としてはそれほど耳障りに感じていないし、ヘッドホンの組み合わせなど使いこなしでもある程度、解消できる部分なのではないかと思う。



異例の高価格だが、それに見合った価値はある


 ケンウッドのポータブルプレーヤーは、これまでも音質にこだわるマニア層を中心に、高い支持を受けてきた。今回の機種でも依然としてユーザーの関心度は高く、ブラックの店頭モデルで実売5万5000円前後ホワイトの直販専用モデルは5万7800円と、音楽再生に特化したポータブルプレーヤーとしては異例の高価格だ。

 それにも関わらず、品薄状態になっている店舗もあるようだ。特に直販限定モデルに至っては、オーダーを取れば予約段階で完売という状況が続いており、納品まで1ヵ月半待ちという状況である(2007年10月末時点)。出荷数自体がそれほど多くない点を考慮に入れても、根強い人気がある機種と言えるのは確かだ。



携帯音楽プレーヤー10年目の新たな回答


 世界最初のMP3プレーヤー「mpman」が韓国で登場したのは、1997年末から1998年にかけてだったと記憶している。そう考えれば、MP3プレーヤーの歴史もそろそろ10年になる。

 MP3プレーヤーはパソコンの周辺機器として普及が始まった。ユーザーの関心も、記憶容量の多さ(1台で何千、何万曲の音楽を持ち運べるか)とか、動画を含めた多彩なフォーマットに対応しているかといった、機能の多寡に集中してきたように感じる。これはブランドリーダーと言えるアップルの「iPod」でも同様で、新モデル発表の際に音質について語られることはほとんどない。強調されるのは、先進的なデザインやインターフェース、機能の豊富さといった部分ばかりだ。

 そういう意味ではデザインも初代機から変わらず、機能も音楽の再生のみ、しかも高価。ただし、音質に関しては譲らないというケンウッドの立ち位置は非常に独特だ。それはひとつの正しいあり方なのだと、個人的には感じている。そして、それを評価する層も確実に存在するというのも事実なのだろう。


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