このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

ケンウッドの高音質プレーヤーを聴いた

【レビュー】2年の蓄積が凝縮された高音質 ケンウッド「HD60GD9」

2007年10月30日 17時55分更新

文● 編集部 小林 久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 高音質の追求をコンセプトにした、(株)ケンウッドのHDDプレーヤー「Media Keg」。その最上位モデル「HD60GD9」が登場した。

HD60GD9

HD60GD9(手前右)。ブラックのボディーにホワイトのイルミネーションを装備。シルク印刷も高級感のあるゴールドとなった

 シリーズとしては、2005年6月に発表された初代機「HD20GA7」(関連記事1)から数えて4代目。昨年9月に発表された「HD30GB9」(関連記事2)のHDD容量を倍の60GBに増やし、さらなる高音質化を図ったモデルとなる。また、WAV、MP3、WMA、Kenwood Lossless(KLS)の各形式に加え、新たにAAC形式(DRMなし)にも対応。iTunesですでにライブラリーを構築しているユーザーの利便性も考慮した。

 ここでは同製品の企画担当者の話を交えながら、新機種のインプレッションをお届けする。



アンプ部分にはまだまだ改良の余地がある


 約1年前に発売されたHD30GB9に関しては、ASCII24のレビュー記事(関連記事2)で紹介したとおり。シリーズの特徴であるデジタルアンプをプリ部とパワー部が分かれたセパレート構成(クリアデジタルアンプEX)とし、さらにヘッドホン出力も最大8mW+8mW(16Ω)にアップした。筆者も実際に試聴してみたが、「中低域の厚み」と「ヘッドホンのドライブ能力」が大きく向上した点が印象的だった。

福山氏

商品企画を担当の福山氏

 HD60GD9は基本的に、HD30GB9のマイナーチェンジとなり、音質面でのチューニングは進められているものの、外観や機能に関してはほとんど変わっていない。

 しかし、商品企画を担当したホームエレクトロニクス事業部の福山雅人氏は「アンプの部分は回路的にまだまだ改善の余地がある」と話す。HD60GD9では、HD30GB9のクリアデジタルアンプEXにさらなる「てこ入れ」を行なっている。

 具体的な改良点としては、信号の増幅を行なうパワー部分の電源にロジック系の専用電源を加え(従来は1つの電源を別のラインで分岐して利用していた)、低歪化と高出力化を図った点が挙げられる。これにより出力は最大10mW+10mW(16Ω)に上がった。米Etymotic Research社の「ER-4S」(100Ω)など、ハイインピーダンスなヘッドホンでも音量が取りやすくなっている。

 これと並行する形で、ボリュームのステップ数も従来の31段階から41段階に増やした。ヘッドホンによって音量はまちまちになるため、「より細かな選択ができるようにした」という。なお、高出力化で気になる再生時間に関してはMP3、WMA、AACの各形式(いずれも128kbps)を使用し、Supreme EXをオフにした状態で20時間と変わらない(ファイルサイズが大きくなるKLSやWAV形式では、それぞれ15時間と14時間と若干短くなる)。

クリアデジタルアンプEX

クリアデジタルアンプEXの構成図(ケンウッドのウェブサイトから)

 高出力化はヘッドホンのドライブ能力にもゆとりが出る。また、ロックやポップスなどを中心に聞くぶんにはあまり気にする必要がないが、クラシックでは録音レベルが低めに設定されている場合が多く、さらに曲中、非常に小さな音(ピアニッシモ)で演奏される個所も多くあるので、こういったソースを中心に聴く人にはうれしい改良と言えるだろう。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中