2006年07月21日更新
scalable、scalability、portable、portability……。マニュアルや技術書には「~able」や「~bility」という単語が頻繁に登場する。受験生時代に英語を勉強した人であれば、接尾辞「-able」を「~できる」、これが名詞化した「-ability」を「~できること」と即座に理解するだろう。
そこで、以下の英文を一読していただきたい。
This system has scalability,including the portability and scalability of hardware platform.
これを読んで、「このシステムは拡張できるんだ」「ハードウェアも拡張できて可搬性もあるんだ」と理解した人は要注意。いつかトラブルを引き起こしかねない。なぜ誤っているのか、何が誤っているのか。
そこで、-ableと-abilityを「リーダーズ英和辞典」(研究社)で調べたのだが……。
英和辞典を調べても、さっぱり解決できない。それならばと、英英辞典「Dictionary.com」で調べてみた。
なるほど、-able(-ability)には「余地がある」という意味があったのだ。つまり、日本人なら「~できる」と理解しがちだが、実のところ「~する余地はある(でも、できない可能性も少々あるかもしれない)」と理解する必要がある。なぜ、そのように理解せねばならないのか。それを知るのに適した英文が、次の一文だ。
C is a portable language.
(C言語は可搬性のある言語です)
C言語自体は、特定のプラットフォームに依存しない。そのため、C言語を用いることで一つのソースコードでWindows用、Mac OS用、UNIX用のアプリケーションを開発することが、仕様上は可能である。しかし実際は、各プラットフォームの違いを言語によって 、吸収することは不可能なためプラットフォームに依存しない、つまりportableなアプリケーションを開発するのは難しい。このように、文中のportableは「~できる」という理想的な可能性を語っているものの、同時に「使われ方によってはそうはならない」という現実も含んでいるのだ。
ちなみに、冒頭の英文の適切な訳は次のようになる。
「このシステムには拡張性の余地があります。そこには、ハードウェア・プラットフォームの可搬性と拡張性の余地も含まれます」
~ableや~bilityという英単語には、「~できる」という可能性とともに「~できないかもしれない」という可能性も少々ながら含まれている。それをよく理解しておかないと、「できる」可能性だけを前提に物事を進めてしまいトラブルに遭う危険性がある。ご注意を。
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Illustration:Aiko Yamamoto