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Web2.0は企業システムに統合されるべき――SAP、エンタープライズ2.0を語る

2007年07月24日 14時54分更新

文● アスキービジネス編集部

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7月23日、SAPジャパンは報道関係者を集め、プレスセミナーを開いた。セミナーのテーマは「企業ビジネスユーザーを支援する取り組みについて」。ビジネスユーザーの生産性向上に役立つとされるエンタープライズ2.0への取り組みを中心に、独本社の担当者らが語った。


SAPが考えるエンタープライズ2.0のあるべき姿


Web2.0は企業システムに統合さ れるべき――SAP、エンタ...

独SAP ソリューションマーケティング シニアディレクターのバイロン・バンクス氏

 SAPはインフォメーションワーカー(日常的に情報を活用するビジネスパーソン)向けの取り組みを強化している。今月に入ってマイクロソフトと共同で発表した「Duet」や、以前からアドビと共同で提供している「Interactive Forms by Adobe」などがその代表的なものだ(関連記事1関連記事2)。いずれも、SAPのフロントエンドに使い慣れたアプリケーションを使い、インフォメーションワーカーの生産性向上を狙いとしている。

 「過去20年間、さまざまな企業がSAPを使う“タスクワーカー”に対して投資をしてきた。そして今度は、インフォメーションワーカーの仕事の効率化が求められている」。独SAP ソリューションマーケティング シニアディレクターのバイロン・バンクス氏はこう語った上で、インフォメーションワーカーの効率化には「さまざまな技術を使って情報にアクセスすることが必要だ」と訴える。

Web2.0は企業システムに統合さ れるべき――SAP、エンタ...

インフォメーションワーカーのための取り組みを強化するSAPの具体的なソリューション群

 そのための方法のひとつが「Web 2.0」への取り組みである。バンクス氏は「すでに大企業の一部では、ブログやWikiなどのWeb 2.0の技術が、IT部門ではなく部署単位で浸透しつつある」と見る。問題は、現在の企業内Web2.0の世界には、ガバナンスが存在しないということだ。「たとえば財務に関するものなど、ブログに勝手に書かれてしまっては困る重要な機密情報がある。企業で活用する際には、必要に応じて適切な管理を行なうことが必要だ」(同氏)。

 この課題に対してSAPが示すのは、「企業の情報システムの一部にWeb 2.0を統合する」という考え方だ。「柔軟なWeb2.0のテクノロジーを、セキュリティやコンプライアンスに対応させる。これがSAPのビジョンだ」(バンクス氏)という。

 SAPは今年度の第3四半期中に、ブログやWikiの機能を備えた新しいWebポータル構築ソフト「SAP NetWeaver Portal Collaborative Portal」をリリースする計画である(関連記事)。バンクス氏は、(1)チームの情報共有を意思決定につなげ、(2)非構造化データと構造化データを統合してワークパターンを拡張可能にし、(3)インフォメーションワーカー自身が情報に直接アクセスして活用できるようになる――とそのメリットを話す。


企業内検索ソリューションも間もなく登場


Web2.0は企業システムに統合さ れるべき――SAP、エンタ...

独SAP ソリューションマーケティング シニアディレクターのバラムルガン・カリア氏

 もうひとつ、インフォメーションワーカーの効率化のための施策として紹介されたのが、「SAP NetWeaver Enterprise Search」(以下、Enterprise Search)である。

 Enterprise Searchは、SAP ERPのデータだけでなく、非構造化データを含む企業内のさまざまな情報を横断的に検索できるESP(エンタープライズ検索プラットフォーム)ソリューションである。SAPのビジネスアプリケーションの権限設定に基づき検索結果を表示するなど、セキュリティ面を考慮。検索結果からSAP ERPの画面を呼び出してデータを入力するといった、具体的なアクションにつなげられるようになっている。

Web2.0は企業システムに統合さ れるべき――SAP、エンタ...

Enterprise Seachの画面(現在の英語版の画面)。右側に関連するアクションが表示されている

 Enterprise Searchは、アプライアンスとして提供され、今年8月から英語版の出荷を始める。「すでに日本語の検索には対応している」(独SAPのソリューションマーケティング シニアディレクターのバラムルガン・カリア氏)といい、2008年の第2四半期にはユーザーインターフェイスをローカライズした日本語版を出荷する予定だ。

 カリア氏が持ち出したマッキンゼーの調査結果によれば、社員は1日の4割近くの時間を検索に費やしているといわれる。こうした現場の効率の問題を解消し、「経営者はこれまで続けてきた情報への投資を、Enterprise Searchによって回収できるようになるだろう」との見通しをカリア氏は示した。

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